第161回 ”日本国際歯科大会”に参加!
歯科界の今年最大の学術大会である”日本国際歯科大会”が、「パシフィコ横浜」で開催されました。
4年に一度の本大会には、世界のトップクラスの海外演者を始め、日本を代表する、時代を象徴する歯科医たちが登壇し、熱い講演・議論がかわされた3日間でした。
主催者である「クインテッセンス出版社」によると、前回の4万7千人を上回る入場者数で、盛況の内に閉幕したとのことです。
そんな中、演者の一人として参加できたことは、本当に光栄であるとともに関係者の方々には大変にお世話になりました。
現時点での最新・最先端の歯科事情を肌で感じれたとともに、今後の歯科界・歯科臨床に向けてのさまざまなメッセージを知る機会となりました。
会場周辺のベイエリアである「みなとみらい」の夜景、イルミネーションは、本当に美しかったです。また、帆船をイメージする「インターコンチネンタルホテル」での滞在では、接客を始めさすがワンランク上のホテルだな、という印象が随所に垣間見れました。
学術大会の内容ですが、私の個人的な総評としては、”インプラントや審美”が至上主義で全盛期の昨今の歯科事情への警鐘・警告的な発信をされている歯科医が多かったように思った。
歯科臨床の根幹をなすぺリオ(歯周炎)やエンド(根管治療)へ誠実に取り組むこと、その精度を上げること、そして私たち歯科医の最大の使命である”歯牙保存への努力を惜しまないこと”、が随所にメッセージとして強調されていたと思う。
私も同感である。切削や抜歯後に、修復治療(被せ、インプラント、義歯など)にすることは所詮代替え品である。可能ならば歯牙及び歯周組織が本来持っている生命力をいかに引き出すかを念頭においた臨床を心掛けたい。
治療介入はミニマム(最小限)にし、不可逆的な行為は極力避ける、というスタンスを全ての歯科医がもつべきである、と再確認した。
そのためには、当たり前のことだが、私たち歯科医は、一生を通じて歯科臨床のさまざまな知識・技術を磨き、経験を積まなければいけないのです。
さまざまな分野からの治療選択肢を同じ土俵で思考し、ゴール設定するためには、診査・診断・治療計画立案までのステップを如何に丁寧に行うか?が問われている。
私は、10日の午後のセッションにて講演させて頂いた。顔なじみのサポーターもいて、アウェイという雰囲気は感じずやりきりました。
適応症はあるものの、歯のポジショニングの是正みで治療が完了する非抜歯での矯正治療は、切削や抜歯を行わない最もMI(Minimal intervation)な治療の範疇であることを声を大にして述べた。
重度の骨格性の下顎前突(受け口)を、非外科・非抜歯にて改善したケースリポートを中心に、さまざまなテクニックや装置を駆使して順序立てて治療目標に向かって行く過程をプレゼンした。
座長である著名な矯正専門医からも非常に評価して頂き本当にうれしかったと同時に、自分が日々の臨床で行っていることの正当性の確認や自信にもつながった。
自分より経験のある歯科医に批評して頂くことにより、次の目標が見えてくる。
歯科衛生士のセッションですが、前回大会に比較し非常に充実していた、という印象を持った。ほとんどのホールで立ち見の状態で、事前登録も、歯科医と変わらない人数だったそうです。
今後、超高齢化が進む日本においては、予防業務の中心を担う歯科衛生士の役割は益々問われる時代になると感じました。
また、同時に開催された”ワールドデンタルショー”の会場は、人・人・人という状態でした。本大会に合わせた新商品も数多く出品展示されていて、地方都市で行われるデンタルショーにはない活気に満ち溢れていた。
Q社主催のパーティーでは、いつもお世話になっている尊敬する方々との懇談を楽しみつつ、新たな出会いも数多くありました。
人との縁はとても大切です。自分にはない魅力(知識・技術・人格等)を持っている歯科医からは、何からでも学びたいと思っています。
「自分が持っていないもの」=「自分のウェークポイント」と言えます。苦手分野や丸投げ分野を作らないようにすること、が私の歯科臨床を行う上でのポリシーです。
演者や座長をされていた初対面の何人かの方からも、いろいろなヒント・助言を頂きました。課題を整理し、日々の診療の質の向上へつなげたい!と、決意を新たにしました。
いずれにせよ、長いようで短かかった充実した3日間が終わりました。
今日から日常診療に戻ります。週末には私が所属している歯科医のスタディグループ(ODC:Okayama Dentists Club)の例会です。会員による興味深いプレゼンが予定されています。
来月のサブ例会では、「実習マイクロエンドセミナー」と題し、東京から著名な講師をお招きして、マイクロスコープを約10台持ち込んで2日間みっちり実習します。とても楽しみにしています。
気がつけば、2010年も2カ月を切りました。”総合的な臨床力を高めることに努力する!”ことに終わりはありません。これからも多くの同志とともに継続していきます。