第101回 静脈内鎮静法の恩恵
当クリニックでは、岡山大学歯学部歯科麻酔科と提携・連携し、2年以上前から安全・安心な歯科治療の一環として、歯科麻酔専門医の全身管理下で”静脈内鎮静法”を日々の診療に取り入れています。岡山県内の開業歯科医院としては、他に類を見ない十分な実績を積み重ねています。
上の図Aは、当クリニックオペ室での治療風景です。5人体制で行うことが、本当の意味での安全・安心な医療環境の出発点です。「黄色矢印が歯科麻酔医」で、術中の全身管理を担当します。「紫矢印が術者」、「青矢印が間接介助」で、器具の準備等不潔域から清潔域への橋渡しを行います。「赤矢印の2人が直接介助」で、術者とともに清潔域のみを担当します。
患者さんは、施術部位(口腔)以外は滅菌された布(ドレープ)で覆われ、不意な体動の際に、清潔域が汚染されないようにしています。術中の感染予防、患者さんの体調の急変に備えるといったリスクマネージメントの観点から、5人体制でのチーム医療が必須不可欠となります。
上の図Bもオペ風景ですが、「黄色矢印が歯科麻酔医」です。バイタルサイン(血圧、脈拍、動脈血酸素飽和度など)をモニター表示で常時チェックし記録しているところです。静脈路を確保しているため、血圧や脈拍の異状変動に対しても迅速に対応できます。
また、施術の邪魔にならない青四角の天釣り型のビデオカメラにより、赤四角ともう一か所設置の液晶画面に常時術野が映し出されるため、直接術野を見ることができない歯科麻酔医と間接介助も、オペの進捗状況がリアルタイムで認識できます。そのため、次に用意すべき器具のスムーズな準備や治療内容による鎮静深度の調整といった、細やかなも配慮も可能となります。
繰り返しになりますが、外科処置におけるチーム医療の質を高めるためには、オペ室という空間と5人体制であることは当然として、さまざまな医療機器を配備することが求められます。
そして、主に外科処置(インプラント治療、外科矯正、広範囲の歯周外科、骨内に埋まった親知らずの抜歯など)時の患者さんの不安感を取り除くために、歯科麻酔医による静脈内鎮静法を同時に行っています。静脈内鎮静法の詳細については、こちらをご覧ください。
今月も既に12人(院内8人、提携出張先4人)の方が静脈内鎮静下で歯科治療を受けられました。特に、循環器・呼吸器系に問題を抱えた方の歯科治療には注意が必要です。
長時間に渡る手術の場合には、患者さんにとって口を開けておくことだけでも非常に苦痛を伴います。
バイタルサイン(血圧・脈拍・心拍数・心電図など)の治療中の変動を監視し、適切な対応ができる準備をしておくことは、医院側のリスクマネージメントの観点からも医療従事者としての当然の責務と考えています。
さらに当クリニックでは、静脈内鎮静を行う患者さんに対し、脳波を測定することで鎮静深度が数値でわかる”BISモニタ”という優れものの先進機器を使用しています。詳細についてはこちらをご覧ください。
処置内容により患者さんの意識レベルを変化させれるため、開口量が必要な時間帯は、鎮静を浅くする、といった、細かな配慮も可能になります。
静脈内鎮静法による歯科治療を体験した方からアンケートをとらせて頂いていますが、皆さん非常に満足度は高く、次の機会にも是非鎮静をかけてください、とおっしゃります。
当クリニックでは、患者さんのご都合の良い曜日、日時に合わせて鎮静内鎮静下での歯科治療を行うことが可能です。ご興味のあるある方は、お気軽にスタッフへお尋ね下さい。
今後も、本当に安全・安心な医療環境の整備・提案をしていけたらと考えています。