第136回 ODC例会・・・歯周治療のセッション
8月8日(土)は、歯科医のスタディーグループであるODC(Okayama Dentists Club)の2009年度第7回例会を行った。歯周治療の基本的概念の講義を行った後、歯周外科の実習を含め、4時間足らず行った。
外科の基本中の基本である切開・剥離・縫合の各手技をガムシートで練習した後、私の考えた臨床上有益な縫合法なども提示させて頂きました。
ルートプレーニング、キュレッタージ、各種フラップデザインのポイントを説明した上で、ペリオ用模型を使用して、基本となるフラップサージェリーの習得、練習を行いました。本当に熱心に実習に打ち込んで頂き、実り多い例会になったのではないか、と思っています。
臨床においては、EBMに沿った正しい知識の下に、確固たるゴールを目指すことが重要です。歯周環境を整えることは、高品質な修復治療を行うための下地作りにも必要で、補綴物(被せ物)の予知性に影響します。学術、生物学に立脚した自身の臨床的基準を持っておくことが求められます。
次回例会は、再生療法を含む歯周形成外科のさまざまな手技を、実習中心に行います。日本人は、欧米人に比べ歯肉が薄く、デリケートに処理しないと、好結果が得られません。
しかし、審美領域の軟組織の処理は、最終的な仕上がりを大きく左右します。歯槽提増大、根面被覆などは、日常的に行われるようになりました。
歯科医としての本道、王道である医療技術の習得に時間を費やし努力することこそが、専門性の高い歯科医という職を選んだ私たちの本来の姿と感じています。毎回、多くの方に夜遅くまで参加頂き、岡山の歯科医療の底上げが少しずつ進んでいる、と実感します。
左記の症例は、昨日行った20代前半の患者さんです。ほぼ上顎全体の歯周外科を行いました。後日、下顎について行います。
多数の不適合補綴物が前医にて装着されており、歯周炎を繰り返していました。臨床的歯冠長延長術という手技を行うことにより、歯周環境が改善します。歯槽骨の整形も行っています。長期的に安定した良質な補綴物を作製するために必要な処置です。
また、別件にはなりますが、本サイトの「院長のメッセージ」の第87回に掲載していますように、10月18日(日)に、ODC主催の対外的なセミナーを日本の臨床家を代表する「茂野啓示先生」をお招きして開催します。当日に向けて、会員全員で準備を進めていきますので、多くの方の参加をお待ちしています。
現在の歯科医療は、多分野のスキルをコンビネーションしなければ、高品質な結果、多様な患者さんの要望に答えられなくなってきました。
歯周外科、歯周補綴、歯内外科、外科矯正、補綴矯正、歯周矯正、審美補綴、インプラント矯正、予防矯正などなど、2つ、あるいはそれ以上の分野をミックスした言葉が飛び交っており、手技の習得にも、相当な時間、労力が必要な時代です。臨床医たるもの、オールラウンドプレーヤーでなければ通用しない時代ともいえます。
しかし、発想を変えれば、やる気のある歯科医にとっては、とてもやりがいのある時代になったとも言えます。歯科材料、手技のラインナップは出つくした感があり、情報を入手することも比較的容易です。同業者から見て、”コンセンサスの得られる治療を行いたい!”、という思いがあります。
毎日、一歩一歩前進するのみです。ステップアップの努力をすること、そしてその成果が患者さんからフィードバックされ感謝されることを日々楽しんでいます。