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第135回 「インプラント新HP」への想い

今回のこのページは、テキストのみです。「インプラント新HP」への想いを記載します。

一言でいえば、インプラント治療に関する欠点、留意点、トラブルなどのコンテンツに重点を置いたサイトを作成しました。インプラント治療への疑問・質問があれば、こちらをご覧になってみてください。何かしらヒントが見つかるかもしれません。

サイト作成のきっかけは、あまりにも最近、インプラント治療でのトラブルや相談が後を絶たないからである。適応症を選び、正確な診断の下、丁寧に安全に行えば欠損補綴の一オプションとして有益な治療である。

しかし、一部の問題のある歯科医による治療やそれに伴うトラブルを取り上げて、マイナスのアナウンスがマスコミを中心に行われていおり、非常に残念であるし嫌悪感を感じざるを得ない。”インプラント治療が歯科医院経営の柱だ!”とビジネスツールかのように胸を張って言う歯科医すらいるのには憤り以外言葉が見つからない。

近い将来”インプラントは危ない治療”という認識が一般の方に浸透してしまうのではないか?と真摯に誠実に診療をしている大多数の歯科医は感じているはずである。

ただ、歯科専門誌を見開くと、インプラント失敗ケースへの対処法やトラブル回避、偶発症への対応などに多くのページが割かれていることは、表面化していないが問題のある治療に苦慮している歯科医が多いのであろうし、関心が高まっているのは事実である。

しかし、多くの問題ケースは、技術不足や診査・診断の甘さ、本来インプラントの適応とは言えないケースへ無理に行った場合などが発端になっている。言葉は適切ではないかもしれないが、誰かが行った治療の尻拭いの手法を解説しているのはなんとも情けないことである。

本来起きてはいけない身内(同業の歯科医)が行った失敗ケースのリカバリー方法を伝授する講演が盛況だったりするのは何とも皮肉なこと、では済まされない。同じ歯科医として恥ずかしいことである。

インプラントに関する学問は、まだまだわからないことが多い。たかが40数年の歴史しかない。数年前にエビデンスだ!と言って皆がやっていた方法が、現在では全否定されていることも稀ではない。インプラントに関する新しい術式やそれに伴う器機・器具が次々に紹介されるが、数年後には誰も使用していない、話題にも上らないことも稀なことではない。学問としては迷走していると言わざるを得ない。

例えば、20代前半の方の上の前歯の1歯欠損部位にインプラント治療を行うとしよう。治療後50年後はどうなっていますか?50年間適切なメインテナンスを行えば、審美・機能両面で問題なくフォローアップできますか?

そんな先のことは誰にもわからない。その通りである。口腔内環境は加齢とともに刻々と変化していく。歯や歯周組織は形態や居場所(位置)を少しずつ変化させ周囲組織とバランスを保ちながら適応していくが、インプラント自体は人工物であるが故変化しない。動かない。周囲の生体の変化を感じて適応する能力はもちろんない。だからやっかいなのである。

10年保証、20年保証、一生涯保証などと謳っている歯科医院がある。宣伝文句以外何物でもない。全く理解不能である。多分金銭的な保証のことを言っているのであろうが、保証とは、本来元の状態に限りなく戻せる解決法が提示できる場合(交換や修理)に使うべきで、物を売る場合に適応となるのではないか。原因はさまざまだが、インプラント及びその周囲に一旦問題が発生すると、元の状態には誰にも絶対戻せない。だから保証なんてできないはずである。

例えば、あなたに悪性腫瘍(胃がん)が発見され、手術によって胃を全摘出したとする。担当医は、退院時にあなたに言います。”術後の経過は良好です。がん細胞に侵されていた所は全て除去しました。定期的な検診には来て下さい”と。

しかし、”これでもう再発や転移はありません。私が一生保証します”と担当医が言うはずはありませんよね。そんな無責任なことを言う医者はいません。もしあなたが”これで私は一生がんにはならないですよね”と担当医に質問したとしましょう。たぶん担当医は、”もし定期健診等で何かしら異常が見つかったとしたら、私にできる最善を尽くします。できうる限り最大限お力になりたいと思っています”というニュアンスの返答をすると思います。

インプラント治療にも似たところがあります。体に異物が入ります。10年間は何ともなくても11年目に突然骨との結合が崩れ除去を余儀なくされたり、いつ何時インプラント周囲炎を発症するかもしれません。私にもそのようなケースがあります。

生涯保証なんて、口が裂けてもいえるはずはありません。問題が発覚した時には、”その時々の最善を尽くさせて頂きます。ですから、患者さんも定期的な検診と家でのケアは怠らないようして下さい”とお話します。

少し話が脱線しましたが、ほとんどのHPでは触れられていないインプラント治療の”光と影”で言えば、あえて“影”の部分のボリュームを多くしたサイトにしました。インプラント治療の欠点・留意点をしっかり理解することは、長所を知ること以上に必要なことです。

厳しい言い方をするようですが、「インプラント治療を選択する、ということは、治療後の責任は、歯科医院側と患者さん側に半分半分ある」という認識をもって頂きたい。
そして、もし聞こえの良い話(安い・早い・痛くない等)を強調する医院と感じたら、セカンドオピニオン(別の歯科医の意見を聞く)をお勧めします。

かかりつけの歯科医院があるようでしたら、そこの歯科医に次の質問をしてみてください。”先生が患者としてインプラント治療を受けるとしたら、どこの歯科医院で治療してもらいますか?と。インプラント治療選びのヒントになると思います。

最後になりましたが、「インプラント新HP」への質問・コメントをお待ちしています。インプラント治療への理解を深めて頂くことがとても重要であり、どのようなインプラント治療法を選択するかの出発点かと思います。