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第88回 ”高度かかりつけ総合歯科医”を目指して・・・①

今回から、何回かに分けて、私の目指している臨床家像についてお話してみたいと思います。

「歯科医療の4本柱とは・・・

開業医として、ホームドクターとして、かかりつけ医として日々診療を行っている多くの一般臨床家General Practitioner:以下GPと略)は、建前上全ての分野をテリトリー(territory)としている。

しかし、エンド、ペリオ、修復、抜歯といった日々ルーティーンとして行っている分野へは精通しているものの、
「矯正」を除く「保存」「補綴」「外科」の3本柱で勝負している臨床医が多いのが現実ではないだろうか?

仮に、「矯正」については、専門医に全て紹介するか、自医院への出張矯正医に任せて、自身は全く矯正治療には参加いないというスタンスをとっているとすれば、“良質な歯科医療が提供できている”と言えるのだろうか?

学生時代、私たち歯科医は全ての分野の教育を受けて卒業する。昨今の治療や予防に対する患者ニーズは実に多様化しており、複雑なケースにおいては多分野の知識を駆使した総合診断、プランニングが必要不可欠な時代である。

そして専門医制度が確立していない日本においては、1人のGPがさまざまな治療オプションを提示できることが理想であり求められている。ただ、矯正治療は基本的には専門性の高い学問であり、安易にGPが取り入れる領域ではないのかもしれない。


私見ではあるが、一人のGPに必要な知識・スキルは、得意分野をつくることも大事であるが、その前に苦手分野を克服することの方が先決であると思っている。

かかりつけ医が、矯正分野をブラックボックスとして、一生を通じて「開かずの扉ではなく、開けずの扉」としているとすれば、「一口腔単位の治療」が行えているとは程遠く、患者受益という観点からも弊害が目立つ場面に遭遇するようになる。
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仮に“総合歯科医療”を“樽”に例えるならば、上の図Aのように数多くの縦板(各分野の治療オップション)を幅・高さ(治療の質)ともに持ち合わせ、しっかりと密着(コンビネーション)させて始めて、一杯に満たすことができる。

もし一枚でも樽板がなければ、図Bのように一滴も満たすことができないし、一枚だけ長い樽板(得意分野)を持ち合わせていても、満たせる水量に変わりはない。

要は、臨床家には、“バランスが大事!”と常々感じている。「保存」「補綴」「外科」に「矯正」を加えた4本柱を平等にコンビネーションしたプランニングを立案できることが、良質で患者本位の治療介入につながる出発点であると信じている。

続く・・・・・。