第58回 診療ナビゲーション・・・④(ブラックマージン)
このコーナーでは、日々の診療の中での患者さんとのやりとり、実際の治療の流れなどをお伝えできたら、 と思っています。
30代 男性 Oさんの場合
初診で来院されたOさんは「かぶせを新しく作り変えてほしい」とのことでしたが、仕事の都合で1ヶ月以内 に治療を完了しなければいけないという条件付きでした。
こちらの写真(左)は、治療前の口腔内正面から撮ったものです。
上の前歯真ん中4本のかぶせをよく見てください。
歯と歯ぐきの境の金属が露出して黒くなっているのがわかりますか?
歯科用語では、“ブラックマージン”といいます。
今回Oさんが一番気になられていたのは、この前歯でした。
こちらの写真(左)は、治療前の咬合面から撮ったものです。
今回Oさんが治療を希望されているのは、
上の前歯4本と奥歯3本の計7本でした。
こちらの写真(左)は、治療後口腔内正面から撮ったものです。
治療前の写真と比べていただくと、歯と歯ぐきの境のラインがきれいにでているのがわかります。
こちらの写真(左)は、治療後咬合面から撮ったものです。
治療前とかぶせの種類も変えています。
前歯は金属を使わないオールセラミック、奥歯は金属にセラミックをはりつけたメタルボンドをいれました。
今回のように、歯ぐきがやせたことにより、歯と歯ぐきの境に金属が露出してくることがあります。
しかし、オールセラミックという金属を全く使わないかぶせをいれることでことで、その心配はなくなりました。
また、セラミックは“変色しない・磨耗しない”といった長所があります。
★短所は、“硬いがもろい”という性質があることです。まず日常生活で壊れてしまうことはありませんが、
無意識にしてしまう歯ぎしりなどにより破折してしまうことがあります。治療前には、医師と十分にご相談を された上で治療に臨むことをおすすめします。