第10回 矯正装置あれこれ(顎内矯正装置)・・・第4話
今回は、矯正装置のなかで、主に乳幼児期に一番よく使用される取り外しのできる装置について、どんな種類や特徴があって、どんな症例に使用されるか、について、解説していきたいと思います。
前回の続きで、取り外しのできる装置の中で、口の中で使う顎内矯正装置についてお話ししたいと思います。
*顎内矯正装置 (個々の歯を移動したり、顎を大きくするだけでなく、矯正後の後戻りを防ぐ時にも使用することもあります)
1)バイオネーター・・・
上下の顎の前後的、あるいは、左右的ずれを治療する時に使用します。幼年期の受け口や出っ歯の症例に有効で、比較的長期間(半年~1年)の装着が必要です。
同じ目的で使用される装置に、ビムラー、フレンケルⅠ、フレンケルⅡ・・・など幾つかありますが、使用感、効果の有無などから現在、一番頻用されている装置です。
2)床拡大装置・・・・・
その名の通り、入れ歯のような床を土台に、幾つかのバネがついており、顎を左右的、前後的に広げる装置です。個々の歯の移動も補助装置として細いワイヤーを組み込むことによりできます。非常に応用範囲が広く、あらゆる方向への歯や、顎の移動を、行うことができます。
下の歯に装着することも、当然可能です。
3)保定装置・・・・・・
矯正装置をはずした後、後戻りしないように入れておく装置です。最近の主流は、目立たないタイプ(下記)のものが、頻用されています。
ホワイトニング用のマウスピースを保定も兼ねた装置として使用する場合もあります。
上記に挙げたのは、頻用されている可撤式矯正装置(取り外しのできる装置)のごく一例で、その他にも、何十種類もあります。
バイオネーターに代表される顎機能矯正装置は、約10種類ほどあります。
床矯正装置は、工夫次第では、無限に近いほど使い道があります。
保定装置(リテーナー)は、固定式と、可撤式のものが、ありますが、清掃性の良い可撤式のものが主流で、後戻りしやすい症例などには、固定式を利用する場合も、あります。
どのケースに、どの矯正装置を使用するかは、歯科医の知識、経験から決定される場合が大半で、患者さんにはわかりにくい部分です。ですから、治療前、治療中に関わらず、どうしてその装置を使用するのか?同じ作用を期待できる装置には、他にどんなものがあるのか?どうして、今回は、その装置を使用するのか?などをよく説明してもらえば、十分納得できるので、治療もスムーズに進むのではないでしょうか。
可撤式装置は、比較的大きいため、口の中へ入れた時に異物感があり、慣れるまで、多少の時間を要します。もし、慣れない場合は、可撤式装置にもいろいろあるので、他の装置に換えてほしと、迷わず相談してみて下さい。