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第28回 私の診療理念、最近当医院で行われた治療・・・①

当医院の診療理念を一言でいえば、”総合的な歯科医療の提供”です。現在歯科医療として外来で行われているあらゆる治療を選択肢として患者さんに提示できるように、日々スタッフ共々研鑽、努力しています。

 また、開業医である性格上、 ホームドクターとしての役割も重要と考えていますので、院長の私が、全ての患者さんを診て、ケアーすることを大前提にしています。2人、3人と複数の歯科医や大勢のスタッフがいる小規模な病院のような形態は、全く考えていません。全ての患者さんを私が診ることが、物理的に不可能だからです。 当医院へ来る患者さんは、私に診てほしいから来るのです。 歯科医、つまり人が代われば、歯科の知識、医療技術、性格、患者さんとのコミニケーションのとり方全てが違います。 

 一般歯科は私がやりますが、矯正はA先生、インプラントはB先生というふうでは、かかりつけのホームドクターとは呼べないと 思います。日々の会話から得られる患者さんの考え方、人柄も、治療を進めていく上では重要な決定要素になりますので、全ての方と接することが必要です。

 例えは悪いですが、大病院のように細分化されすぎますと、”専門バカ”と呼ばれる自分の得意分野からの治療、アプローチしか考えられない歯科医ばかりになってしまいます。”ホームドクター”は、 歯科の全ての分野に関してのスペシャリストでなければならないし、そのことが、患者さんにとっての一番の幸せを提供できる、歯科医だと思います。

 また、最近では歯科医は口の中のことだけ知っていればいいという時代ではなくなったと痛感します。

 耳鼻咽喉科、整形外科、美容外科などでのトラブルからくる口の中の異常についての相談も多々あります。プライバシーへの配慮から掲載できない事例が多いのですが、「患者さんの声」のページに 一部を掲載しています。

 私としては、今後も歯科領域にとらわれない全身の健康に関するいろいろな相談、悩みにもサイトや石井歯科新聞等でご紹介し、私の考え方、 歯科の正しい知識を広く啓蒙していきたいと、思っています。

 前置きが大変長くなってしまってすいません。今回から当医院で最近行われた、あるいは行われている治療を症例をあげて、できるだけ詳しく 解説していきたいと思います。患者さんの主訴に対しての治療法は、何通りかあります。どうして最終的にその治療法を選択したか?治療中に起こった 問題点や治療後の反省点、などをできるだけ生の声としてお伝えできれば、と思います。

<症例>

バネがなく、支えの歯に全くといっていいほど負担のかからないリーゲルアタッチメントを利用した入れ歯

 一般的に開業医が行うバネのない入れ歯については、第24回<バネのない入れ歯の話>コーヌステレスコープ義歯磁石(マグネット)を使った義歯について 触れましたので詳細については省略します。

 今回は、コーヌス義歯やマグネット義歯よりもさらに進化した、支えの歯に全くといえるほど負担のかからない入れ歯で治療した当医院での症例について、お話してみたいと思いいます。

図A

 図Aは、治療前です。50代のMさんは、他院で、100万円の費用をかけて、下顎にコーヌステレスコープ義歯を作製、装着していたのですが、わずか3ヶ月で、支えの左前歯2本がかなり動いてきて、入れ歯の取り外しの時に痛くて使えない、ことを主訴に来院されました。

 バネのついた入れ歯の場合、取り外しの時に、バネをつけた支えの歯(支台歯)に、左右にゆさぶられる力引っ張りあげる力がかかります。この力は、 抜歯するときにかける力の方向で、その歯にとっては、非常に好ましくありません。経年的には、歯の寿命を縮めているといえます。

 また、コーヌス義歯やマグネット義歯は、義歯の着脱時に、支えの歯を左右へ揺さぶる力は発生しませんが、コーヌス冠は摩擦抵抗で、マグネットは磁力で、支台歯に引っ張りあげる力はかかります。
 

 患者さんは、”抜歯はしたくない、バネのない取り外しの時に歯が痛くない義歯でしてほしい、インプラントはしたくない”等の要望されました。



そこで、今回は、患者さんとの相談の結果、”リーゲルアタッチメント”を組み込んだ義歯で治療することに決定しました。図Bが治療後です。

図B

 図A、Bだけでは、わかりづらいと思いますので、もう少し詳しく解説していきたいと、思います。リーゲルアタッチメントというのは、図C、Dのように、 かんぬき状の形態をしている部品を支台歯につけたものをいいます。既製品もありますが、サイズがあわないものが多いので、私が自分で作製しました。

 支台歯の大きさに合わせて大きさ、形をかえる必要があります。リーゲルアタッチメントの最大の長所は、 義歯着脱時に全く摩擦抵抗がないという点です。義歯を装着した後に、図Cのフックを支台歯内へ組み入れます。義歯が脱落することは、絶対ありません。はずす時は、フックの引っ掛けをはずして持ち上げるだけです。 支台歯に、引っ張り上げられる力は、全く発生しません。

図C

図D

作製手順を少しお話しますと、図Eは、歯根に装着する心棒(メタルコアーという)を石膏模型上で作製したところです。図Fは、内冠を試適した上で最終的な印象を行ったところです。

 図Fの印象採得は、各支台歯の位置関係がずれてはいけないので、非常に重要なステップです。各支台歯間を除去したバーなどで連結して、位置がずれないような工夫が必要です。

  リーゲルアタッチメントの技工は、非常に精度と繊細さを要求します。

 図Gの黄色矢印の位置3箇所にリーゲルアタッチメントを組み込みました。このアタッチメントは、支台歯や周囲歯周組織への浸襲がなく、違和感がないので、装着感が良いなど多くの利点があります。

  左下の欠損部には、図Hの通称「ダルボ」と呼ばれるアタッチメントを付与して、支台歯への負担を最小限にする工夫をしました。

図E

図F

図G

図H

 図Iは、完成した義歯です。3箇所のリーゲルアタッチメントのヒンジを開けた状態です。

 図Jが義歯の裏面です。コーヌス冠のように外冠にたわみなどの応力がかからないため、 前装をポーセレンで仕上げれるので非常に審美的にも良好な結果が得られる、というのもメリットです。

 今回の症例は、私が全ての 技工を行いました。私のように自分で作製している医院はあるかもしれませんが、リーゲルの技工を多くの症例こなしている信頼で きる技工所は、私の知る限り国内では1,2箇所しかありません。

図I

図J

図Kが口腔内に下顎義歯を装着した治療後です。動揺のある左下前歯の2本への負担をリーゲルと ダルボを使用することにより、義歯の着脱時の痛みは全くなくなりました。コーヌス義歯に頻繁に見られる歯頚部のメタルラインもカラーレスで仕上げれる ので審美的に良好です。義歯は全く動かないし、何でも噛める、と患者さんの満足は予想以上でした。

 リーゲルの欠点をあえていえば、ヒンジ部分の構造が やや複雑になっているため、自宅での手入れが不十分になりやすいことです。現在装着して3ヶ月になりますが、一ヶ月に一度のペースでメインテナンスを行って います。特に不具合はおきていません。

図K

私の場合、治療計画、治療方針を決定する上で一番重要な要素は、 “患者さんの要望”だと常々思っています。今回のMさんの場合、 ”コーヌス義歯を作製したが、着脱時に支台歯が痛いので何とかしてほしい””抜歯はしたくない””バネのない義歯希望””インプラントにはしたくない” この4点を満たす治療法としては、リーゲルアタッチメント義歯が最適と考えました。

 歯科の全ての分野に関して深く精通していることが、 患者さんへ多くの治療方法の選択肢を提案できます。患者さんも歯科医へ治療する上での要望をどんどんいってほしいと思います。 

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