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第31回 かかりつけ医が行うべき症例(埋伏歯)・・・①

”矯正歯科”の看板を掲げている歯科医院において、実際に患者さんが診療を受ける場合、A歯科医院の院長であるA先生ではなく、大学病院等から派遣された矯正専門医であるB先生が全て治療を行う、という体制をとっている歯科医院は非常に多いです。

 歯科においては、”矯正”という分野だけなぜか昔から専門性が強調され、一般の歯科医院では治療できない、特殊な知識、技術(スキル)がいる、という認識が歯科医の間に浸透しているのが実情です。本来、A歯科医院にきた患者さんは、A先生に治療してほしいに決まっています。それを、歯並びのことはB先生が詳しいですので、B先生にお願いしています、と丸投げするということは、言葉は妥当ではないかもしれませんが、その時点で、B歯科医院へ転医したのと同じです。矯正についても十分なスキルのあるA先生の指導の下、B先生が実際には治療を行うという形であれば問題はないと思いますが・・・。

 私たち歯科医は、”保存”(虫歯や歯周病治療)、”補綴”(被せや義歯の治療)、”口腔外科”(抜歯や切開等の処置)、”小児”(子供さんに関する治療)、”予防”等とともに、”矯正”についても十分学んだ専門家です。非常に特殊な設備、技術が必要な矯正治療を除いては、本来かかりつけ医であり、ホームドクターである一般開業医が行うのが理想と考えます。

 なぜなら、日常の臨床では、矯正治療単独での治療は少なく、外科や補綴、歯周治療等を加味した上で治療計画を立てたほうが良かったり、立てなければいけないケースのほうが断然多いからです。また、最初の小さな歯並びの異常を発見するのは当然ホームドクターですから、矯正治療ができないでは済まされない時代になった、という認識も必要ではないかと思います。

 タイトルの、<かかりつけ医が行うべき症例>かどうかの判断ですが、その歯科医のスキルによるところが大きいですし、難症例かどうかも、結局経験から得られることが多いので、小さな異常が発見されれば、できるだけ早く取り除く、といった姿勢が一番重要ではないかと思います。

 以下のよく出会う症例で話を進めてみたいと、思います。

症例

この症例は、13歳の女の子です。”右下の親知らずの周りの歯ぐきが腫れて痛い”、ことを主訴に来院されました。

 図Aの黄色丸の歯牙が原因なのですが、この歯は、親知らずではなく、第二大臼歯といって、真ん中から数えて7番目の一生使わなければいけない大切な歯です。

 図Bが口腔内の状態ですが、歯の頭の部分が少し見えているだけです。

 この歯の処置はどうしたらいいでしょうか?矯正専門の歯科医院へ紹介しますか?

 たぶん嫌がられるでしょう。なぜなら、矯正装置がつかないからです。患者さんも、歯並びが悪いので矯正専門の治療が必要だろう、という認識では来院されていないはずです 。

 個人的には、こういった症例こそかかりつけ医が行うべきだと考えます。もし、放置すれば、歯並びの問題以前に、この歯とその前の歯(第一大臼歯)の後ろ側が清掃できないため、間違いなく2本とも虫歯になります。

 図Cは、周囲の歯ぐきをめくって、可及的に歯を露出させたところです。図Dは、後ろにあった親知らず(第三大臼歯)を抜歯したところで、その時のレントゲンが図Eです。

A

B

C

D

E

 図Fのような装置で歯の傾きの是正(整直、アップライトという)を開始し、図Gが3ヶ月経過したところです。ここで、図Hの装置に交換し、図Iがほぼ治療が終了した時のレントゲン像です。図Jが治療終了時期の口腔内です。黄色丸の歯が、正常な歯列弓上の位置に改善されているのがおわかりいただけると思います。

 図Eから図Iの状態に改善させるのに、8ヶ月かかりました。8ヶ月という治療期間は、実は非常に順調に、しかも効率よく適切に装置を調整していったからだと考えられます。

 この症例と同じようなケースを治療された経験のある歯科医ならお分かりいただけると思いますが、実は、難易度がかなり高い処置なんです。1年~1年半かかっても全く不思議ではないケースです。

F

G

H

I

J

K

初診で図Aのような患者さんが来院された場合、前述しましたようにかかりつけ医が取り組むべきケースだとお話しましたが、たかが一本の歯の移動なのですが、実は、十分なスキルがないと好結果は期待できません。

 具体的にお話しますと、フォースコントロールが非常に難しいです。圧下力(歯ぐきの中へ押し込む力)をかけながらの後方(遠心)へのアップライトをしなければなりません。矯正装置を一工夫しないとアンカーロスして、第一大臼歯が遠心傾斜してしまいます。歯根未完成歯ですので、過度の矯正力は禁物です。また、対合歯(かみ合っている上の歯)の状態の把握も重要です。

 図Kのように、治療中一時的に萌出を遅らせるような装置を上顎に入れて、咬合干渉が起きないような配慮をしました。そして、今回もう一工夫したのは、親知らずを抜歯した時(図D)に、同時に第二大臼歯遠心側の歯槽骨整形コルチコトミーを行いました。歯槽骨の厚みを薄く、しかも海面骨を穴あき状にすることにより、第二大臼歯の移動方向の自由度が増すとともに、治療期間の短縮にもつながると考えたからです。

一般的には、中学生に上がる前後に第二大臼歯は生えてきます。前方(近心)や内側(舌側)に大きく傾いて生えてくるお子さんをよく見かけます。放置しておくと、審美的な問題ではなく、咬み合わせに悪影響がでます。第二大臼歯の咬合関係に問題があって、顎関節症になっている成人の方も多く見受けられます。ご自身の第二大臼歯の位置を今一度ご覧になってみてください。

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