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昨々日(5月8日)は、当クリニック主催の矯正セミナーの第4回目を行いました。”包括的歯科医療の中でのMTM(Minor Tooth Movement)”と題し、エクストルージョン(挺出)アップライト(整直)を中心にバイオメカニクス(力のモーメントの話)や使用可能なアプライアンス(装置)、臨床ケースを供覧し、講義と実習を行いました。20数名の歯科医とともに学びの時間を過ごせたこと、本当に有意義であったと同時に、参加者へ明日からの診療のヒントになれば幸いです。また、毎回実習の準備や当日手伝ってくれるスタッフにも感謝・感謝です。

さて、タイトルの話をしましょう。


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昨今、歯科専門誌には、経営セミナーの広告が頻出しています。”増患、集客、勝ち組、他医院との差別化”と言ったキーワードが踊っています。

30代を中心の若い歯科医と話をすると、”臨床のスキルアップ”よりも”経営安定”が最優先との声をよく聞く。”わくわくする医院作り”のためにサービス業的発想で、例えていうならば”期間限定で○○までホワイトニングキャンペーン実施中!参加者限定の○○イベントします!”などのツール作りに躍起になり、歯科医療の中身とは全く異なる次元で他医院との差別化に奔走する歯科医院を散見する。

また、”定期管理型の医院”と建前では言いながら、実は患者抱え込みが目的なのは見え見えで、治療の質(臨床への自己研鑽)は二の次で、とにかく患者来院数を増やすこと、固定患者を増やすことが第一義で、”来院患者数の多い大規模歯科医院が成功事例”ともてはやされている傾向には、憤りを通り越した憂い、焦燥感を感じる。

特に、この傾向は若い歯科医ほど顕著なように感じる。歯科界を取り巻く環境が厳しく閉塞感があり、将来に展望が見いだせないことに起因しているものと思われるが、”本当に心の底から自分が目指している歯科医像や歯科医院像がそこにありますか?”と問いたい。

よーく考えてほしいのです。私たち歯科医療従事者は、”治療を通じて患者さんを幸せにすることが本来の姿です!”決して同業の歯科医と勝ち組・負け組という形で競争することが目的で日々診療はしていないはずです。

仮に、自医院にこのページの冒頭の口腔内写真の患者さんが来院されたとします。どのような治療プランを立てますか?

自己研鑽に励み、学術を通じて同業の歯科医と切磋琢磨し治療の品質向上のために精魂費やす!、そして常に良質な医療を提供する努力をし続けることが最優先で行われるべきはずです。

ただ、自己研鑽には多大な時間と労力を要します。休診日や日曜日には学会やセミナーに参加し、各分野のエキスパートから有益な情報やスキルを学び取り、自分の臨床にフィードバックさせ具現化させなければなりません。

そして、患者さんに自己研鑽の成果を理解され認めてもらうには、タイムラグ(時間的なずれ)が生じます。患者さん側からすると、”優しい、痛みや腫れのない治療を行う、治療費が安い、早く治療が終わる”、といった尺度で腕の良い歯医者さんを判断しがちだが、それは全くの間違いである。

”最良の治療を提供するためにあらゆる手段を駆使して、総合的にアプローチする!”ことが求められる時代です。良質な治療を行おうとすれば、時間や費用のかかる治療、時には痛みや腫れを伴うことがあります。

特に若い歯科医にとっては、経営面では厳しい局面に遭遇することことも多々あると思いますが、”臨床への飽くなき自己研鑽”という軸だけはぶれないでほしいと思います。

私自身も、経営的に厳しい局面に立ったことがあります。診療体系を大幅に改変させた時、一日の来院患者数が半減しました。支払える毎月の給与が激減したため、あるスタッフには愛想つかされ辞めていきました。精神的には本当につらい時期でした。

しかし、”可能な限り本当に良質と思える歯科医療を提供したい”、という思いだけは崩しませんでした。現在では、患者さんの要望をくみ取りつつ、さまざな提案・選択肢を提供(インフォームドコンセント)し、その中から患者さんに選んで頂く(インフォームドセレクション)ようにしています。

全ての方に同じ歯科医療を提供することは現実的にはできません。患者さん1人1人は、”歯科医療や口腔の健康”への人生を刻んでいく上での優先順位や価値観が異なっているからです。時間やコストへの意識も千差万別です。

ですから全ての方に無理強いするつもりはありません。重要なのは、医療従事者として、最善・最良と考える治療が行える準備、オプションを持って置くことが大切ということです。

若い歯科医には、”プロ意識”を持ってほしいのです。そのための努力を日々惜しまないでほしいのです。冷や飯を食っても若いうちは知識とスキルを磨き、経験を積んで頂きたい。

冒頭にお話しした”経営最優先”のビジネス的発想に走らないでほしい。歯科医という仕事にプライドを持ってほしい。

左記のケースは治療中ですが、矯正、口腔外科、補綴の知識・技術・経験を総動員することによってのみ良質な結果に導けると考えます。

王道(歯科臨床への自己研鑽)を突き進むことにより、何より自身が納得する人生が送れるのではないでしょうか?
本当に自分が歩むべき道、向かいたい方向はどこなのか?


自問自答してほしい!


幸い、当クリニック主催のセミナー参加者である歯科医の”自己研鑽”への意識は非常に高く、開業医として、ホームドクターとして本当に必要なスキルを身につけようとしている姿と接すると、頼もしく感じるとともに、近い将来が本当に楽しみである。。

志の高い歯科医との交流は、私自身エネルギーをもらう場となっている。
さらに頑張らねば!と自分自身を奮い立たす瞬間でもある。
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