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第158回 論文の反響

昨日は、岡山県内の提携歯科医院で3件の出張オペを行いました。

通常出張オペは木曜日に行うことにしているのですが、今月中旬から来月上旬にかけて全ての木曜日が予定で埋まっているため日曜日にお願いしていたところです。

最近インプラント治療を行う医院で時々問題になるのが、フリーの麻酔医による鎮静処置である。ケースによっては法外な報酬を要求するといううわさも聞きます。

昨日午後に行った医院には、大阪からフリーの麻酔医が出張で来ていて、静脈内鎮静下で上下全顎欠損のインプラント処置(上顎8本、下顎6本埋入)を行いました。

麻酔医の全身管理下においてインプラント治療を行うこと自体は、安全・安心な治療のためのオプションとしての必須事項です。

特に、高齢の方や全身的な基礎疾患の持病がある方が外科処置を行う際には、術前に担当医と十二分に連携しておくことは当然として、麻酔医による術中管理が重要となります。
時には病状が落ち着くまで待ってからインプラント治療を行う、という選択肢になる場合もあります。

何が問題かというと、麻酔医にもレベルやスキル(主に歯科治療への造詣の深さ)に差がある、という点です。術中の鎮静深度の調整・管理は、術者が治療をスムーズに進行できるか否かに左右します。

歯科治療の現場にどれだけ立ち会っているか?言い換えればインプラント治療についての知識が必要、ということです。そのため、私見としては医科の現場で働く麻酔医より歯科の現場で働く歯科麻酔医の方がさまざまな面で優れていると言えます。

鎮静深度を深くしすぎると、患者さんは開口しずらくなり術者の操作性は悪くなります。また舌根沈下により気道が閉塞しがちになり、バイタルも不安定になりがちです。

そして生理食塩水を使用する処置を行う時むせることが多くなり、たびたび処置の中断となります。

一方鎮静が浅いと患者さんの意識レベルは低下しないためオペ中のことをほとんど憶えていた、といった不安感を取り除くことが目的の一つである健忘効果が発揮されず、十分な満足度が得られない可能性があります。

ですから、オペ中、処置に応じて鎮静深度を調整できるスキルが必要ということです。

昨日術中管理をした麻酔医は、歯科の現場での経験がほとんどなく、術者である私の感想としては、非常にやりにくいオペでした。オペ当日初対面というのも、チームでの医療という観点からすると意思疎通がとりにくい、と言わざるをえませんでした。

当クリニックでは、気心知れた、いつも一緒に仕事をしている歯科麻酔医とともにオペを行なっています。ですから歯科に関する知識はもちろんのことオペに関わる全スタッフにとっても安心感があります。

そして私を含めスタッフ一同も歯科麻酔への日々の研鑽を積める環境が整い、オペに拘わる全スタッフが知識を共有することにより、チーム力が向上し進化し続けることが可能と考えます。

インプラント治療を含めた外科処置を安全・安心に行うためには、”オペに参加する個々の横の連携が十分にとれているか?”が鍵ではないか?と思っています。

ところで歯科専門の総合学術誌”ザ・クインテッセンス”の2010年8月号に私の論文が掲載されて1か月が経ちました。この間、全国の多くの歯科医からさまざまな問い合わせが寄せられています。総数では100件を超え、とても驚いているというのが正直なところです。

大半は論文の内容に関する質問ですが、日々遭遇する低品質な歯科治療歴をリカバリーするための具体的な対処法は?GP(一般臨床家)が矯正治療を日常臨床へ取り入れていくための学習法は?など多岐に渡っています。また、東京や大阪での講演依頼も数件ありました。

現在、歯科界はいろいろな意味で逆境にさらされています。歯科医院の数はコンビニより多く、過当競争の時代と言われています。生き残りを賭けた時代に突入!とか勝ち組・負け組の2極化!歯科医のワーキングプア!と言ったワードでマスコミに取り上げられる機会が増えています。さらに歯科大学の入学定員割れは年を追うごとに悪化しており、世間の目からは魅力のない職業という認識が定着しています。

そのため、歯科医院は「経営第一主義」で、本業である歯科医療への研鑽・学習はそっちのけで、ビジネス的発想で収益向上に躍起になり集客や患者抱え込みのためのツール作りやイベント開催に時間を費やす日々で、薄利多売の拡大路線を突き進み、「規模の大きな医院=成功事例」という風潮が一部の歯科医に浸透していることは、大きな問題と感じています。

さらに売名や金儲け目的に時にはマスコミを利用してビジネスライクに展開するのなら、歯科医のライセンスは国に返上して、別の事業を起業して経営に専念すればいいのではないか?とぼやきたくなるのは、心ある歯科医なら感じているはずである。焦燥感を感じないではいられない悲しい御時世です。

臨床家は、”自身が行う歯科医療の中身の向上のために没頭し、自らの知識・技術力・経験を上げていくことで始めて患者さん受益に貢献できるし、社会の役に立つ!”と声を大にして言いたい。

特に、30代~40代前半のこれから歯科界を背負っていくであろう若い歯科医の方には、本道である臨床への情熱や強い想いを持って日々仕事に取り組んでほしいと思います。私が発起人のODC(Okayama Dentists Club)でも”臨床力を高めることに精魂費やす!”この点については、絶対にぶれないで今後も活動していきます。

自身の2011年度のスケジュールが、少しずつ決定していってます。何人かの歯科医の方からの要望にお応えする形として、「包括的臨床の中で行うGPによる本格矯正(仮題)」という10回程度の実習主体のコースを行うことにしました。また、矯正専門医中心の250名以上の会員からなる矯正の学会の理事に先日選出されましたので、その活動にも尽力したいと思っています。

アウトプットに関しては、「本当の歯科医療を取り戻そう!」ということを、機会あるごとに伝えていきたいと思います。”さまざまな分野の知識・技術・経験を高いレベルでバランスよく持ち合わせた歯科医であればあるほど、患者さんの想いに叶えられる”、ということを同業者には伝えていきたいです。

今日から実務経験豊富な歯科衛生士がスタッフに加わります。新しい風が、院内の雰囲気に良い意味での変化をもたらしてくれたら、と期待しています。

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