第113回 長期”矯正コース”が始まりました
当クリニック主催の歯科医師対象の「GPによる本格矯正マスターコース」が先日の日曜日(2/13)から始まりました。
約20名の参加者で、遠路岐阜県からを始め、岡山県外からも数名参加頂きました。自身の臨床のスキルアップへの意欲の高い方ばかりで、10日間という長丁場ですが、本当に楽しみです。全力で指導させて頂きますので、宜しくお願します。
左図の2枚は、プロローグとして出したスライドです。
臨床家としてのレベルアップには、矯正分野の習得は必要不可欠です。というより、矯正は、エンド(根管治療)やペリオ(歯周治療)、咬合(咬み合わせ)と並んで、歯科臨床の根幹をなす分野といえます。
なぜなら、一口腔単位で治療計画を立案する際、「歯牙のポジショニングをどのように是正して生理的な咬合を獲得するのか?は、良質な包括的治療を行う上では最も重要な初期段階で考えなければいけない要素」だからです。
”矯正治療は、最も有効な咬合治療!”と言いかえることができます
今回の参加者には当てはまりませんが、矯正学へアレルギーを持ったGP(一般臨床家)が多いのが現実です。
病的な歯牙移動をしているにも拘わらず、歯牙の位置を変えずに修復治療に頼った臨床ケースを商業雑誌では散見します。MI(低浸襲)の概念からは逆行したとても悲しいことです。
補綴物(被せ物)は所詮代替え品です。できることならば、歯牙の切削を行わず、天然歯を最大限利用すべきです。
歯牙移動という発想が自身の臨床のオプションに加わることにより、審美歯科治療へも多様な応用が効くようになります。
臨床例を挙げながら、10日間の中で説明していきたいと思います。もちろん、矯正学の基本的な知識・技術の習得には、それ相当な労力が必要です。
このコースの冒頭で、参加者へ、”先生方の臨床における苦手分野は何ですか?”と問いかけました。誰でもですが、”苦手なこと=嫌いなこと”のはずです。ですから勉強するためには、確固たる信念が入ります。
”苦手分野を押し上げることによって始めて総合歯科医としての平均点が上がり、臨床力がアップする”、と考えています。
偏った治療プランにならないことは、将来的に問題が起こった時にも、柔軟なリカバリーができる術が身に付きます。
歯科臨床というのは、全ての分野がリンクしています。バランスが大事ということです。
かかりつけ医として開業して、ホームドクターを名乗っているにも拘わらず、丸投げ分野やほとんど関わらない分野があるとしたら、それは”歯科医自身の怠慢・勉強不足”ではないでしょうか?
このコースを通じて、”バランスのとれた歯科臨床医”が一人でも多く育ってほしいものです!