第89回 診療ナビゲーション・・・⑪(歯ぐきが腫れた1)
Aさん(男性三十代)、Bさん(男性二十代)がそれぞれ同じような症状で来院されました。
どちらの方も、左下(画面上では右側)の奥歯の頬側が腫れて(黄色丸)いて、膿が出ていました。
Aさんの場合:
噛んだ時に痛みがあり、浮いているような感じが
するそうです。
頬側
腫れているように見られます。
先の細い器具で病巣の場所と深さを診査している
ところです。
Aさんは辺縁性歯周炎でした。
歯と歯肉の間からばい菌が入り込んで、
歯根の周囲と根尖部に膿がたまっている状態でした。赤矢印の根尖部の透過象(黒い部分)が病巣と確認できました。
Bさんの場合:
噛んだ時に痛みはないが、横から押さえると痛むそうです。
腫れているように見られます。
膿の原因をつくっている場所を特定するために、X線不透過性の材料(黄色矢印)を挿入してレントゲンを撮りました。
Bさんは根尖性歯周炎でした。
ばい菌が詰め物の横から歯の神経の中(歯髄)を通って根の先まで侵入していると推察できました。
赤矢印の根尖部が膿をつくっている場所と判明、確認できました。
同じような腫れ方でしたが、上記の2症例の原因は全く違うものでした。
当然、治療法も全く異なります。
実際の治療経過については次回報告します。