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第102回 ”Teeth in one day”&”痛みのコントロール”

2/10,11は東京、2/16,17は大阪へ出かけました。エンド(歯の内部の治療法)、補綴(被せや義歯)、歯周外科のセミナーへ参加し、各分野の著名な方から最新情報も入手できました。来月、来々月も私は土曜日を留守にすることが多いのですが、ベーシックな話からアドバンスまで、土日で6~12回コースのセミナーなので、中身の濃い充実した内容になるはずです。本当に楽しみです。

日々の診療ですが、例えは不適切かもしれませんが、”非常に楽しく、やりがい”を感じています。一口腔単位のオーラル・リハビリテーションが必要な方が増えました。複雑な歯科治療遍歴のある方や、顎偏位、精神的に病んでいる方など、一朝一夕にはプランニングの立てれない、診査・診断はもちろんのこと、治療法がいくつも考えれる方々です。

当クリニックでは、多種多様な外科処置に対応できる体制を目指し、スタッフのスキルアップはもちろんのこと、設備・リスク管理などの面からも良質な環境整備に努めています。

3日前インプラントのオペを行った下記の方は、20年ぶりの歯科医院来院とのことでした。若い時に味わった歯医者嫌いのトラウマから抜け出せず、長らく放置していました。十分すぎるインフォームド・コンセントをして治療法を決定しました。

保存不可能な12本の歯牙を抜歯し、即時に13本のインプラントを埋入、初期固定の良好な12本を利用して即時負荷し固定式の仮歯を同日装着しました。
”Teeth in one day”というコンセプトの術式で、しかも上下顎同時に行うにあたっては、周到な準備とガイドラインに沿った習熟したテクニックが必要な治療法です。

そして、最近私が常に考えているのが、”外科処置時、処置後の痛みのコントロール”です。オペ後の痛みや腫れは患者さんにとってはとてもつらい不快症状です。下記の方は、一日で上下顎全体の顎骨を触り、歯茎をめくりました。非常に広範囲な外科的浸襲を受けたにも拘らず、翌日来院時にご本人にお聞きしたところ、”痛み止めは一度も飲まなかったし、腫れも全くない!”とおっしゃっていました。スタッフは、信じられない様子でしたが、本当のことです。

実は、術前、術中、術後を通して痛みを軽減するためいろいろな手法を施しています。大きな浸襲、傷を創ったから痛みや腫れが大きく出るのではありません。術者がどのような場面で何にどの程度配慮、気配りをした処置を行ったか?が最も重要なのです。その辺りについても少し触れてみたいと思います。


図Aが初診時のパノラマレントゲンで、12本の歯牙が残存していましたが、全てぐらぐらの状態で、保存するのが難しい状況でした。

上下の歯牙が咬みあっている部位は1箇所だけでしたが、その場所でも、歯もぐらぐらで、最近全く咬めなくなってきたと訴えられていました。

図B~Gが初診時の口腔内の状態です。図Bの正面観では、上顎の前歯5本が唇側(前方)へ大きく傾斜しています。図Cが口元のアップですが、唇を閉じれない程、前歯が前方へ出ている”著しい出っ歯”の状態でした。

外出時はいつもマスクをかけているとのことで、”早急な審美的な改善”も主訴に挙げられていました。

図Dが上顎咬合面、図Eが下顎咬合面です。真横に向いていたり、大きく歯茎から出てきた状態(挺出という)の歯牙ばかりで、歯周病も進行していました。

図F(左側面観)、図G(右側面観)でも、咬合平面が乱れ、咬合高径の低下した”咬合が崩壊した状況”でした。

A

B

C

D

E

F

G

患者さんには、幾つかの治療プランを提案しました。費用、期間、オペの回数、最終的なゴールの形(補綴形態)など、どの治療法にも一長一短あることを十分理解して頂くことが出発点です。

当クリニックに設置されている広範囲撮影が可能な歯科用CT”MercuRay 12型”ですと、上下顎骨全体を撮影できます。、図Hのように上下顎全体にインプラント治療を行った場合のシュミレーションを、PCの3D上で行いました。

PC上で、仮想インプラント(ピンクと黄色)や神経管(橙色)を表示、マーキングし、多角的な診査を行います。

図Iは、上顎のプランニングをしているところですが、各セクション像も0.2㎜単位で鮮明に表示できることから、2Dと3Dを見比べながら顎骨の形状を3次元的に把握していきます。

図Jは下顎のプランニングをしているところですが、安全域であるオトガイ孔間(橙色の神経管が存在しない前歯エリア)に6本、最遠心部は意図的な傾斜埋入をし、初期固定が不十分なインプラントが存在した場合に備えて、レスキューとして2本のショートインプラントを用意してオペに臨みました。

上顎は、左右上顎洞前壁に沿わせる傾斜埋入と、鼻腔側の骨を利用したバイ・コーティカルな固定を目指し、グラフトレス(骨造成しない)で即時加重は可能と診断しました。

H

I

J

図K,Lがオペ直後の上下顎咬合面観です。フラップをしっかり骨面に密着させること、テンションをかけない縫合、それから圧迫止血を確実に行うこと、PRPやPPPを利用して軟組織の治癒を早め、感染防止に努めることを行います。

その後図M,Nを利用、調整して、固定式の仮歯を装着しました。オペ当日から機能的にも、審美的にも劇的に口腔機能は向上しました。

埋入直後のパノラマレントゲン像が図Oです。上下顎とも”All-on-6″風としました。2本連続して残存していた歯牙の抜歯部位へ埋入した初期固定の悪かった右下3番相当部は即時負荷がかけれなかったため、右下6番相当部へレスキューのショートインプラント(直径8㎜)を埋入しました。

上顎はイメージ通り6本の”All-on-6”で確実な初期固定が得られました。

オペに3時間足らず、その後の補綴(被せの調整)に1.5時間要しました。仮歯ですが固定式ですので、しっかり美味しいものが食べれます。3ヵ月後に最終的な被せを作製します。

K

L

M

N

術者1人では上記のような処置は到底できません。患者さんの負担を考えると、3時間のオペは、”静脈鎮静下”でなければ絶対不可能です。経験豊富な歯科麻酔医のドクターが術中管理をしっかりしてくれることにより、術者は、術野に集中できます。

鎮静深度も、深すぎず浅すぎず、インプラント治療の鎮静を数多く手がけていることからの経験の差は大きいと考えています。そして、いつも夜遅くまで頑張ってくれるオペスタッフとの”チーム医療”が支えで成立します

それから、前述しました”痛みのコントロール”については、私自身最近特に配慮するようにしています。
”切開、剥離、縫合”といった外科の基本術式の手法一つとっても、やり方一つで、術後の痛みや腫れに大きく影響します。
”清潔不潔をしっかりと行い、感染させないこと、骨が空気に触れる時間を極力少なくすること、一つ一つの処置を確実にしかも迅速に行うこと”など多岐に渡ります。

”無痛治療”という言葉がサイトや紙面に氾濫しているが、それはあくまで処置中の話である。外科処置について言えば、患者さんにとって最もつらいのは、処置後の痛みや腫れである。麻酔が効れた術後の痛みを最大限軽減する努力を、術中行わなければいけない。

この日曜日(2/24)は、同期で同門の気心しれた友人数名と久しぶりに会います。全く仕事がらみでない、損得感情の全く入る余地のない気心知れた純粋に友人、いや”親友”と呼べるやつらです。一生の付き合いになる良いやつばかりです。

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