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第33回 おしゃぶりなどの悪習癖による弊害

子供の日にちなんでか、産経新聞(2004/5/5)に、下記のような記事が出ていました。まずは、ご一読ください。
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私見としての結論を最初に述べるとしたら、上記の記事に出てくる亀山歯科の考え方に大賛成です。当医院へ来られる0~2才のお子さんの中にも、おしゃぶりを口にくわえたまま診療室に入って来られる方をよく見かけます。当然上記のように指導させて頂いています。

 先日、1.6才児の検診に出かけたのですが、やはり10人に1人くらいの割合でおしゃぶりをくわえていました。

 乳幼児期(6才以下)の歯列異常は、ほとんど環境的な要因で起こります。遺伝的、つまり体質による影響は、第一次、第二次成長期の顎の成長のアンバランスをコントロールすることにより、ある程度防げます。ですから、乳幼児期は、悪習癖の除去と、咀嚼訓練が非常に重要な治療上の主眼になります。

 ”最近のお子さんは、食べ物をあまり噛まないので、もっとよく噛んで食べるようにしましょう”、と言うのは、簡単ですが、噛むという行為は、無意識に行っていますので、噛むことを考えながら食事をすることは、実際できません。もし、そんなことを考えていたら、食事がおいしくないですし、全く楽しくありません。

 何回も咬まないと飲み込めない調理法にしてあげればいいだけです。何回も噛まないと飲み込めないイカ、タコ、フランスパンみたいな硬いものばっかり毎日食べることなど、現実的ではありません。最近の子供は、前歯をあまり使いません。使わないというよりも、使う必要がない食べ物しか食卓に上らないことが問題なのです。当医院では、パンフレットにして、具体的にどんな調理法が良いか指導しています
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少し症例で見てみましょう。「開咬」と呼ばれる歯列不正です。

 図Aが治療前、図Bが治療後です。図Cが治療前、図Dが治療後です。上下前歯の噛み合わせが深くなっているのがお分かりいただけると思います。

 どちらの場合も機械的な装置は全く使用していません。”生物学的機能療法”のみの治療です。治療というより、指導といったほうが適切かもしれません。歯科医が治したのではなく、本人が自宅で咀嚼訓練をしたことにより、生理的な筋肉の機能が高まったことにより治癒したのです。

 ですから、後戻りはまず、起こりません。仮に、、舌を前に出す悪習癖のあるお子さんに、図Eのような舌を前に出せないような装置を装着して、開咬が一時的に治ったとしても、装置をはずすと、舌癖自体を治す訓練をしていないと、すぐ後戻りします。

 上記は、あくまで乳幼児期の場合に当てはまる例です。成人の場合、顎骨は、外科処置をしない限り不可逆的な形態になっています。メカニカルな治療の適応になります。

 悪習癖にも、指や舌、唇を噛めば開咬出っ歯になりますし、頬杖や顎を机に押し付けていれば顎の偏位が起きます。口唇力の弱い口を開けっぱなしにしているお子さんもよく見かけます。

 一時期の悪習慣を見逃さないでください。取り返しのつかない結果になりかねません。お子さんの口元はきれいですか?常日頃から観察する習慣を身につけたいものです。

 私たち専門家も、診療室に入ってくるお子さんのしぐさや口元に目を配り、異常があれば、いち早く指摘、指導できるだけの知識や観察力は、持っていたいと思います。