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第114回 出張代行オペ&オペ風景

現在、11の歯科医院と提携させて頂いている。
岡山県内を中心に、島根県と鳥取県の歯科医院も1軒ずつ登録していて、各歯科医院へ出張してオペを行っている。

主に、インプラントや歯周外科治療の執刀医としてやオブザーバーとしてアシスト・アドバイスをさせて頂いている。
毎週木曜日、隔週で日曜日という形をとっているのだが、一日に3件異なる歯科医院でのオペとなることもあり、移動や準備による時間的なロスもあり、かなりハードなスケジュールとなることが多い。

昨日は、提携している鳥取の歯科医院へ出向いて、オペをさせて頂いた。”サイナスリフト(上顎洞挙上術)”という上顎の奥歯のインプラント治療を行う上では必須の術式で、ビギナーのインプラント医から卒業するためには、是非とも習得しなければいけない手法である。”サイナスリフト”の詳細については、「インプラント最前線」のページの<第8回 サイナスリフト(上顎洞挙上術)・・・基本編><第9回 サイナスリフト(上顎洞挙上術)・・・上級編>をご覧ください。

下の13枚の写真は、つい先日行った当クリニックでのオペ風景である。
当日、福山からわざわざ見学に来られた歯科医にはどのように映ったであろうか?
何か一つでも”気づき”があれば幸いである。

外科処置、特に再生医療に分類される”インプラント治療や歯周外科処置”成功には、多くのファクターが複雑に関与している。
その中でも、術者のスキル、経験は当然として、”チーム医療が円滑に行われているか?”という点は非常に重要である。

そして、もう1点、偶発症やその先にある医療事故の防止という側面から、リスクマネージメントへの配慮が重要で、”充実した十分な設備・機器が備わっているか?”も、必要不可欠といえる。

設備の面から言えば、「歯科用CTと専用のオペ室」無くしては仕事にならない、というのが歯科医の間では、今や常識になっている。

手術用の照明(無影灯)を備えただけの一般の診療室でオペを行うことのリスクは計り知れない。
片手間で行う医療行為は、事故を誘発する因子が常につきまとうこと、そして、不測の事態が起きた時に対処する体制がないこと、できないことは、謝って済む問題ではないこと、を認識しておかなければいけない。

図Aは、オペ中の風景ですが、5人体制で行われます。執刀医、清潔域担当の第一アシスト、第二アシスト、それに器具だしのアシスト(不潔域)、そして歯科麻酔医という構成になっています。

歯科麻酔医がルート(血管)を確保してモニターで脈拍、血圧等等の管理をしてくれることにより、執刀チームは術野に集中できます。

そして、図B~Eのようにリアルタイムで口腔内をモニタリング・プレビューできる設備を設置しておくことにより、直接術野を見ることが難しい器具出しアシスタントや歯科麻酔医にも、オペの進行状況がわかります。

レコーディングすることは、オペ中の器具・機器の準備がスムーズに行われることはもちろんのこと、教育的立場からも有効と考えています。

ちなみに、図Cの画面右側のアシスタントは、図Dの壁面に設置してあるモニターを見ながら、執刀医の邪魔にならないよう器具(リトラクター)の挿入場所、方向を探っているところです。

執刀医がオペしやすい環境を整えることもアシスタントの重要な役目です。モニターが配置してあることにより、視覚的な情報が増え、アシスタントのスキル向上にも役立ちます。

図Eは、モニターを見ながら、器具出しアシスタントがオペの進行具合をチェックしているところです。チーム医療の観点から、執刀チームとの連携が図れるツールとして有効であることは間違いありません。

当クリニックの場合、静脈鎮静下でのオペを定期的に行っています。脳波を測定しながらの鎮静により、さらに安全な手術環境となります。安心・安全な外科処置には、必須のオプションと考えます。詳細については、インプラント最前線の<第15回 静脈鎮静の”新兵器!”導入>をご覧ください。
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E
今回は、W社のご厚意により、図Fの右側に設置している新製品の”超音波骨切削機器”を使用してサイナスリフトを行いました。

図Gのように、骨窓を超音波による振動で骨を切削して開けます。

”軟組織は切削できないため、骨の内膜(シュナイダー膜)を傷つけないので安全である!”という宣伝文句の商品です。

最近厚労省から認可されたのですが、実は、以前から海外から個人輸入が可能で、私の知人の多くが所有していました。バージョンアップしたとのことで使用させて頂きました。

図Hのように用途に合わせてチップを交換しながら進めていくのですが、私の個人的な使用感は??????でした。慎重に使用すれば確かに膜は破れないのですが、とにかく時間がかかりすぎます・・・・・。

実は、昨日の代行オペした歯科医院にもありました。最先端機器ということで、私が行うオペに合わせる形で購入に踏み切ったと院長が言っていました。せっかくなので少し使用しましたが、やはり印象が変わることはありませんでした。
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図I~Kのように粉砕骨(自家骨)と代用骨をミックスした骨を補填材として、インナーグラフトしました。用途に合わせた骨補填材の使い分けについては、またの機会にお話します。

図Lのようなモニタリングと、図Mのように直接介助2人との3人で、口腔内という狭い術野の手術を進行していきます。
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冒頭の話に戻りますが、”設備・機器などの環境整備””高品質なチーム医療”の提供は、医療側の責務と考えます。
昨日訪問させて頂いた歯科医院についても、私が思いついた限りの改善点について、アドバイスさせて頂きました。

先日中部地方のある場所で、インプラント関連の大きな医療事故(医療過誤かもしれない?)が発生しました。昨年東京で起きたインプラント治療での死亡は、遺族・歯科医双方での言い分の大きな食い違いから泥沼化の様相を呈しています。

私たち医療従事者は、「歯科用CT、専用のオペ室、歯科麻酔医による全身管理下」に代表される可能な限りの備えをして比較的浸襲の大きい外科治療に臨むことが当然のことです。

単なるコミュニケーション不足では済まされない明らかに医療過誤と考えられるケースの患者さんが月に何人も当クリニックには来られます。対処法に苦慮する場面に頻繁に遭遇します。外科処置は原則一発勝負ですので、見よう見まねでは、偶発症などの緊急事態には対処できません。

的確な診断を下せる知識、多くの術式を選択し行える技術、そして日々経験値を上げていくことは全ての歯科医の至上命題です。

話が変わりますが、来年から、対外的に新しいプロジェクトをスタートさせます。”地域歯科医療のスタンダード化(標準化)”を同志とともに作っていきます。わかりやすく言えば、学校のようなものです。

”GP(一般開業医)が行わなければならない全分野をモーラーしたベースとなる知識、技術を磨く場!”になります。20回程度のコースになると思います。詳細が決定しましたら、アナウンスさせて頂きます。多方面の地元歯科関係者へ協力を依頼することになりますが、その節は宜しくお願い致します。