第490回 サイナストラクトとは
通常サイナトラクトは虫歯が進行したり、虫歯がひどく神経をとったが完全治癒せず歯の根の先端部の周囲の顎の骨が溶け出して丸いおできのようなものができます。これは根尖病変とといい、「歯根のう胞」「歯根肉芽腫」「根尖膿腫」と種類はありますが、いずれも最近が根尖部の骨内に棲息する状態です。状況が悪化すると根尖病変内の細菌数が増え、炎症反応が生じ膿が溜まります。
膿が溜まり根尖病変内の圧力が高まると、周囲の歯肉が盛り上がり、破れて膿が出てきます。
膿は臭く口臭の原因にもなります。
通常痛みや腫れを伴わないことが多いでが、疲れが溜まると腫れや痛みが出ることもあります。
治療方法はサイナストラクトや歯根のう胞などの根尖病変に対して歯の根の中を清掃拡大する感染根管治療を行います。治療により病変が消失するのですが、治りきらない場合もあります。治りきらたない場合は歯根端切除術という歯茎の方から膿の袋を取る方法や抜歯などになっていきます。
サイナトラクトとは最近まで「フィステル」と呼ばれていました。名称の違いだけであり、病態に違いはありません。フィステルという言い方は、内臓間の異常交通路や上皮に覆われた通路と言うのが定義であり、サイナストラクトの大部分は上皮に覆われた通路という定義がないのでAAE(アメリカ歯内療法学会)でこの様に統一されたようです。