包括歯科治療へのいざない
「包括歯科治療」を一言でいえば、“口腔の機能や審美を維持又は回復させるために、あらゆる分野の知識・技術を駆使した総合的な治療を行うこと”、と定義できる。
歯科医院へ行く目的は、患者さん側からすると虫歯や歯周病に関連した場合が多い、というイメージかもしれませんが、実は、色々な病態に陥っている方が多いのが現実です。自覚症状がある歯に原因があるとは限りませんし、症状が全くないにも拘わらずさまざまな問題が起こっている方もおられます。
私たち歯科医の間では、“一口腔単位で診る!”という言葉をよく使用します。わかりやすい例を挙げますと、「咬合(咬み合わせ)の不調」を訴える方で咬合崩壊されている方が一定の割合で存在するのですが、歯科の4本柱である「保存・補綴・外科・矯正」をバランスよく適材適所で治療プランに組み込み行っていかないと良い結果へ導けないです。これこそが“包括歯科治療の実践“ということになります。
当クリニックには、複雑な病態に陥った方が同業者からの紹介等で多く来院されます。「包括歯科治療」を言い換えると「総合的歯科治療」とも言えます。そんな時、最終診断を下すまでのステップが以下になります。最も重要なのは「臨床検査」で、必要に応じて約30項目用意しています。
「医療面接→診察→臨床検査→医療診断→医療判断(患者)→確定診断」
左上:包括歯科治療を「樽」に例えるならば、各分野(樽の縦板)の幅、高さを十分持ち合わせていて、密着(コンビネーション)していることが求められる。
右上:1つでも不得意な分野があると良質な治療計画や治療介入は困難で、樽を一杯に満たすことはできない。また、各分野の連携が十分になされていないと隙間から水漏れが生じてしまう。