第104回 ”クインテッセンス”に論文が掲載されました
歯科専門の総合学術誌である”ザ・クインテッセンス”の8月号(8/1発売)に、私の論文が掲載されました。
”クインテッセンス”と言えば、歯科専門誌の中でも論文やエビデンスを重要視したコンテンツはもちろんのこと、掲載写真やイラストのクオリティーも高く、時代を先取りした読者が最も多い学術誌である。
毎回、日本を代表する歯科医が、専門分野の知識・技術を駆使したケースを紹介しています。日々行う診療の指針・指標が提示されており、臨床家にとってバイブル的要素の強い本といえます。
今回私に与えられたテーマは、”リカバリーケースから学ぶ”でした。歯科医による何らかの治療介入によって難しい状況に陥ったケースへ、どのように再治療を行うのか?事例を挙げて紹介しました。
私は、”総合治療医”というスタンスで日々診療を行っています。苦手分野や自身が全くタッチしない丸投げ分野を持たないことが、患者さんへ多大な受益をもたらすとともに、自身が行った治療行為への責任をとることができると考えています。
歯科のあらゆる分野の知識を同じ土俵で思考すること、できることは、偏った治療プランにもならないため、患者さんとの信頼関係も築きやすいです。
そして”総合歯科医”でありつつ、さらに専門的な知識・技術をさまざまな分野で身につけていくことにより、今回掲載させて頂いたケースのような”リカバリーケース”に対応できると考えています。
残念なことに、歯科医による治療が繰り返され、”歯科的治療歴”を重ねるほどに、口の中の機能や審美が崩壊していく方が後を絶ちません。残念では済まされない大問題です。
私たち歯科医が作った医原性の疾患のリカバリーに追われている現状では、日本の歯科医の社会的地位が上がることはあり得ません。
一度マイナスの治療が行われた後の”リカバリーケース”はとても難易度が高くなります。さまざまな知識・技術・材料・道具などを駆使して100点満点は無理にしても60点のゴールを目指し、到達しなければいけません。
今回の論文が、多くの歯科医の臨床のヒントに少しでもなれば幸いです。そして医原性の疾患をつくらないために、私たち歯科医は、自身が行う治療及び治療結果へ責任を持てるだけの日々の研鑽・学習を積まなければいけないことを感じとって頂きたいです。
論文のボリュームは、紙面の都合などにより実は初版の原稿量の約半分に簡略化しました。
”リカバリー”と一言に行っても、実はさまざまな場面が想定されます。今回は、矯正治療のリカバリーに限定しました。またの機会にさらに複雑な病態に陥ったケースへの対応についてご紹介できればと思っています。
全ての演者による綿密なリハーサルも分単位で前日までに組み込まれており、4年に1度の国際大会ならではの周到な準備が着々と進められています。
私も演者の一人として、聴衆の一人として、またウェルカム・パーティーやフェアウェル・パーティーで世界的に活躍している歯科医との交流も大いに楽しみたいと思っています。
歯科臨床に正解はありません。少なくとも同業の歯科医に、”胸を張って説明できる仕事をすること!”、”なるほど!”、と思ってもらえる治療を行いたいです。そのためには、”Continue education”は現役を続ける限り「最優先」なわけです。
時代や周囲の環境は刻々変化しても、”歯科臨床を突き詰める努力をし続ける!”という自身のぶれないスタンスは、崩したくありません。