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第17回 虫歯治療の麻酔で小児死亡

虫歯治療のため麻酔を使用したところ、子供さんが死亡してしまう、という痛ましいニュースを耳にしたのをご存知の方が多いのではないでしょうか?

全国ニュースでも取り上げられ、全国紙、 地方紙を問わず新聞には何らかの形で掲載されたと思います。

下記は、岡山の地方紙である山陽新聞(2002/7/29) のものです。

この出来事は、今のところ事件?事故? の両面から捜査されているとのことで推移を見守るしかないのですが、 どうしてこのような最悪の結果になってしまったのか?

私も一人の歯科医ですので、真剣に考えてみたいと思います。

 まず、「麻酔」についてですが、無痛的に歯科治療を行う上では、欠くことのできない処置であり、小児にあっても例外ではなく日常的に全ての歯科医が、一連の診療行為の中で取り入れているのは事実です。

 ただ、「麻酔」は、薬物を体内に入れる処置である以上、事前の 十分な問診でスクリーニングして、アレルギーの有無、全身疾患との関連(特に循環器系の疾患の有無、程度等・・・) については、細心の注意を払う必要があります。

 具体的には、局所麻酔剤に敏感に反応し、中毒症状を現す特異体質の既往患者には、 皮内テストを実施するか、化学構造の異なる麻酔剤に変えます。 

 歯科で、一番頻用されている局所麻酔剤の リドカイン(商品名キシロカイン)には、 麻酔の持続時間を長くするため、血管収縮剤である エピネフリンが、比較的高濃度に含まれているため、循環器系疾患患者や、 高血圧、糖尿病患者、エピネフリン過敏症患者には、禁忌で、エピネフリンを添加していない麻酔剤を使用する 必要があります。

 では、左記の記事のような”小児”の場合は、どのようなことが考えられるでしょうか?

  文中の歯科医は、 「神経性ショック」 か、 「麻酔アレルギー」ではないかと述べています。 私の私見ですが、「神経性ショック」 であったのではないかと思います。

 「麻酔アレルギー」については、前述しましたように、治療前の問診と、血管への多量の麻酔剤注入等を行わない限り未然に防げるはずです。

 「神経性ショック」 の中に「疼痛性ショック」 というのがあります。注射時あるいは麻酔剤注入時に患者に激しい疼痛を与えると、急激な血圧低下を伴ったショックをきたします。

 4才というのは一般的に、歯科治療の必要性を自身が認識し、 麻酔処置を、成人と同じ方法で行えるかどうか微妙な年齢です。 

 私の場合、 3才の子供の場合、緊急性(激しい歯痛、腫れ等)がない限り麻酔は絶対しません。4才の場合、何度か来院させ、 まず本人との十分な信頼関係を築き、麻酔行為についても十分なリハーサルを行い、精神的に安定した時期、機会を狙って行います。 

 子供で、しかも年齢が低い場合、麻酔は、絶対無痛的に行います。押さえつけたり、泣いたりした状態での治療は、 麻酔に限らず絶対避けなければいけません。子供が興奮した状態では、 顔や体を動かすので、無痛的に麻酔ができないからです。

 「疼痛性ショック」というのは、局所麻酔時にみられる異常のうち、最も頻度の高いもので患者に疼痛を与えないようにすれば、ほとんど避けることができる多くは技術の拙劣によるもので粗暴な操作、 十分な表面麻酔が行われていないことによる、といわれています。

 上記の記事で、気になる点があります。 「母親が添い寝をするようにしていた」というところです。 

 添い寝が必要なのは、通常3才までです。4才で歯科治療の麻酔の必要性を本人が十分認識していて、 受け入れる態勢ができていれば、添い寝どころか、お母さんは診療室にいなくてもいいくらいです。

 歯科医と子供との信頼関係が十分できていたかどうか?疑問の残るところです。

 信頼関係が不十分なまま、麻酔行為を行うと、 「疼痛性ショック」の引き金になり得ます。「軽度な神経性ショック症状」は、健康な成人でも時に起きます。”麻酔をしますよー”といっただけで血圧上昇、 頻脈、顔面蒼白になる患者さんも稀ですがいます。

 「神経性ショック」は、治療前に患者さんを精神的に 安定した状態にすることと、麻酔行為という施術を技術の修得により歯科医は無痛的行うことにより防げると考えています。

 小児、特に乳幼児を、大人のミニチュア版と考えるのではなく、小児特有の精神状態、体質、過敏な反応が起きやすいことを、 日頃から認識して細心の注意、配慮の下に治療に当たらないといけないと痛感した事件でした。

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