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第83回 進化する”審美歯科治療”~デジタルシェードテイキング~

審美歯科治療を全面に押し出した歯科医院が急増している。主に”ホワイトニング””セラミックによる修復治療”のことを指すのであろうが、”審美歯科”という言葉の定義は、実は統一されていないのが実情である

個人的には、見た目を重要視し、主眼を置いた治療ということでいえば、広義では矯正治療も含まれると思っている。

いずれにしても、審美的な側面を考慮した歯科治療は今に始まったことではない。ただ、昨今の美容・健康ブームやデンタルIQ(口腔内への意識の高さ)の向上に伴い、審美的に高品質な結果を残すことが医療サイドに求められるようになってきたことは確かである。

そんな中、ホワイトニングやセラミックに使用されるマテリアル(材料)、ボンディンぐ材(接着剤)や手技の進歩は目覚ましいです。が、治療前後の”色調・明るさの比較”や人口材料で補填(充填や被せ)する際、最も悩むのが、”どのような色合いで作製するか?”があります。

以前より“シェードガイド”と呼ばれる”サンプルの色見本”はあるのですが、現実には歯牙1本をとっても非常に複雑な色調をしています。歯科技工士と何度となくチェアーサイドで打ち合わせを行って作製しても限界を感じていました。

当クリニックの場合、審美歯科治療には必需品と呼べるオリンパス製の”クリスタル・アイ”をシェードテイキング(色調測定)に使用しています。

色調測定のデジタル医療機器は数年前から数機種存在しますが、色調分析はもちろんのこと製作修復物との色差計測、術前術後の比色と記録、歯列・顔貌画像の色補正など多機能を備えたという点を考慮すると、現時点では、”クリスタルアイが、最も進化した優れものです。

デジタル測定器による画像分析レポートは、エクスポートすることによりラボラトリー(技工所)とデータを共有できるため、詳細な画像情報を提供できます。また、カスタマイズした複雑なシェード(色調)を自由に設定・登録することもできるため、個々の患者さんの各歯牙のデータベースを長期に渡って管理していくことも可能です。

また、最近追加された”マッピング機能”に代表される他社の追従を許さないソフトの定期的なバージョンアップは、”色調”という主観に頼りがちな側面を、説得力のあるコンサルテーションツールとして活用できます。


デジタルシェードテイキングの実際について、当クリニックでの取り組みをご紹介したいと思います。


まず使い方ですが、図Aのように、画面左が色調測定器である”クリスタルアイ”本体で、PCへ画像が転送待機状態にしておきます。転送後に、付属ソフトで加工・編集作業を行います。

図B、Cが実際に撮影を行っているところです。1歯単位、歯列全体、顔貌の3つのモードで撮影することができます。

対象とする歯牙は当然として、隣在歯、対合歯、上下前歯群の歯列(最大16本)、そして顔貌の正面観を測定していきます。

時間的には2~3分程度でしょうか。”コンタクトキャップ”と呼ばれている遮蔽カバーで外光を遮断し、LED光源を用いたスペクトル方式を採用したことにより、高精度な色調測定が可能となっています。

私たち歯科医が修復物の色調を決定する際、どこの歯科医院でも通常図Dのような各種メーカーから出ている”色見本”から対象歯周囲の歯牙と近い色を目視で決定し、患者さんの同意を得ているというのが実情のはずです。

そして、作製した補綴物をいざ口腔内へ図Eのように試適してみると、”何となく色合いが違うなー”と感じることは日常的に発生してしまいます。

それもそのはずです。歯の色は1色ではないし、微妙なグラディエーションがあります。歯の先端(切端)から歯茎に近い所(歯頚部)までさまざまな色の変化が見られます。

それを図Dのような15~20種類の中から対象歯と同じ色調を選ぶこと自体に無理があるのです。

デジタル色調測定器である”クリスタルアイ”では、まず図Fのように対象歯を撮影した後、シェードテイキング(色調測定)する”範囲指定(緑枠)”を行います。正反射が均等に得られていることを確認した後、輪郭の修正を行います。

その後は、図G、Hのように任意のエリアのシェード測定がPC上で自由に可能になります。

実は色調というのは、同じ色であっても明るさ(明度)によってかなり違って見えます。また赤み、黄色みの濃度によっても複雑に見え方が変わります。

さらに、表面の透過度、浸水度によっても見え方が左右しますし、選択した候補色との⊿E(色差)<3では肉眼的に等色に見えてしまいます。

外光の種類、明るさも考慮しなければいけません。とても複雑に多くのファクターが色調には関与しています。

私たち歯科医は、明度の一応の基準として、図Iのスケール・順番を知識として持っているのですが、現実には目安でしかないのが正直なところです。色調決定は非常に難解な作業といえます。

”クリスタルアイ”での色調分析結果の一例が図Jになります。対象歯の半側を候補のシェードガイドにしたり、術前術後のスプリット画像にすることも可能です。

頻用されている5種類の異種シェードガイドをどれでも選択可能で、さらに材料の調整幅が少ないベストシェードガイドも自動的に選択されます。

さらに一つのシェードガイドに対して、第1~3候補まで判定表示され、任意に決定した3つの部位のシェード、⊿値なども結果画面で確認できます。

そして図Kのように詳細なシェードの“マッピング(地図)”が表示されます。マッピング表示内の「黒枠」の色差情報が図K下側に表示されています。マッピング内の黒枠エリアは自由に移動できるため、どの個所の色差情報も詳細に得ることができます。

図Lが色差情報の見方を示しています。⊿E値<3ですと、肉眼的にはほぼ等色に見えます。そのほか明度、赤み、黄色みがデータ/グラフで表示されますので、最適なシェード、そして何といっても“マッピング”により非常に詳細な色調情報が入手可能となっています。

図Lでは比較シェードガイドがB4で測定されていますが、シェードは自由に選択できますし、3つの部位の色差情報を同時に一画面で確認することもできるよう設定されています。

図K”マッピング”情報は、レジン修復時に特に威力を発揮します。高品質なレジンを使用した直接法によるダイレクトボンディング修復時のシュードマッチングはいつも非常に悩むところです。

”クリスタルアイ”を利用すると、肉眼では不可能な色表現を数値化して入手できますので、必須のアイテムと言えるのではないでしょうか。

また、修復処置の積層充填時には、色差情報(図Kの下側)を参考に、ボディー、デンチン、ステインなどのシェードを決定することができますし、もちろん術前・術後の比色も簡単に行えます。

図Mは画像分析レポートの1例です。対象歯の3つのエリア(切端、中央、歯頚部))の色差情報が詳細にグラフ化されています。

任意のエリア、ベストなシェードから第3候補までレポートにできる他、ラボサイドのPCにも付属ソフトをインストールしてもらうことにより、全ての色差情報のデータを共有できます。

また、各種アドバンスページの参照も可能ですので、歯科技工士は”勘”に頼る技工からエラーの少ない精度の高い技工物作製の心強いツールになり得ます。レポートのレイアウトもある程度自分流に変更可能なところもうれしい側面です。

図Nは、選択対象歯の治療前後、ホワイトニングやブラッシングの前後をスプリット画像として比色する機能を試行しているところです。

図Nの右側の対象歯マッピングというのは、⊿E値<3以下の色差エリアを表示しています。デジタルの視覚的情報のデータ化・共有は、アナログ世界の仕事をする私たちにとっては、とても有効なツールといえます。

もちろん画像情報の記録や、個人個人、あるいは各歯牙のデータベース化をすることにより、何年か後に来院されたとしても、瞬時に該当歯牙の比色することができます。

その他、図Oのように、画面上に表示した歯の絶対値を、L(明度)、a(赤み)、b(黄色み)の3色のグラデーションイメージで確認することができます。この機能は、どの部位が透明度が高いかの判定に有効と考えています。

それから、今回は触れませんが、任意のシェードガイド(多くの場合対象歯)を基準に、歯列色補正や顔貌における歯列の色補正という機能も追付されています。

作製された補綴物を患者さんの口腔内に試適する前に事前にチェックし、シェード判定することにより、指示通りの技工物が出来上がっているかの判断が可能で、品質の高い技工物作製という命題への客観的評価にも一躍かっています。

図P、Qホワイトニングの治療前、図R、Sがオフィス・ホワイトニングを1回行った直後なのですが、元々白い歯をお持ちの方でした。

”クリスタルアイ”で色調測定し、治療前後で、、客観的に白さが向上したことを提示することができるので、説得力あるコミュニケーションとなります。

ホワイトニングを行う場合、特に有効と考えています。どこまで白くしたいのか、治療後のイメージングや色差を事前にPC上で、実感して頂くことができます。

そして、実際想定した白さになったのか、もっと白くしたい場合、どの色調まで白くしたいのか、実際どの部位が白くなったのか、などを随時確認しながら、記録レポートとして患者さんにお渡しすることもできます。

図T(治療前)、図U(治療後)は、レジン充填による修復の比較です。積層充填を行う必要がある色調を合わせにくい大きなⅢ級、Ⅳ級か洞には特に有効で、手放せない機器となっています。

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昨今、”ダイレクトボンディング”に使用されるレジンの進歩は著しく、臨床での使用頻度も増えました。”クリスタルアイ”のようなデジタルで色調測定できる機器を利用することにより、より高品質な治療結果を残すことができます。

”人”というアナログ世界の仕事をする私たちにとって、現時点では最も進化したデジタル色調測定器である”クリスタルアイ”は、色調診断はもちろん治療前、中、後を通して非常に有効なアイテムと考えています。

そしてデジタル機器の特徴として、定期的なソフトのバージョンアップによって、進化し続けることが可能です。

高品質な”審美歯科治療”を行う際の”シェードテイキング”に関わる様々な操作を、効率的に精度高く行うことができる”デジタル色調測定器”は、日常臨床では必要不可欠な機器ではないでしょうか?

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