第97回 ODC例会&ODCサブ例会
4月10日(土)は2010年度第4回ODC(Okayama dentists Club)例会、そして翌日の11日(日)は2010年度第2回ODCサブ例会を行った。ODCとは、岡山県在住の歯科医師が集まったスタディグループで、学術を中心の例会を毎月行っている。
例会では、会員によるケースプレゼンテーションを中心に、活発な質疑応答・ディスカッションを行っている。今回の3名の先生の発表は、日々の臨床へのアプローチ法が微妙に異なり、非常に興味深い内容であった。
3名の会員の先生の発表のタイトルは以下の通りでした。
・「絡んだ糸を解いていく」
・「MTMの症例(エクストリュージョン・アップライト・シザースバイト)」
・「①トュースポジションに異常のある患者の咬合再構成
②オーバートリートメントと思われる歯周補綴症例」
不定愁訴や初診時には原因不明のさまざまな自覚症状を持った方が来院される時代です。的確な診査・診断が求められます。非常に参考になるケースでした。
M先生は臨床歴が浅いにも拘らず、「MTM(minor tooth movement)に関する多くの症例」を提示して頂けました。とても誠実な診療をされている、という印象を受けました。
それぞれに対する治療後の長期的な予後について、またの機会にお話頂ければと思いました。
開業歴20年以上のS先生は、理想と現実の狭間の中、献身的に良質な医療をLonvevity(長期安定性)に主眼を置いて診療をされている、という感想を持ちました。
ご自身の治療について、的確な考察がなされており、何よりベーシックスキル(エンド・ペリオ)がしっかりあるからこそコンセンサスの得られる治療結果になっていると思われる2ケースでした。
また、POS(Patient oriented system:患者主導)を十分に考慮したプランニングが成されていて、次回は歯周補綴の別のケースを見せて頂きたいと思いました。
偏ったアプローチ法ではなく、真摯にそして誠実に本道である歯科医療に取り組んでいる先生方の発表は毎回とても刺激になります。
そして翌日の11日は、岡山市内のホテルのミーティングルームで、実習をメインの「2010年度ODCサブ例会」を行った。
休日の雨にも拘わらず約30名の方に参加して頂き、とても有意義な時間を過ごせた、と感じています。岡山県外からの受講者の方もおられ、本当にお疲れさまでした。
包括的(総合的)臨床を実施する上で、歯牙の位置づけはその後の修復処置や治療咬合を構築していく上での補綴に影響を与えるためとても重要です。
一般開業医こそ、根管治療や歯周治療と同じ土俵に矯正治療を位置づけして基本治療の中に組み込まなければいけません。
「包括医療に活かすMTM」と題して約2時間のレクチャーを私がさせて頂きました。
その後実習で代表的なMTMの矯正装置の作製と調整の勘所について学習し、さらに複雑な臨床例を中心に歯のポジショニングがその後の予後にも影響が出ることを約1時間レクチャーさせて頂きました。
また、昨今低品質な歯科医療が蔓延している背景と個人レベルでの打開策についてもお話させて頂きました。
マイクロスコープの有用性について、私が行った臨床例を交えながら少し触れました。
マイクロスコープなしでは、精密な良質な歯科治療は不可能な時代です。ODCを通じて、歯科医の本道である臨床技術のレベルアップのために頑張っている歯科医が一般の方に認められる地域風土を作りたいと思っています。
わかりやすく言えば、患者さん、一般の方のQOL(Quality of life)向上のためには歯科医師の絶対的・圧倒的な臨床技術力が大前提に必要である!ことは明白です。”臨床スキルのレベルアップのために学習しつづけ、会員同士切磋琢磨することに最も時間や労力を費やしたい!”と思っています。
私たち歯科医の最も大切な使命は、”歯を残すために何ができるか?”です。抜歯以外の治療法を模索・行うために、一般開業医による矯正は必要な時代です。咬合異常・咀嚼障害といった機能的問題点の解決に矯正は一躍駆ってくれます。良質な臨床を行うための必須の基礎的分野です。
歯科医師は、ラーニングステージ(コツコツ学習していく)を踏んでさまざまな症例に患者本位の対応ができるようになると考えます。歯科臨床にアドバンスはない!ということです。
9月末までの日曜日は、ほぼ全てスケジュールが決定しました。さまざま外部(主に歯科医の方々)へ向けての取り組みをしたいと思っています。
ベーシックスキルを十分に兼ね備えた歯科医療技術の向上に取り組んでいる歯科医が報われる時代が来てほしいと切に思っています。