第6回 正しい歯並び あなたにわかりますか?(成人編)・・第3弾
前回(歯並びの話 第2回)は、小児期の顔貌(顔の形)を見て、歯に歯列不正の有無?について考えてみました。
口の中を見なくてもある程度は、上顎、下顎の骨の成長に異常があるかないかがわかったと思います。
今回は、成人の顔貌(顔の形)についてお話しします。下図の2つの写真(側貌のシルエット)は、正常でしょうか?
もし上の写真が小児の側貌シルエットであれば、AもBも下顎前突(下顎過成長もしくは、上顎劣成長)で異常といえます。
Bの方が当然重度な下顎前突ですが、Aも下顎前突です。イラストでいえば、Ⅰの凹型タイプになります。小児は、鼻の成長が、上顎や下顎に比べ遅いため、ある時期には、下顎前突のような側貌になります。
ただし、上図のA,Bは、成人ですのでAは正常、Bは下顎前突ということになります。
実際の臨床の場では、成人の場合、顎の成長は終わっていますので、側貌X線規格写真(通称セファロ)が、大変重要ですし有効な診断基準になります。
右上図は、頭蓋や顔面のいくつかの基準点を術前、術中、術後で、重ね合わせトレースしたものです。
非常に正確に計測でき、 同年齢の人に比べ、どこが過成長か劣成長かなど詳細な客観的評価ができます。
次に正面からみた顔ですが、現代人は、下顎の細い「しの字型」の下顔面が増えています。「L字型」が理想 です(下図参照)。えらの張ったホームベースのような顎の人 は、一般に歯並びが良いと予想できます。えらが張っているということは、下顎と頭蓋を結んでいる筋肉の 発達がよく、大きく、太いということで、筋肉に付着している骨も発達します。
下顎の骨が大きけれ ば、歯が並ぶに足りるスペースが十分あるということです。噛む力も強いため、神経筋機能も発達し、 脳の活性にもつながります。
今日では、成人の方もいろいろな矯正の方法が、選択できる時代になりました。
抜歯せずに治療できることもまれではありません。
歯の裏に装置をつける「見えない矯正」、や審美歯科的要素(ホワイトニング、ラミネートベニア)を取り入れた「美白矯正」という分野さえあります。
最後になりましたが、いつもお話していますように、おかしいな?と思った時が、治療の開始時期です。「側貌のシルエット」もご覧になってみて下さい。