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第56回 矯正装置の選択①・・・(この時この装置!)

開業して13年を過ぎました。開業した当時に比べると、幼少期、青年期の方の虫歯治療をする割合は激減しました。
一方、歯並び、かみ合わせに問題のある方は、減るどころか増える一方というのが私の印象です。

年齢を問わず、毎日のように歯並びの相談に多くの方が来院されます。転医や紹介だけでなく、他医院で治療中の急患の方も多く来院されます。すると、いろいろな装置を目の当たりにします。一見すると、首をかしげるような装置で治療が行われているケースや、2~3年も治療しているにも拘らず、歯並びがほとんど改善されていない方がおられます。

当たり前のことなのですが、”装置の選択”というのは、治療上とても重要です。適材適所といいましょうか、歯列不正のタイプや顎骨の形態や年齢などを考慮し、十分な診査・診断の下に治療プランを立案し、装置を決定します。そして、治療の進行とともに装置を変更していく必要があるケースがほとんどです。ですから、何より個々の装置の特性(長所と短所)、限界について熟知しておかないと、不必要に治療期間が延びたり、最悪治療が後退することもあり得ます。

”万能な装置などないこと”、そして歯牙や顎骨へある作用を期待した場合の”特性をよく理解した自身の得意な装置を持っておくこと”というのもポイントではないかと思っています。

今回は、”矯正装置”にスポットを当て、”どんな症例にどのような装置を使用すれば良い結果が望めるのか?”そして、”どんなケースに、使用してはいけない装置が何か?”などにも触れてみたいと思います。

非常にわかりやすい事例の下記の2枚の写真をご覧下さい。図Aが治療前の上顎咬合面観です。図Bが治療後です。非抜歯での治療です。24才の女性です。どんな装置を使用して、どのように治療を進めたか、わかるでしょうか?

最初にお話しておきますが、この症例に限って言えば、可撤式装置(例えば床装置)はタブー(禁忌)です。絶対に治りません。可撤式装置の適応範囲は実はあまり広くありません。床装置や各種機能装置(バイオネーター、ビムラー、フレンケルなど)に代表される可撤式装置は使いがっては良いものの、留意点も多いです。特に、顎骨の成長が終了した成人では、限られた症例にしか利用できない、という認識が必要です。

A

B

図Aは、ご覧のように”重度の叢生”というのがわかります。左上犬歯(画面上は右上)が完全に歯列から飛び出ています。歯列全体としては、14㎜も歯牙萌出スペースが足りません。このようなケースの場合、左右小臼歯を1本ずつ抜歯をして治療を行なう歯科医もいるでしょう。

では、”なぜ非抜歯で治療したのか?”図Bの状態にするのに、”14㎜のスペースをいかにして作ったのか?”など素朴な疑問が当然あるはずです。
その辺りについても、装置の選択を中心に、当医院のケースで順序立ててお話したいと思います。

下記の左縦欄の①~⑤が治療前、右縦欄のⅠ~Ⅴが治療後です。

図①が正面観です。ご覧のように、誰の目にも上下顎ともに、重度の叢生(乱杭歯)です。特に、左上犬歯(画面上は右上)は、歯列内から完全に外れた位置にあります。適切な治療を行うことによって、図Ⅰのようにすることは可能です。

図②が治療前の上顎咬合面観です。左上犬歯が歯列外にあります。叢生量は14㎜でした。図Ⅱが治療後です。

図③は、治療前の下顎咬合面です。下顎も12㎜の叢生量と重度で、それなりの装置といいましょうか?適切な処置が必要なケースです。図Ⅲが治療後です。

図④は左側側面観です。側切歯と犬歯が上下に重なっていて、1歯分以上スペースが足りない状態です。左側だけで1歯分以上スペースが足りない場合、しかも、犬歯がかなり上方にある(低位にあるという)場合、矯正力の強さや方向に慎重な配慮が必要になってきます。

過度な力を作用させますと、歯列内には移動しますが、歯肉がついて来ないため、歯肉が退縮した結果になることがあります。ですから、図Ⅳのような犬歯の歯肉ラインの仕上がりにするには、工夫と配慮のどちらも必要ということです。

図⑤が治療前の右側側面観です。左側ほどの叢生はありませんが、下顎歯牙を中心に歯軸を揃えて、緊密な咬合になるよう仕上げた結果図Ⅴです。

左側縦欄(図①~⑤)の治療前の状態から右側縦欄(図Ⅰ~Ⅴ)の治療後の状態にするのに1年10ヶ月かかりました。24才の女性です。当然上下の顎の成長は終了しています。

このページの最初の方で触れましたが、可撤式装置(取り外しの装置)では、このケースは治療が全く進みません。なぜか?

一番のポイントは、上顎については、”移動距離の長い歯体移動(歯牙を平行に移動させる)が求められるから”です。2次元的な移動しかできない装置では不可能な作用が常に必要だからです。非常に大きなスペースを確保するために個々の歯牙の大きな移動をしなければいけません。傾斜移動はタブーです。詳細は次回お話します。年齢も重要です。第二大臼歯が完全に萌出しているか否かも、歯牙の移動方向によっては、装置の選択に関与してきます。

下図15枚に、治療経過に沿った今回使用した装置を挙げています。矢印の順に治療を進めました。どれも信頼性が高く、頻用される装置ばかりです。装置の特徴をしっかり押さえておきたいものばかりです。解説は次回します。

”適材適所!!!” 柔軟な発想で治療に取り組むために常に心がけておきたい言葉です。

治療開始(上顎)→

治療後(装置除去直前)

治療開始(下顎)→

治療後(装置除去直前)

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