第97回 スタッフとの懇親会
昨日は、午後の一息、行きつけのカフェで一人PCに向かって、来週行う「スタディーグループ」発足のプレゼン資料を作製していた。
この場所に来ると、なぜか落ち着け、仕事がはかどる。平日は込み合っていないため、時間がある時は必ずここでスライド作りに没頭している。
ところで、昨々日は、久々にスタッフとの会食に出かけた。体調不良の一人のスタッフを除いて、総勢13名(ドクター5名、スタッフ8名)が集まってくれた。平日の診療後の夜遅く、11時前まで続いた宴会に、全員参加してくれたことだけでも、本当にうれしかった。
酒の力もあってか、ミーティングではまず出てこない、医院の今後や私への不満も含めた多くの要望が噴出する。お互い本音でぶつかることから活路が見出せるので、楽しい時間でもある。
スタッフA:石井先生は口下手すぎます。患者さんに誤解を招いていることがあります。
説明が足りないです。コミュニケーション力をもっと身につけてほしいです。
私:そうかなー
スタッフA:私たちがフォローしていますが、限界があります。話が真面目すぎて下手なので、
損していると思います。
私:人見知りするタイプなのかも?世間話するのは苦手だなー。
スタッフA:そういう問題ではありません。患者さんが不安に思っていることをしっかり受け止め、
十分に理解してあげることがスタートラインです。
私:気をつけるようにするけど、悪い癖が出たときは、駄目だしサインを出して注意してね。
スタッフB:先生の医療技術は本当にすごいと思います。尊敬しています。
友人の勤めている歯科医院や学生実習に行っていたところとは天と地ほどの差があると
思います。
他の医院ではできない治療がいろいろできるのだから、もっともっとアピールしても
いいのではないですか?
私:繁盛させること、集客を目的に医療をしているのでないんだよ。キャパシティの問題も
あるからね。
来院された方へ可能な選択肢を提示すること、良質な医療には相応の治療費がかかること
などは説明しないといけないけど・・・。
スタッフB:歯医者の腕が良いか悪いかは、患者さんにはわかりにくい部分だと思います。
医院の雰囲気が一番大事です。先生は本当に損をしていると思います。
確かな医療技術があるのに、頑固というか、患者さんに対して”つっけんどん”な対応を
とっていることがあります。
私:申し訳ない、反省します。
スタッフC:石井先生は、”飴とムチ”で言えば、ムチが多いです。
私たちは、誉められて成長するんですよ!
私:難しい問題だねー。飴ばかりでは、楽しい職場、「仲良しサークル」に終始して、プロ集団には
成りえないと思うけどねー。
僕らは、医療という特殊でかつ専門的なことを仕事にしているんだよ。
話術やコミュニケーション力がいくら優れていても、長い目で見ると、本当に患者さんを
満足させることはできないんだよ。
技術力、経験値を挙げることに重点をおくべきだと思うけど・・・。
スタッフC:もちろん先生の言うことはわかっているつもりです。
先生が日々進化するのについて行くのが大変なんです。
10回に1回でも誉められると俄然やる気がでるんですけど・・・。
私:常に高い次元を目指して仕事に取り組んでほしい親心のつもりなんだが、
言い方をもうちょっと工夫するようにするよ。
スタッフD:遠方なので、私は毎日6時前に起きて仕事に来ています。夜も10時を回ることがほとんどです。
遠すぎるので、辞めようと思ったこともあります。
今まで続けられたのは、先輩たちが優しく指導してくれること、スタッフ間の雰囲気が
良いからです。
私:本当に大変だと思うけど、スタッフ同士が仲が良いことは、本当にうれしいことだよ。
私がどうこうしようがない部分だからね。
スタッフD:スタッフがみんな言ってます。先生からの愛がほしいと・・・(笑)
私:スパルタのつもりはないんだけど・・・。愛情か???
一回り以上年齢の離れたスタッフとうまくコミュニケーションを取るのは、治療行為以上に私にとっては難題なのかもしれません。
悩みは尽きませんが、私の長所であり、ある時は短所にもなっていた頑固、意固地な性格が、素直に、誠実に相手の意見を聞く姿勢に少しずつ変化していると自分では感じています。
いずれにしても、芯の通った、ぶれの無い医院の向かう方向性は、10年以上前と今でも私自信全く変わっていません。信念を持って突き進んでいます。一生を通じて、「歯医者業を全うする!」 抽象的ですが、日々診療を行う臨床家としては当たり前のビジョンです。
明日には、岡山県内では、大学病院以外設置されていない「最新の医療機器」が当クリニックにお目見えします。
患者さんにとって、最も安心、安全な外科処置を行うために、現段階で考えうる最善の環境を求めての試みです。
高額な医療機器ではありますが、「こだわること」、「極める努力を怠らないこと」への一つの形です。
また、教育的立場からの発信も、順次プロジェクトが進行中です。
一歯科医のできることはたかが知れていますが、何人かの同志とともに、地域医療への貢献とともに、後進国と呼ばれている岡山県の歯科医療の底上げに、本格的な取り組みを始めています。