第6回 歯を守る特効薬 (孫に言われて・・・)
ある患者さんの前歯には、歯ぐきが赤く腫れ、歯ブラシをあてると血がジワッとにじんでくる所が2か所ありました。普段から歯ぐきが悪くなっていくのを気にされていて、「歯磨きはしっかりするんですよ。」と教えてくださいました。しかし、その2か所は歯ぐきがかなりやせてしまい、歯の根がむきだしになっていて、お孫さんには「おばぁちゃん、歯がぶらさがっっているよ」と言われるそうです。むきだしになった根のまわりに汚れが残っていたので、そのことを伝えると、鏡を見て、唇をひっぱり、苦労しながら歯ブラシでよごれを落とされました。
次に来院された時、「どうですか?」と聞かれたので、お口の中を見せてもらうと、まだ完全ではありませんが、歯ぐきの赤みや腫れが明らかに前回より良くなっていました。きっと前回の歯磨きをお家で実践されていたのでしょうね。さらには、お孫さんがあっという間に歯磨きを終えてしまうので、「歯は大事だからちゃんと磨かないとダメだよ。」と教えてあげているそうです。年齢を重ねていくと口の中の状態が変化していき、その変化にあわせて手入れの仕方も変わってきます。口の中の変化を受け入れ、良くしたいと思うその気持ちが自分の歯を長く使うための特効薬なのだなぁと、改めて、その患者さんから学んだような気がします。ぜひみなさんも一度、ご自分の口の中と向き合ってみてはいかがですか?
担当 坂本