生理的な歯の移動
子供の頃は綺麗な歯並びだったのに、いつの間にかガタガタになってきた、
叢生がいつの間にかひどくなってきた、矯正をして歯が綺麗に並んでいたのに元に戻ってきた・・・等々、自分の歯の変化に気付く人は多いのではないでしょうか。
人間の歯というのはじっと見ていても全く分かりませんが、生涯動き続きます。
絶えず食べ物を食べるのに嚙んだり飲み込んだり、呼吸だったり、会話といった口の運動や、加齢による顎骨等の変化に対応し歯並びとかみ合わせは変化してきます。
また人間の歯は、常に中心(真ん中の歯)に移動していく性質もあります。
分かりやすく言えば奥歯が前に歯があるのに前に前にぎゅっと詰めてきて、前歯がそれに押され重なり合い叢生を起こしてきたりします。
40歳までに片側0.5㎜程度、また歯周病にかかっている人は片側7㎜ほど動くというデーターもあるそうです。
歯というのは食事等でかんだだけでも一瞬近心に動きます。これはすぐに元に戻るのですが、長い年数をかけ、その近心に動く際におこる隣接面との摩擦により少しずつ少しずつ隣接面が摩耗し、その空いてきた隙間分歯が動くのです。
私も元々下顎の前歯が少しだけずれていたのですが、あまり気にしてはいませんでしたが、叢生がひどくなっていることに成人をかなり過ぎてから気付きました。
歯列矯正で歯を動かした後も、半永久的にリテーナーで固定し続けなければならないのはこのためです。
矯正終了後の患者さんには後戻り防止の装置をつけていただくように作製しますが、しばらくはめていなかったので入らない、また装置をはめていなかったら後戻りしてきたので再矯正をする、と言った患者さんも多々います。
審美的にせっかく時間とお金をかけて綺麗な歯並びにするために矯正治療をされた方も、こういった生理的な歯の移動があることも知っておいて下さいね。
生態としては、かみ合わせに問題がなければ歯は機能しながら加齢現象でちびていっているので問題は無く、機能障害というわけではありません。