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第26回 特殊な抜歯パターン!

矯正治療を開始するにあたって、何本かの歯を抜歯するか、非抜歯で治療するかは、術者にとっても患者さんにとっても、非常に重大な懸案といえます。

 術者にとっても、患者さんにとっても、非抜歯を第一選択肢にしたいところですが、症例によっては、非抜歯では治療が困難な場合もあります。

 今回は、よくある症例ではなく、熟慮した上で抜歯部位を決定して治療した若干難症例に分類されるケースについて、お話してみたいと、思います。

症例1

症例1についてですが、図A、Bは、治療前の正面観、右側面観です。

 歯列不正のタイプからいいますと、開咬(奥歯しか咬んでいない)で下顎前突(いわゆる受け口)、しかも叢生(歯が重なった乱杭歯)ということになります。

 成人ということもあって、顎の成長をコントロールすることができないことや、開咬や叢生の程度が重度ということを考慮すると、非抜歯での治療は困難といえます。

 矯正治療の際、一番頻繁に抜歯するのは、前から4番目と5番目の小臼歯といわれる歯です。歯牙1本1本の名称については、歯並びのページ(第14回理想的な歯並び・・・前歯編)をご覧ください。

 小臼歯を抜歯する理由を一言でいえば、中間的な位置にある歯つまり小臼歯を抜歯してスペースをつくれば、前歯も奥歯も効率的に動かしやすいからです。

 但し、この症例のように、開咬が重度の場合は、顔面高(顎の上下的な長さ)の是正や、大臼歯、特に下顎の歯の整直(歯をまっすぐおこして後ろ方向「遠心傾斜」の力をかける)を十分行う必要があるため、後方の歯牙を抜歯すると治療がスムーズに行えます。

A

B

 今回は、図C黄色丸の歯(上顎第2大臼歯、下顎第3大臼歯)の抜歯を行い、上下歯牙をともに後方へ順次整直させていきました。図Dが術後のレントゲンで図E,Fが口腔内です。

 一昔前であれば、この症例は、多分ほとんどの歯科医が外科を伴った矯正を選択していたはずですが、最近の矯正材料、テクニックの進歩は目覚しいものがあり、ほとんどの症例が非外科での治療も可能になっています。

C

D

E

F

症例2

次の症例2ですが、図Gが治療前の正面観です。図Hが右側面観で、黄色丸の場所に歯が元々ありません(先天性欠如歯といいます)。

 先天性欠如歯は、臨床上は比較的よく遭遇します。第1、2小臼歯や、側切歯に認められることが多いです。矯正治療をする上では、上下や左右の歯の数が異なる状態になりますので、なかなかやっかいになる場合が出てきます。

H

レントゲンを撮ると、図Iの黄色丸の左右の第2小臼歯が先天性欠如歯ということがわかりました。今回の場合は、上下とも叢生が認められ、スペース不足が明らかでしたので、上顎の左右第1小臼歯を抜歯しました。下顎については、先欠歯がありましたので、そのスペースを利用して、通法にて、上下の叢生の改善を行いました。

 図Jが術後のレントゲン図K、Lが口腔内です。

 先天性欠如歯が、片側性に認められる場合や、上顎の中切歯に確認された場合は、矯正治療で歯列を整えただけでは、左右的に対称とはならないので、補綴物(被せやブリッジ)で補う必要が生じることもあります。

C

D

E

F

症例3

次の症例3は、図Mが正面観で、上下顎とも叢生という歯列不正で、一見よくある症例です。が、図Nの黄色丸をご覧ください。左下の側切歯と犬歯がくっついています。癒合歯といいます。

 術後のレントゲン(図O)を診ても、黄色丸の部分に癒合歯が確認できます。

 癒合歯があるため、左下の犬歯より後方の歯は、半歯分前方に歯を並べざるを得ない結果になってしまいました(図Q)。

 それはどういうことかというと、矯正学的な理想咬合に、”1歯対2歯の咬合関係にする”、という考え方があります。治療後の安定には不可欠といわれています。

 その意味からいうと、この症例は、上下の歯が1歯対1歯になっています。今後不安定な咬合のまま経過する可能性がありますので、癒合歯を少し削除(削合という)して幅の狭い歯にして、1歯対2歯の関係にしておくほうが肝要と反省しています。

 歯の数や大きさが左右でアンバランスな場合に、理想的な咬合関係にするには、一工夫必要な場合が生じます。

C

D

E

F

F

矯正治療を行う際、全ての歯科医は、まず最初に非抜歯治療を模索します。

 しかし、上記の症例のように治療前の状況が、通例とは異なり難易度が高い場合、熟慮の上、通常とは違う抜歯パターンを選択する場合もあります。そのことにより、良い結果が得られるのです。

 今回のテーマとはずれますが、最近、非抜歯での矯正治療後の後戻りを主訴に当医院へ来院される方が急増しています。特に成人の場合、無理に非抜歯治療に固守して治療しても、長期的には安定しない場合がしばしばあります。他院での治療ですので、治療前の状況、治療方法は不明ですが、限度を超えた側方拡大や大臼歯の後方移動に起因していることが多いように思われます。

 いずれにしても、早期に後戻りしているということは、治療としては失敗といえます。残念でなりません。

 私は、非抜歯治療の肯定派でも否定派でもありませんが、成人の方の場合、当医院での治療実績からいうと、抜歯、非抜歯の割合は半々といったところでしょうか?欧米人に比べ叢生の割合の多い日本人の場合、非抜歯では難しいケースがどうしても増えてしまいます。全国の歯科医院から集めた治療成績のデータからも同じような数字がでています。

 あくまで個人的な見解ですが、”全ての患者さんを非抜歯で治療できます!”といったあまりにも非抜歯治療を前面に押し出した広告をしている歯科医院は、要注意ではないかと思います。

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