第129回 東京でのプレゼンテーション
先週もいろいろありました。諸事情があってのことですが、現在当クリニックはマンパワーが明らかに不足しています。ドクター、コ・デンタルスタッフ共に数が足りないため、現在勤務しているスタッフへのしわ寄せ、そして患者さんには、待ち時間等で大変ご迷惑をおかけしている現状があります。早急に改善させることが私院長の責務と感じています。本当に申し訳ありません。
そんな中、ルーティーンで行っている鎮静下でのインプラントオペを火曜日に行い、木曜日の午前中は校医をしている中学校の検診に行きました。
毎年思うことですが、子供たちの虫歯の数は、明らかに減少傾向にあります。その一方歯並びの問題を抱えたお子さんが非常に目立ちます。その影響で、ブラッシングがうまくできず、歯肉炎を併発している子供も多いという現状があります。
私たち歯科医の仕事も、虫歯治療から歯並びを中心とした健全な口腔機能の回復や顎、顔面の正常な成長発育のケアへと変化していくものと思われます。そのためには、かかりつけ医として十分な矯正の知識、スキルが必要不可欠な時代になってきたと感じます。
午後からは先日提携して頂いた歯科医院での出張オペを行いました。リカバリーケースで、上顎の前歯部領域のGBR、GTR、CTGという再生療法を同時に行う、とてもセンシティブな症例でした。患者さん自身の自然治癒力の手助けも必要です。良い結果が出るよう最善を尽しました。
また、夕方からは岡山市内のドクターの院内見学とスタディーグルループでの講演依頼の打ち合わせでした。長時間ご足労をおかけしました。今後とも宜しくお願いします。
さて、先週金曜夕方から昨日の日曜まで、東京に3日間いました。最高顧問であるY先生を始め、S先生を中心とした数人の顧問、インストラクターの方々から補綴分野や審美を中心とした多くの”学び”を得ました。ロジック(論理)に立脚した診療を行うためには、生物学的臨床基準を明確に持っておかなければいけないことが、繰り返し強調されました。
基礎的、基本的な学問の積み上げ、習得、確認の場でもありました。そして、”ティッシュマネージメント”へ妥協しないことが補綴のクオリティー(品質)の大部分を左右することも改めて実感しました。とにかく「こだわり」が必要ということです。
花火のような自信作ではなく、症例としては非常にレア(稀)な審美ケースで、自身としても補綴設計にとても熟慮した手技的にも反省点の多いある意味多くの批判が飛び交うであろうことを覚悟の上のものを提示しました。
審美領域の単独インプラントは、術者のスキル的な事は当然として、天然歯と区別がつかない仕上がりが求められますので、確固たるコンセプトと綿密なプランニングを行った上で治療が行われなければなりません。さらに、本症例は別の意味の悪条件も重なっていました。
案の上、さまざまなご意見を頂きました。同業者からの批判、批評は何物にも代えがたい私にとっての”糧”、”財産”、そして”活力源”と思っています。
ましてや日本を牽引しているそうそうたる臨床医の方々からのご教示は、今日からの臨床を変化させるのに十分なモチベーションに直結します。また、私の臨床レベル、立ち位置についても、ある程度認めて頂けた部分もあり、少しうれしくも感じました。
院長として開業し、ある意味王様のような立場になってしまうと、通常同業者から自身の臨床レベルについて”公の場で叱責される”機会はめっきり減ってしまいます。年齢が上がればなおさらです。ですから、敢えて荒海に出ていく場を意識して作るようにしています。
それが向学心、向上心の原動力だからです。