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第10回 私のダイビング出発点”柏島”

”院長の趣味”のページが、ずーとご無沙汰になっていました。すいません。
正直言って、この1・2年は、無趣味に近い状態が続いています。かっこよく言えば、
”仕事が趣味”、悪くいえば、”とりえがない、つまらない人間”、ということになります。何か一つの事に打ち込める趣味があれば、また違った人生もあったのに・・・と思う時期もありました。

しかし、仕事が出来ること、仕事に打ち込めることにもっと幸せを感じないといけないんだな!と最近では考えるようになりました。
今年こそ潜りに行くぞ!!!という意気込みはいつも持っていますが、無理かも???

本題にうつります。.突然ですが、皆さん”柏島”という地名ご存知ですか?ダイビングをする方なら今はメジャーになりましたので、ご存知の方が大半だと思います。ノンダイバーの方で知っている方は、かなりの地図マニアか、四国出身、特に高知県在住の方くらいだと思います。
私がダイビングを始めた10年以上前は、超マイナーなスポットでした。

”柏島”
は、下の地図にありますように、四国最南西端に位置する場所にある島です。とっても交通の便が悪い所にあります。JRは宿毛という駅で終わりで、そこからは車でしか行けません。高知の中心部から車で約4時間、岡山からだと約7時間、大阪からだと約9時間もかかります。観光地ではありませんので、簡素な民宿があるだけです。ホテル、旅館、温泉そんなものは全くありません。
でも、そこには
手付かずの自然があります。”最近メジャーになりすぎて、魚の数、種類がずいぶん減ったんだよなー”、と友人である地元のダイバーがつい先日電話で嘆いていました。
 ”私がダイビングにはまった原点がここ柏島”にあります。ここの海に魅了されてしまいました。
どうしてすばらしいかというと、黒潮の”上がりっぱな”をキャッチできるため、本土でありながら沖縄と同じような華やかでダイナミックな水中景観を楽しめるのです。沖縄へ日帰りすることは物理的には可能ですが、ダイビングをした後12時間は飛行機に乗るのは、減圧症になる危険があるため、禁止されています。交通費を考えると、レジャー目的で沖縄へ日帰りはもったいないという思いもありますし・・・。

水中写真を始めた当時、超強行日程の日帰りで、よく柏島に行った記憶があります。真夜中に岡山を出発して、当時(15年前)は高速道路がなかったため、8~9時間かけてやっと現地について、2,3回潜った後、夕方からまた8~9時間かけて岡山に戻り、ほとんど2晩徹夜に近い状態で次の日の仕事をしていました。どうしてそこまでして行くのか?と問われれば、柏島の海を潜ってみれば納得するはずだよ!という返答になります。

毎回充実感に満たされていましたし、新しい発見ばかりでした。そのころ撮った、 失敗ばかりの水中写真のうち、見るに耐えるものを数枚掲載してみます。

黄色い”ジョーフィッシュ”です。とっても愛らしいですよね。ずーと見ていても飽きません。黄色というより、金色に近い美しすぎる体色です。とっても臆病で、近づきすぎると、巣穴へ引っ込んでしまいます。

タツノオトシゴ系の”ピグミーシーホース”は、世界的には、黄色、白色などいろいろ体色のものが発見されています。ここ柏島では、私の知る限り赤色系統ばかりです。

”ピグミーシーホース”は、ダイビング仲間では、レアー生物の一つです。柏島には、以前から発見されていて、絶好の被写体です。動かないので、撮りやすい被写体です。

”ニシキフウライウオ”のアップです。水中では、中層を枝葉のように漂っていますので、つい、見逃してしまいます。ガイドが見つけました。水中では、敵から身を守るため、擬態、体色を変える魚ばかりですので、ガイド様様といったところです。

体色を変える”イザリウオ”は、発見するのが難しいです。がガイドが教えてくれました。画面真ん中のちょっと下に目があります。触っても動きませんので、絶好の被写体です。

体長数㎝でしょうか。動かないので初心者でも撮れる”うみうし”の一種です。うみうしは、現在何百種類も発見されており、体色が鮮やかで、模様も多様を呈しています。

見づらい写真で申し訳ありません。真ん中よりちょっと右に枝に擬態して写っているのが”ニシキフウライウオ”です。アップにしたのが3枚前の写真です。左側の薄いピンクの”ウミトサカ”というソフトコーラルとのコーディネートを狙って撮ったのですが、いまいちですね。ワイドの写真は、初心者にはまず撮れません。

エビには、体色が綺麗なのが、たくさんいます。赤、白、オレンジ、紫の配色が鮮やかですネ。

”ツバメウオ”の群れは、沖縄本島北西部に行けば必ず見れるスポットがあります。でも、本土では、なかなか遭遇できません。偶然撮れましたが、ちょっと画面が暗いですね。被写体が遠すぎて、ストロボが当たっていません。まだまだ修行が足りません。

”キンメモドキ”の群れを表現したかったのですが、あまりぱっとしない写真です。10年前はこの程度が精一杯でした。水中では、場面、構図、被写体に応じて、即座にシャッタースピードや絞りを変えなければ行けません。オートではまともな写真はまず撮れません。

水中写真を始めた頃は、フィルム1本(36枚)撮って、まともに魚が写ってピントがあっているのが、1,2枚といったところでした。大げさではなく誰もが最初は必ず経験します。水中でフィルムの交換はできませんので、現像してみて、一枚もまともな写真がないこともざらでした。
水中写真の難しさはいくつかあります。ちょっと列挙してみますと、

  1)相手が常に上下左右前後に動いている
  2)自分も上下左右前後に動いている不安定な体勢である
  3)近づけば必ず被写体は逃げます。魚たちは、人間を一番怖がっていますから。
  4)水中は光が届きにくく、ストロボがあたる範囲、距離が限定されています。
  5)天候、潮の流れ、浮遊物が写りこむなどの影響をうけます
  6)ダイビングのスキルがある程度必要
  7)時間的な制約(潜っている時間)、フィルム枚数(36枚)の制約がある

などなどいくつもの難問が待ち構えています。
スキューバ・ダイビング自体は、誰かと競うといったスポーツではありません。水中散歩のための単なる手段にすぎません。誰でも必ずエンジョイできます。
ただ、ダイビング自体に少し慣れてくると、目に焼け付けた水中景観を思い出として残したい、忘れたくない、というごく自然の感情が沸いてきます。

水中に魅せられて約15年、まだまだ観たい魚、潜りたいスポットは数知れずあります。

今年の夏は何年かぶりの”柏島”に行ってみようかな、と思っています・・・。

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