ページトップへ戻る

第24回 外科矯正って???・・・②(出っ歯他)

今回は、前回に引き続き、歯の移動による矯正だけでは良好な結果、顔貌が得られない場合に行う外科症例の話の続きをしてみたいと思います。
 
 
 
  図A、Bをご覧ください。30才の女性でいわゆる上顎前突(出っ歯)で、奥歯のかみ合わせは、アングルのⅡ級です。奥歯のかみ合わせの詳細については、歯並びの話のページ(第16回「理想的な歯並びとは・・・!」(奥歯編)をご覧ください。

 上顎前突の治療の一法として、上顎を
左右(側方)へ拡大してスペースをつくり、前歯部を後方へ移動する場合があります。小児期の場合、図Cのような装置を装着して、拡大ネジ(黄丸)を回すことにより顎自体が左右に拡がるのですが、顎の成長が終わった成人の場合、図Cのような装置を装着する前に、上顎骨の正中部分を外科的に離開図D)しておかないと、拡がりません。

a47
b37
c22
d18
小児期の場合、上顎骨の正中部分が癒合していない(図E黄色矢印)ため、図Fのような装置(急速拡大装置RPEという)により、顎自体が左右に拡がります。

 ところが、成人になると、
図Gのように正中口蓋縫合(黄色矢印)がほとんど癒合してしまいますので、RPEでの側方拡大は、難しいです。無歯顎の老人に至っては、図Hのように、縫合部がほとんどわからないくらい接合しています。

 
成人の場合でも、外科的に縫合部の離断を前処置として行っておけば、側方拡大は可能です。
e19
f16
g15
h16
次に、最近問い合わせの多い美容整形がらみの話を少ししてみたいと思います。

図Iの患者さんは、黄色丸部(オトガイ)の突出感を主訴に来院されました。下顎骨が後方位にあるののですが、それとは別に、レントゲンを撮ると、図Jの黄色丸部分に人工物が写っていました。

 15年前にシリコンを入れたそうです。年齢とともに目立ってきたとのことです。矯正治療はもちろんのこと、顔貌の改善のために、
図Kのように外科処置をして、シリコン様人工物を取り除きました(図L)。

 年齢とともに、顔貌は変化しますが、オトガイ部は、しわもなく、突出した感じで非常に違和感が存在していました。
i15
j12
k15
l15

私は、美容整形医と話をする機会がよくありますが、歯科医が歯の移動で行う矯正と、外科処置で対応する美容整形医との考え方には、かなり隔たりがあるというのが、実感です。

双方の考え方、役割、を尊重した上で、患者さんも交えて最善の治療方針を模索していくことが重要です。

 次に、下顎骨の話をしてみたいと思います。

 下顎骨は、上顎骨に比べ、硬く、密度も濃く、正中も幼児期に接合するため、顎自体を左右へ簡単に拡げるのが難しいです。


 永久歯に生え変わった成人の場合に、確実に拡げようとするには、外科的に
図Mのようにインプラントで固定しておいて、拡大ネジを使用します。拡げる前に正中で離断しておく必要があります。

 また、最近では、
骨の延長術もどんどん進歩しており、図Nのような下顎骨を前方に延長したり、図Oのように、前下方へ誘導、延長する方法も考案されています。

 
図Pのように、インプラントを固定源に骨延長を行うのが最近の主流になってきています。
m13
n20
o14
p2
矯正治療というのは、できることならだれしも非外科にて治療したいと願っています。進んで外科処置を行う歯科医などいません。外科処置の適応は、上下の顎の成長のアンバランス、変形が起きてしまった成人の場合です。放置していたために起こった結果といえます。

 いかに、
小児期に正常な歯列、かみ合わせの育成をしていくかが、鍵になります。いつもお話していますが、親御さんがおかしいな?と思った時が治療の開始時期です。小児期の異常を見逃さないことが私たち歯科医の務めです。

 最近では、幼児期(3,4才)からの矯正治療の必要性を提唱する歯科医が増えています。私も同感です。正常な乳歯列の育成は、正常な永久歯列に移行します。予防的な矯正が、今後どんどん普及していってほしいものです。