第162回 ”きれいな治療”を心がけています
先々週の週末の2日間は、東京に滞在していました。先週の週末、昨日も東京に日帰りでセミナーに参加していました。
土曜日には懇意にして頂いている先生のオフィスの見学をさせて頂きました。超高級住宅街にひっそりと佇んでいるクリニックは、外観だけでなく素人の私の目にもインテリアは当然として全てが洗練されていることを一瞬にして感じとることができました。もちろんハード面の素晴らしさを拝見したかったのではなく、仕事ぶりを生で見てみたい、という思いからお願いしていたのです。
日本の審美歯科治療の一線で活躍されており、英語にも堪能で最近では海外での講演もされています。私と同世代ということもあり、前々からどのような臨床をされているのか?とても興味がありました。一言では語れない多くの気づきがありました。
当クリニックでも、下記の3枚の写真が事例ですが、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用しなければ不可能なさまざまな処置を行っており、低浸襲(Minimal intervation)ということをキーワードに実績・経験値を上げているところです。
”きれいな治療をすることを心掛けているんだよ!”とも言われていました。下積み時代の話、劣等感にさいなまれながら人一倍努力したことも話してくれました。”歯医者は職人なんだよ!知識も大切だが臨床力を磨くためには手先の器用さがいるし、芸術作品を作るイメージで治療しているんだ!”とのこと。
夜遅く三ツ星レストランでのご家族との会食にも同席させて頂きました。何から何まで本当にお世話になりました。歯科医としてだけでなく人間的にもすばらしい方と再確認しました。今後ともご指導・ご教示の程宜しくお願いします。
日曜日は、「天然歯とインプラントに関する咬合」のレクチャーに参加しました。講師は咬合分野では著名なW先生で20人ほどの少人数だったため、活発なディスカッションも行われました。
W先生には来年岡山で私が所属していますODC(Okayama Dentists Club)で講演して頂くことになっています。また、歯科専門誌の特別座談会でもご一緒させて頂くことになっています。来年上期の特別企画で掲載されます。宜しくお願いします。
講演内容は天然歯とインプラントを比較しての基本的事項の復習がメインでしたが、歯牙保存のためにルールに乗っ取った妥協なき理詰めの臨床をされている、という印象を持ちました。また、数人の専門医が常駐していてインターディシプリナリー・トリートメントを実践されている全国的にも数少ない医院で、羨ましい限りでした
ところで、先日の「日本国際歯科大会」の余韻がずっと続いています。いろいろな方面から問い合わせやオファーがあります。来年は今年以上に対外的な行事が増えそうです。
また英語の論文にも挑戦しています。米国歯周病科の教授から依頼のあったケースリポート(症例報告)は先日提出したのですが、学術誌への投稿論文を彼のアドバイスの下作成しています。
しかし、自クリニックでの地に足のついた臨床を行うことが最も大切であることに変わりはありません。自身の臨床から得られるエビデンスを積み上げることが最も経験値がアップし臨床力が磨けます。
早いもので卒後20年を超え、「自医院の長期症例、フルマウス(上下全顎)での咬合再構成症例、他医院からの依頼や転医でのリカバリーケース」が増えてきました。特にインプラント関連が多く、マイクロサージェリー(歯科用顕微鏡下での外科処置)での精密かつ丁寧な手技が要求されることも多々あります。わざわざ関東地区から治療のために毎月来院される患者さんもおられます。
検証の域に入ったと感じます。”やっていいこと、やっても意味がないこと、やってはいけないこと、やっても不確実なこと”、などを整理しなければいけない、と感じます・・・。
新しいものに飛びつく前に、基本スキルの精度をもっともっと上げたい、と思う今日この頃です。