第73回 診療ナビゲーション・・・⑧(金属の詰め物)
このコーナーでは、日々の診療の中での患者さんとのやりとり、実際の治療の流れなどをお伝えできたら、と思っています。
ご自身や、ご家族の口の中を見てみてください。
黄色丸のように白い詰め物で治療がしてある歯がありませんか?
今回この歯に金属の詰め物(インレー)が入るまでの工程をご紹介したいと思います。
50代男性です。白い詰め物の周りが黒く虫歯になっていました。
虫歯の大きさ、深さにもよりますが、このように虫歯の部分だけ削りました。削った穴の一番深い所が茶色っぽく見えるのは、着色しているだけです。虫歯検知液を使いながら、最小限の削除に留めています。
最近は、奥歯でも白い詰め物を希望される方が多いのですが、患者さんの要望により、今回は、金属で作製しました。
強度、耐久性という側面では、金属に勝る材質はありません。
さあ、いよいよ歯型をとります。
歯形をとる材料はピンク色のゴムみたいな素材です。
5分ほどで固まりますので、ちょっとの間口を動かさないで下さいね。
この写真のように、口からはみ出ることがありますが、固まればポロッととれますよ!下の奥歯の詰め物を作る場合、かみ合わせの関係が必要ですので、上の歯型もとります。
かみ合わせた状態の上下の位置決めに、ワックス(ロウのようなもの)を咬んでもらい、歯型を印記します。
ゴム系のシリコン素材で噛み合わせを採得する場合もあります。
このように歯型(ピンク色)とかみ合わせた状態の歯型(赤色)とで技工士さんに詰め物を作ってもらいます。
難しいケースは、院長が作製することもよくあります。
左の歯型に青色のところがありますが、これは虫歯の部分を削った周辺を、精密に歯型をとるための別の材料を使っています。
削ったままだと、食べ物がつまりやすく、削ったばかりの歯は刺激に弱いので保護する目的で仮のふたをします。
患者様には説明していますが、取れやすい材料でフタをしています。食事をしていたりして取れてしまっても、痛んだり、しみたりする症状がでなければそのままでも大丈夫です。
ここまでが一回目の治療になります。
そして、後日金属の詰め物を調整して装着しました。適合も良く、咬むという機能的な面においては、全く問題ない治療法です。
金属の詰め物による治療がベストとは言えない部分もあります。
しかし、健康保険のルール上、治療法、使用できる材質に制限があるのも事実です。適合の良い詰め物を装着することは大前提として、術後のホームケアも大切です。
今回は歯の一部分を金属の詰め物におきかえる治療法をご紹介しましたが、詰め物にもいろいろな種類があって、虫歯の大きさや、深さにも関係がありますが、一回の治療で終わるもの、少し時間のかかるものがあります。材質では金属以外に審美面を重視した強化プラスチック、セラミックなどがあります。
患者様のご希望でお選びいただけますので、質問等ありましたらスタッフにお申しつけください。