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第67回 インプラントのオペには、何人のスタッフが必要か?

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タイトルへの私の回答は、”術者を含め最低4人!”です。必ず毎回最低4人必要です。当クリニックでは、多くのケースで5人体制でオペを行っています。

この半年で、当クリニックのインプラント治療のオペの回数は飛躍的に増えた。その要因はいくつかあるのだが、一言でいえば、ハード、ソフトがしっかりと備わったことだと思う。他の歯科医院からも含め、紹介患者が8割を越すようになった。1,2歯欠損の方よりも、多数歯欠損・全顎的治療を希望される方が大半である。当然難易度の高い治療となることが多い。

セカンド・オピニオン(別の歯科医の意見を聞く)が当たり前のご時世である。インプラント治療は、費用、期間、外科処置への不安などを考えると、本当のインプラント治療を望んでいる方は、歯医者巡りをして、最良の医療を受けるための努力を惜しまない。私が同じ立場なら、当然同じ行動をとるだろう。

私たち歯科医も、真正面からコンサルし、正確な情報、自身のクリニックでできること、行っていることを、しっかりと伝えることが求められる。

少し知識、情報を持った患者さんがよくされる質問です。
「先生はいつからインプラント治療をやっていますか?」
「何本インプラント治療の経験がありますか?」
「失敗したことはありますか?その場合の対処法は?」


もう少し知識のある方は、

「専用のオペ室はありますか?」
「私のように骨が少ない場合、どんな治療法が可能ですか?」
「どこのインプラントを使っていますか?」


さらに知識のある方は、

「サイナスリフトは何ケースされましたか?」
「骨移植の経験は?」
「All-on-four はここでできますか?」
「静脈鎮静は可能ですか?」
「診断用のCTがありますか?」


先日、四国のある歯科医からの紹介で遠方から来院された方は、上記の質問の他にも多岐に渡りました。非常にたくさんの情報をお持ちでした。もし、途中でどぎまぎして、曖昧な返答をすれば、完全に見透かされ、立場は逆転というか、わかりました、と言われ、席を立ったであろう。

話が逸れてしまいました。タイトルの続きをします。
インプラント治療のオペには、術者、第一介助、第二介助、器具出しの最低4人必要です。術者、第一、第二介助は、清潔な領域しか触りません。器具出しが、不潔域から清潔域への橋渡しをします。
例えば、滅菌されたパックの中は清潔ですが外側は不潔です。不潔域を触れる器具出しが滅菌パックを開けて、中身を第一又は第二介助者が触ります。

では、なぜ2人の介助者が必要か?です。
実は、サクション(吸引管)が最低2系統必要だからです。唾液を吸引する管(不潔域)と、術野を吸引する管(清潔域)を別系統にしなければいけません。介助者は、口角鉤と呼ばれる器具で唇や頬を引っ張って術者が口腔内を見やすい環境に常にしておかなければいけません。ですから、どうしても、4つの手、2人の介助者が必要です。

改造しない限り、通常の歯科用の診療台は1系統しか十分吸引できるサクションがついていません。清潔域と不潔域を明確に分けることは、感染防止の観点からは常識なわけです。

5人目は、”歯科麻酔医”です。静脈鎮静する際の全身管理を、モニターや挙動などから察知し、オペをサポートします。
また、昨今は、隠れ疾患をお持ちの方も多いですし、ご高齢の方、基礎疾患(特に循環器、呼吸器)をお持ちの方へのインプラント治療は、歯科麻酔の専門医によるモニタリング(血圧、脈拍、動脈血酸素飽和度など)下、静脈路を確保してのオペは、リスク管理の観点からも常識となっています。不測の事態、緊急時への備えはもちろんのこと、クリニック側がどこまで対応しているか?できるか?が問われる時代になってきました。

当クリニックでは、スクリーニングの意味も含め全員の方にモニタリングを術前、術中行うことは当然として、不安感の強い患者さんにとって非常に優しく、有益な「静脈内鎮静」によるオペをルーティーンとして行っています。そして、緊急用として鼻からの吸引に使用するサクション、吸引装置をもう1系統用意しています。ですから3サクションが理想といえます。

「2サクション以上、できれば3サクション使用しているか?」
「4人体制以上で清潔、不潔を明確にしてオペに臨んでいるか?」
「専用のオペ室、あるいはそれに近い環境下でオペを行っているか?」

インプラント治療は、体内へある意味異物を入れます。感染予防の観点からは、上記の3点は絶対に譲れない、必要不可欠のことと考えます。

本物志向を望む、要求する方は今後ますます増えることは確実です。

本当の意味での「感染予防の徹底」が問われています。緊急時への「リスク管理」がどのようにシステム化され、備わっているか?が問われる時代にもなりました。事が起こってからでは手遅れです。一切の妥協をしない、という姿勢で臨むべきです。

安全、安心なインプラント治療を行う上での十分なハード、ソフトを備えておくことは、医療サイドとしての当然の責務と考えます。