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第40回 ”かみ合わせ”治療への取り組み!(総論)

かみ合わせのことを、”咬合”といいます。私たち歯科医が日々の診療で、来院される患者さん1人1人に、「どのような咬合を与えるか?いかにして咬みやすく、長期に安定した咬合関係にするか?」という永遠のテーマともいうべき課題があります。

 ”うまく噛めない!、かみ合わせが悪いせいで顎が痛い!顎がゆがんでいる!歯軋りがひどい!・・・”など患者さんからの訴えはもちろんのこと、歯科医サイドからみても、明らかに咬合に問題があったり、重症になると、咬合が崩壊してしまっている方に、頻繁に遭遇します。
 私たち歯科医は、正しい咬合に関する知識を持った上での診断が必要不可欠です。正常な咬合、理想的な咬合についての認識を持っていて、始めて治療に取り組めるからです。多数の歯を同時に治療する場合は、特に重要になってきます。

 私事でいえば、卒後5年間は、補綴科という”かみ合わせを専門的に扱う講座”に在籍していましたので、咬合については、それなりにこだわりを持って診療に取り組んできたつもりです。
 今回は、咬合に問題がある患者さんへの当医院での取り組み方についての概略をお話してみたいと思います。



■症例1■
図A、B、C、Dが治療前です。60代の男性の方で、咬むところがない(咀嚼障害という)のと、審美的な回復の両方を主訴に当医院へ来院されました。

 歯が欠損しているところが何箇所かあるとともに、図Aのように、歯周病が全体に進行して、歯茎がやせて、歯の根の部分が随所で見えています(歯肉退縮という)。また、図Bのように、上顎の前歯は傾いて出っ歯にもなっていますし、図C、Dのように、全ての歯が頬っぺた方向へ傾いて開いた状態フレアーという)になっていました。まさに、”咬合が崩壊した状態”といえます。

 このような方の治療計画を立案する場合、まず、歯周病の初期治療を行い、保存可能な歯とそうでない歯の選別をする必要があります。保存可能な歯であっても、現状では本来あるべき位置にはないので、矯正治療で元の位置へ移動するか、被せで補綴的に治療するか、患者さんの要望も取り入れて、治療方針を決定します。

私の場合は、可能な治療方法を全て提示し、各治療法の長所短所、治療期間、費用等を説明した上で、最終的には患者さんの要望に沿う治療法にできるかぎりする、というスタンスをとっています。
 
図E、F、G、Hが術後です。下顎(図G)については、被せをつなげた固定式のブリッジで対応し、上顎(図H)は、残存可能な歯の歯冠修復を行った後、欠損部については、インプラント治療を希望しなかったため、義歯を装着しました。

下顎最後臼歯の長期予後に不安な面がありましたので、欠損部には、将来インプラント治療が可能なように、骨造成を行いました。詳細については、今回のテーマとはずれますので、省きます。 
 上下全体の歯牙を再構築する場合、正常な咬合状態に戻さなければなりません。具体的な方法を次の症例でお話してみたいと思います。



■症例2■
症例2は、50代の女性で、主訴は”すきっ歯と出っ歯を治したい”という審美障害でした。
図I、J、K、Lが術前の状態です。図Iが正面観で、全歯牙が唇側、頬側に傾いているため、すきっ歯になっています。図Jでは、、上の歯が前に出た”出っ歯”が顕著ですし、図K(上顎)、図L(下顎)ですが、手の平を広げたように、歯牙が全部外向きに傾いていました。歯周病が中程度から重度に進行しており、かみ合わせが明らかに低い(咬合高径が低い状態でした。

この方のように、全顎的に咬合に異常をきたしている患者さんの場合、顎関節の位置に対する上下の歯牙の咬合関係を、図Mのような”フェイスボウ”と呼ばれる機器を使用して、口腔外に再現して、問題点等をピックアップしていきます。図Nが実際に患者さんに使用しているところで、いくつかの下顎位(習慣性咬合位、メカニカルとバイオロジカルな中心位、左右側方限界位、前方限界位等)を採得します。わかりやすくいいますと、下顎が動ける範囲(前後左右)を計測します。

 図O咬合器と呼ばれる下顎の動きを口腔外で再現できる道具で、イメージとしては、図Pのような感じです。顎関節の中心である下顎頭というのは、開閉口時、一点を中心に回転運動しているだけではなく、大きく口を開けると、前下方へ下顎頭自体が動くような構造になっています。また、左右がバランスよく同じ動きをしなければなりません。非常に特異な関節の構造になっています。

 下顎頭が正常な動きをする方の場合や、咬合に問題がない方の場合は、”平均値咬合器”と呼ばれる標準的な下顎の動きを再現した咬合器を使用すればいいのですが、症例2の患者さんのように咬合が明らかに崩壊している方の場合、”半調節性咬合器”と呼ばれるいくつかの調整箇所を具備したものを使わないと、正確な診断がつきません。

図Q図Rが頻用されている半調節性咬合器です。私は3つの咬合器を使い分けています。半調節性咬合器にも、ファイスボウの取り付け方の違いや、下顎頭の側方への動きの調節の仕方によっていくつかのタイプに分類できます。使いやすい咬合器、使いにくい咬合器というのがあります。この話はかなり専門的になりますので、またの機会にお話したいと思います。

図S、T、U、Vが実際に咬合器上で最終的な被せを作成しているところです。咬合器上で、模型を動かして、歯の形態、凹凸がガイドとなって、顎が適正な道筋の方向へ動くように被せを作っていきます。非常に熟練のいる作業です。
 
”上下全体の歯を治療する”場合や、”顎の偏位がある”場合、”咬合由来の顎関節症の方”など、下顎位を大きく変える治療をする場合には、必ず必要なステップです。審美面に配慮しながら、前後左右の下顎の運動に対して、適正なガイドがある咬合様式を与えていきます。

 このとき、歯科技工士まかせではなく、私たち歯科医の的確な指示が一番重要です。適正な被せか否かかの判断がつく”目”が必要です。私の場合、技工をするのが大好きですので、難症例ほど自分で技工するようにしています。


図U、Vは、前歯の前方部分はロウのような軟らかい仮の材料でできていて、骨組みである金属部分の調整をしているところです。

U

図W、X、Y、Zが治療後の状態です。健康保険での治療を希望されていましたので、奥歯は金属の被せになっていますが、咬むという機能面については、何ら問題はありません。患者さんのライフスタイル、要望を最優先にして、どんな治療法にも、一長一短あることを説明し、妥協点を探るべきだと考えています。 治療後の状態を長期に維持するための歯科医、患者さん双方の努力が必要なことは、いうまでもありません。

実は、”かみ合わせ”をテーマに話してきましたが、とてもちぐはぐで、いいたいことの十分の一も掲載できていません。 咬合のことを話し始めると、一般の方には、とても難解になってしまいます。基礎知識がかなり必要だからです。

 また、よく考えてみると、ちょっとテーマが大きすぎた気がします。次回は、テーマは”かみ合わせ(咬合)”ですが、 もう少し小さなサブタイトルをつけて、顎関節”のことを中心にお話してみたいと思います。

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