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第16回 理想的な歯並びとは?・・・(奥歯編)

  「理想的な歯並びとは?」・・・第1話では、顔貌を含めた”前歯”のことを中心にお話しました。
今回は、正常な”奥歯”の噛み合わせについてや、矯正治療を行う上での治療目標(矯正学的理想咬合)等わかりやすく触れてみたいと思います。

 矯正治療の対象となる不正咬合には、多種多様のタイプがあります。前歯だけ、あるいは奥歯にも問題がある場合があります。

 最初にお話しておきたいのは、奥歯に問題があるが、口全体としては正常な咬合(噛み合わせ)ということは、まずあり得ない、ということです。奥歯は正常な咬合だが、前歯が不正咬合ということはよくあります。いいかえれば、最初の奥歯(第1大臼歯)が生える6才前後に咬合に問題がある場合は、将来的に正常な咬合になることは、ありません。

  6才臼歯の咬合の異常は、放置しておくと、上下の顎の発育のアンバランスや、顎の前後的な位置異常を悪化させますので、小学校低学年の時点での早期に治療が必要、ということです。

 不正咬合のタイプをいくつか列挙しますと、以下のようになります。
 

a28
b26
c13
d9
e10
f8
g6
h6
i_1
I-1
i_2
I-2

図A~Cは、個々の歯の位置がずれている例です。図Aは、上の前から2番目の左右の歯(側切歯)が、中に入って、上下が逆になっています。図Bは、上下の糸切り歯が、いわゆる八重歯になっています。図Cは、上の一番前の歯が2本回転して反対咬合になっています。図A~Cのような歯列不正を総称して、”叢生(乱杭歯)”といいます。

 
図Dからは、上下の顎の上下的あるいは前後的のずれがある不正咬合です。図Dは、舌が歯を押す悪習慣が原因で起こった噛み合わせても上下の歯に隙間が開いているので、”開咬”といいます。図Eは、下顎の成長異常を伴った重度の開咬です。図Fは、噛み合わせた時に、下の歯が見えないくらい噛み合わせが深い”過蓋咬合”です。図Gは、奥歯の噛みあわせが、左右的に右と左で違う”交叉咬合”です。図Hは、”反対咬合(受け口)”で、図Iは、”上顎前突(出っ歯)”です。

 叢生(図A~C)は、顎の大きさに比べて、歯の大きさの総和が大きすぎる場合に生じますので、奥歯が正常な咬合の場合にも発生します。

 
開咬(図D,E)も、顎の上下的なずれですので、奥歯が正常な咬合でも発生します。
図F~Iについては、上下の顎の前後的ずれ(近遠心ずれという)が伴います。つまり、奥歯の噛み合わせが正常ではありません。

j5
k6
 図Jは、正常な奥歯の噛み合わせです。緑色の上下の歯が、第一大臼歯(前から数えて6番目の歯)です。上の歯のほうが下の歯に比べ少し後ろにあるのが理想です。図Kでいえば、白黒の境界の部分の歯の噛みあわせが重要です。奥歯が正常な咬合であれば、出っ歯や受け口には、なりません。
l4
m
n3
次に、図Lのように、緑色の歯が、上のほうが、下の歯に比べ前方にあると、必ず出っ歯になってしまいます。出っ歯にも2種類あるのですが、図Mのように上の歯が前へ傾斜しているタイプと、図Nのように上の前歯が重なっていていて前突感がないタイプがあります。両者とも奥歯の噛み合わせが悪いので、前歯が綺麗に並ぶことはありません。
o6
p
 次に、図Oのように、緑色の下の歯が上の歯に比べ前へ出ているタイプです。当然図Pのように受け口になってしまいます。

  6才臼歯の下の歯が前へ出てしまうと、受け口になるか、下の前歯がガタガタになるかどちらかです。

 

 口を閉じている時でも、上の歯がちらちら見える人を見かけたことはありませんか?今放映されているNHKの朝の連ドラの主人公がそうですね!上の奥歯が前方にある図Lの咬合のはずです。

 
図Qの左のような上の6才臼歯が前方にある出っ歯タイプの人は、矯正治療すれば、右図のようになり口元が良くなります。

 逆に
受け口タイプの人は、図Rの左のように鼻の下の凹んだ感じが特徴的ですが、治療によって右図のように整った口元になります。

q3
r1

図Jの奥歯の噛み合わせを歯科用語では、”Angle(アングル)Ⅰ級”といいます。この噛み合わせを目標に矯正治療を進めていきます。奥歯をAngleⅠ級にして、前歯を整えれば歯列はきれいに並びます。奥歯がAngleⅠ級か、そうでないかでは、治療計画に大きく関わりますし、難易度もかわってきます。

 小学生くらいのお子さんがいる方は、6才臼歯の噛み合わせをみて見て下さい。もし、図Jと同じ感じであればOKです。下の乳臼歯が残っている場合は、上下の歯が、前後的に同じくらい(若干図Lに近い感じ)でもOKです。理由はまたの機会にお話します。

 もし、図Oに近いようであれば、即治療が必要です。成人(全部永久歯)の人は、図Jのタイプみが正常です。それ以外は、出っ歯か受け口、叢生のいずれかの傾向が見られるはずです。

 虫歯については、早期発見早期治療が最善の処置といわれて久しいです。が、歯並びについても同じことがいえます。早期に発見、治療すれば、重度の歯列不正にならずに治療も簡単に終わるケースがほとんどです。

”6才臼歯の位置を観察して見ましょう。”