第11回 何度でも行きたい、絶海の孤島「シパダン」
”シパダン”という場所を知っているのは、99%ダイバーと思われます。
それほど一般の方(ノンダイバー)には馴染みの薄い、しかし、今や知らないダイバーはいないといわれるほど、一度は、いや何度でも行きたい、大物ずくしの超ど迫力のスポット満載の島なのです。
話が急にそれますが、シパダン近海には、海賊がよく出ます。事実、5年ほど前のGW前に、シパダン島に海賊が上陸して、地元民だけでなく、ダイバーを連れ去った事件をご存知でしょうか?GW中であれば、日本人が確実に連れ去られていたでしょう。考えただけでも、ぞっとする出来事でした。ですから、一時入島禁止区域に指定されていたこともあります。
アクセスとしては、日本からクアラルンプール(約8時間)経由でボルネオ島のコタキナバル(約2時間)へ行きます。コタキナバルへの直行便も便数は少ないですがあります。
コタキナバルから国内線で島の反対側のタワウに行きます(約一時間)。タワウから車でシパダンへ渡るセンポルナの港(約1時間)まで行きます。そこから船で約1時間、絶海の孤島”シパダン”というわけです。1日半はかかります。アクセスは非常に悪いです(図B、C参照)。
A
B
C
シパダン島は、ボルネオ島から数十キロ離れた沖合いに浮かぶ島で、海底火山が隆起してできており、真っ白な砂が島を縁取っています。島一周2キロしかありません。1000メートルも隆起した島ですので、リーフの外は、1000メートル落ち込んだ(ドロップオフという)深海なわけです。ですから、外洋性の魚、つまり潜れば必ず見れるバラクーダやギンガメアジはもちろんのこと、ロウニンアジ、カジキ、クジラやジンベエザメも年に数回は訪れます。一生に一度か二度しか見れないはずの何メートル級の魚たちに超高頻度でお目にかかれるのです。海の偉大さを痛感させられる思いです。 | |
矢印2箇所の部分に宿泊施設があります。真ん中に見えているのが、桟橋です。 宿泊施設といっても、はっきりいって掘っ立て小屋です。エアコン、テレビなんて当然ありません。 とにかく蚊がすごいんです。ダニ除けマットも必需品です。シャワーは塩味ですし、温水は当然出ません。サバイバル派でないと、到底無理です。でも、そんなことはどうでもいいんです。 海に入れば、全てを忘れさせてくれます。魚の種類の多さ、魚群の数が半端じゃないし、あっちむいても、こっちむいてもカメばかり、ここは、竜宮城か?と錯覚するくらいです。陸上では絶対味わえない怒涛の景観が待っています。 私は、今までに、3度行きましたが、もう一度生きたいスポットは?と尋ねられれば、シパダンは、当然3本の指に入ります。 前置きはこのくらいにして、素人の撮った下手な水中景観でシパダンの素晴らしさを少しでも伝えれば、と思っています。 |
バラクーダ(オオカマス)の大群が渦を
まいています。一匹が1m弱はある巨大な魚が何百匹も目の前にいるのですか、”圧巻”という言葉以外見つからないほどの芸術品です。
自然と笑みが出ました。
約50㎝ほどのギンガメアジの大群です。
とにかく、群れの規模が大きすぎます。
ダイバーに馴れていて、目の前に魚群の
カーテンというか銀燐の壁ができているっ
という感じでした。大物三昧、それがシパダンです。
バラクーダの群れに突っ込んでいって撮った写真です。一匹一匹が大きいので大迫力です。魚たちは、上手にダイバーをよけて泳いでくれます。
ギンガメアジの大群に後方から追い越されました。魚群は、縦長になったり、渦を巻いたり、ダイバーの上に天井を作ったりと、
変幻自在のパフォーマンスを魅せてくれました。
ギンガメアジの群れに突っ込んで行きました。
何層にも折り重なっているため、向こう側にいるダイバーが見えないくらい、迫力満点です。
魚群が織り成す姿にただ、感動するばかりです。
出会っただけで元気になれる、ダイバーを虜にする島がシパダンなんです。何度でも訪れたいスポットです。
バラクーダの群れが私たちダイバーの
目の前に飛び込んで来ました。全く逃げないのが不思議なのです。”ゴーゴー”といいうものすごい音を立てながら行進中でした。
カンムリブダイというダイバー憧れの不細工な顔の魚が50匹くらいの群れをなして見れるのもシパダンならではの光景です。
別名バッファローフィッシュと呼ばれていまして、”我が道を行”というほど障害物をもろともせずに、突進していきます。
カンムリブダイは、ご覧のようにおでこに
こぶのある魚で、とっても出っ歯なんです。
サンゴをかじって食べるものすごく鋭い歯を
持っています。80㎝~1mくらいある大物ですので、群れをなして、”ドードー”とサンゴをかじりながら音を立てて進んで来ると、ダイバーも後ずさりする
しかありません。
シパダンはウミガメの島です。潜れば、ここもあそこもカメ、カメ、カメというくらいカメだらけです。ここまで近寄っても全く逃げません。とっても人懐っこいんです。
カメにとっては、楽園なんですね!
風景の中の一部に溶け込んでいる、置物のよう
でした。泳ぎ回っている奴、岩陰で休んでいるのや、
クリーニングされているの・・・。ちびっ子カメも
たくさんいます。でも、みんな表情が少しずつ
違うんですよ!
ツバメウオの群れが、島から伸びる
桟橋の橋脚の間をゆったりと、泳いでいました。
日本本土でツバメウオの群れを見ようとしても
ほとんど不可能です。島のリーフにビーチエントリ
ーした瞬間に見れる光景は、贅沢この上ありません。
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