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第112回 東京での濃い「プレゼンテーション」

先月は、非常に多忙で、HPの私の担当のページの更新がほとんどできない状態でした。東京に2回、名古屋に1回、大阪に2回、セミナーに参加していました。また、原則平日の休診日に行っている出張オペでは、提携歯科医院が増えたこともあり、18人の方に外科処置(主にインプラント処置)の施術をさせて頂きました。

院内では、チェアータイムのかかる複雑かつ繊細なフルマウス(上下顎全体の治療)の最終補綴処置を数例行いました。院内のオペ室での手術は、バリエ―ションに富んださまざまな分野の手技・処置(外科矯正、広範囲の歯周再生療法等)が続きました。

当クリニックの場合、時間のかかるオペも、静脈内鎮静による歯科麻酔医の管理下で安全に行えるため、安心して処置に集中できます。チーム医療の恩恵・重要性を常に感じつつ行っています。オペに関わる全てのスタッフに感謝の気持ちでいっぱいです。

また、マイクロスコープを使用した精密歯科治療を希望されて来院される方が、ここ数か月増えています。本当に良質な歯科医療の提供をするためには、正確なインフォメーションと真摯な取り組みが必要と感じます。時間をかけて丁寧にそしてこだわった臨床をしたいという思いが浸透しつつあることを感じずにはいられません。

そんな中、とても難易度の高いオペもありました。異物除去のために、”シュナイダー膜(サイナスメンブレン)を2枚おろしにする”そしてリフトアップも同時にする、超アドバンスな手技や、審美領域の外科矯正(コルチコトミー)では、非常に薄い歯肉のためフラップデザインや縫合にとても気を使いながら行いました。

昨日は、東京に日帰りでした。10人足らずのクローズドな症例検討会に参加してきました。参加者は、歯科専門誌への論文や書籍を多数出している超有名な歯科医ばかりです。昨年10月に開催された「国際歯科大会」の懇親会で自然発生的にメンバーが決定した隔月に行う勉強会です。

光栄なことに、今回私に「プレゼンテーション」の機会が与えられていました。左記の症例を、診査・診断・治療計画に始まり、どのように順序立てて治療したか、詳細に話しました。約2年半の動的治療期間でした。

一定の評価は頂いたものの、参加者からは的確かつ鋭い指摘ばかりで、すごく勉強になりました。

綴・歯周・外科の各分野の知識・処置の詰めの甘さへの指針や、多角的な視野でかつエビデンスベースの理詰め的な思考・発想の磨き方についてもアドバイスして頂きました。

初診時(図A、B)、一見して前医が決定した下顎位(特に咬合高径)は異常に高く、アンテリアガイダンスやディスクルージョンの欠如した咬合理論を全く無視した修復物が装着されていました。

図Cのように、上下顎ともに1ピ-ス(一体型)の補綴がされており、下顎歯牙の歯冠高径が約2倍に挙上されていました。
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A
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B
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C
図Dのように左上臼歯部のインプラントはロスト(骨結合が失われている)していたため撤去し、再インプラントを希望されていたため、水平・垂直的な骨造成をブロック骨と粉砕骨をコンビネーションして自家骨移植で行いました。

図Eのように、骨移植後約6カ月で同部へのインプラント埋入を施行し、その後付着歯肉獲得のため口蓋部より採取した遊離歯肉移植も行いました。

患者さんにとってはオペの回数が増えて非常に申し訳ないのですが、あまりにも図Dのように骨量が少ない場合には、段階的にハード(硬組織)・ソフト(軟組織)のマネージメントをしていくようになります。

そしてリカバリー処置である再インプラント治療の場合、当然各ステップの治療難易度が当然高くなりますので、十分なスキルが必要となります。。

補綴前処置と平行してプロビジョナルレストレーションを改変していきながら、生理的な下顎位を探していきます(図F、G)。
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D
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E
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F
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G
咬合高径(咬み合わせの高さ)の決定法についての自論を少し詳しく話した後、COをCRに意識的に近づけるという発想で失敗した事例についても触れました。

顎口腔系のさまざまな要素のバランスの中で決定している患者固有の下顎位を、術者が誘導して決定してしまうと多くのケースで失敗します。私は過去に苦い経験をしています。

顎関節部の下顎頭の位置は、非常にフレキシブルかつ多様性があります。

補綴専門医であるW先生とI先生から同感との意見を頂くとともに、下顎位決定時の留意点・ポイントについてのアドバイスを御教示して頂きました。

図Hの上段が治療前、下段が最終補綴物装着後です。適切なアンテリアカップリングと左右ともにM型の犬歯ガイドによる臼歯部離開で顎関節部の保護に努めました。

治療前のフラットな咬合面の連続や前歯部のガイドの欠如による咀嚼能率の低下が改善され、おいしく食事が取れるようになったとの患者さんからの評価を頂きました。

図Iがフルマウス・リコンストラクションの終了した口腔内です。もちろん、顎運動を記録しての評価(治療前、治療中、治療後)をしておくことも、長期的な予後を検証する上では必須の項目となります。

図Jの上段が治療前、下段が治療後です。上部構造のスプリントは最小限にし、前歯部は審美面を考慮しメタルレスのオールセラミックにて修復しました。

インプラントは最小限に配備し、ポステリオル・ディスクルージョンを多めにとることにより、インプラントの対合歯への負担を軽減する配慮をしました。

詳細なプレゼンテーション内容のについては割愛しますが、その後活発なディスカッションや批評をして頂けてことは、多くの反省点に気づくとともに今後への課題も見えてきました。長い長い濃厚な一日が終わりました。
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今週の週末には、所属しています歯科医のスタディーグループ(ODC{Okayama Dentists Club})の例会があります。外部講師による義歯に関する講演が予定されています。とても楽しみにしています。

そして、この日曜日からは、いよいよ当クリニック主催の「矯正コース(10回)」が始まります。県外からの数名の参加者を含め約20名が受講します。しっかり準備して、密度の濃い充実した内容にすべく準備しているところです。

多忙ではありますが、「学ぶこと・知ることの楽しさを実感!」、そして「インプットとアウトプットをバランスよくできていること!」の充実感に浸っている今日この頃です。