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第39回 リニューアルへの思い、私の診療理念・・・②

最初にお詫びしておきますが、今回は、画像はなしです。症例もなしです。文章のみです。だらだらと長い文章になると思います。ご興味のない方は、次回以降にご期待ください。

 私の日々の診療への思い、5年、10年先にどんな歯科医を目指しているか、について述べてみたいと、思います。

  院長からのメッセージの 第28回<私の診療理念、最近当医院で行われた治療・・・①>で私の診療への考え方に少し触れましたが、もう少し詳細にお話してみたいと、思います。

 前置きになりますが、未完成の部分もありますが、先日ホームページをリニューアルしました。ご覧のように、デザイン、レイアウトは一新されており、誰の目にも”プロ”の手が加えられているのは一目瞭然です。この場をかりて、大変お世話になったA様他関係者の皆様ほんとうに有難うございました。今後とも、宜しくお願い致します。

 サイトを立ち上げてからのこの3年足らずは、スタッフ共々手分けして、更新してきました。手作り感を前面に押し出しつつ、”コンテンツの充実、情報を可能な限り多く発信する”ことに主眼を置き、他の歯科サイトに類を見ないページ作りを心がけてきたつもりです。

  各種治療法の長所だけでなく短所についても症例を挙げながら患者さんの視点にたって、できるだけわかりやすく、詳細に記載するようしてきたつもりです。多くの賛同の声、励ましを頂きました。ただ、中には、文字が重なっているところがあって見づらいよ!とか、画像が表示されない箇所があるよ!などのご指摘を受け、見る側に不快感を与えるページになっているのが現実でした。自己満足に終始していたのでは、と今となっては反省するばかりです。アナログ人間の私には、ソフトを使いこなせていなかったのです。

 そこで、今回思い切って、”見やすい、読みやすいサイトに!”をスローガンに、全面リニューアルすることにしました。何度も打ち合わせを重ね、”ごたごたしていないすっきりしたデザインにしつつ、多くの項目の中から知りたい情報を入手しやすいレイアウト”にするよう心掛けました。担当の方からの、「サイト内検索」の提案には、”さすが”、という思いです。今後コンテンツが増えていく一方ですので、当サイトには欠かせない必須のアイテムといえます。

 やはり、歯医者は日々の診療に集中して、患者さん1人1人に最善をつくす、ことに全力を傾ける、ことに終始するべきだと実感しています。サイトの管理は”プロ”に任せることにしました。私自身は、日々進歩する医療技術の習得に努め、質の高い治療を常に提供できるようにすることが使命と考えています。


 ちょっと横道にそれた話をさせていただきます。


 私たち歯科医は、大学在籍の6年間で歯科医学のあらゆる分野の最低限(数字で表現すれば60点)の知識を教わります。技術的には多くの患者さんの診察を行っていませんので、どの分野に関しても60点には到達していません。卒後、大学の医局に残ったり、勤務医という形で皆知識、技術を高めていきます。大学の医局は、分業化されていますので、ある特定の分野の専門的な知識は学べます。例えば、私のように補綴科の医局に残れば、被せや入れ歯に関わる知識、技術を習得できますし、口腔外科の医局に入れば、外科関連の専門性の習得が可能です。

 ところが、歯科の場合、医科と違って、病院関連で、勤務医という形で自分の専門性を生かせる場所が非常に少ないです。また、日本の場合、習得した専門分野だけで開業できるという土壌ができあがっていませんので、多くの歯科医は、卒後5年程度で独立・開業という道に向かうしかありません

 そこで問題になってくるのが、歯科医療全般に対する知識、技術が十分具わっているか?という点になってきます。卒後5年程度では、広く浅く学ぶのが限界で、60点の技術力を身につけるのが精一杯ではないでしょうか。大学の医局に残れば、一つの専門分野に関しては、60点以上のスキルが身に付いたとしても、それ以外の分野は、逆に60点に到達することは不可能です。

  ですから、卒後5年程度での独立、開業は、全くの新米なわけです。開業後、いかにして自身の技術力を高めていくか、貪欲な向学心をその歯科医がどの程度持ち合わせているかが、大切になってきます。そして、自分は、将来どんな歯科医を目指しているのか、明確なビジョンも当然必要かと思います。

 何かえらそうなことをいってしまいましたが、私事でいえば、卒後5年間は、大学の補綴科に在籍して、入れ歯やかみ合わせの研究、そして被せや義歯の必要な方の診療を行ってきました。その後、総合病院の歯科部門では、歯科医療全般(特に口腔外科が中心)に取り組みました。また、勤務医時代には、主に矯正とインプラント治療を中心に力を入れているところで働きました。

 しかし、今思えば、10年前の開業当時は、全ての分野に関して60点以上の治療ができていたかどうかといえば、反省ばかりが思い浮かびます。

 私の目指す歯科医は、”ホームドクター”でありながら”あらゆる分野に関してスーパーでありたい”のです。”自分で何でもやらないと気がすまない、という性格に起因しているのかもしれません。”歯科の全ての分野に関してのスペシャリストでなければ、患者さんにあらゆる治療法の選択肢を提示し、各治療法に一長一短あることを平等には説明できない”、と考えるからです。歯科のどの分野の専門家とも、同等かそれ以上のスキルを身につけて質の高い医療を提供したい、という思いで一杯です。そんなことは、一生かかっても無理なのですが、目標であり、夢でもあります。そのことが必ずや患者さんの幸福につながる、と考えるからです。

 例えば、不幸にして歯を1本抜歯したとします。インプラントを専門にしている、あるいはインプラント治療を得意にしている歯科医院へ行けば、欠損部は、インプラントでの治療になるでしょう。もし、インプラント治療をあまりしていない、あるいは、否定的な歯科医院へ行けば、入れ歯かブリッジになるでしょうし、入れ歯が得意でいろんなアタッチメント義歯を手がけている歯科医院へ行けば、快適な入れ歯の設計の提案がなされるはずです。どの方法も正解であるし、不正解なのです。私たち歯科医は、人体というアナログを扱っている限り、絶対的な治療法はありませんし、答えは一つではないのです。治療させて頂いている患者さんのライフスタイルや歯への価値観を加味した上で、各種治療法の長所、短所について、まず公開するのです。決定するのは、患者さん自身です。ある治療法へ誘導するような説明の仕方は間違っていると思います。どうしても、自分が行えない治療法については、否定的に話をしたり、全く説明すらしなかったりする傾向があります。偏ったコンサルテーションにならないためにも、歯科医側にいろんな分野の知識、技術がありすぎて困ることはないのです

 ですから、日々勉強です。いろんな分野の治療法を組み合わせて治療することができるのが、一般開業医の魅力であり強みともいえます。補綴、保存、歯周、外科、小児、矯正全て結びついています。質の高い治療には、トータルで考えた治療計画(包括的治療という)の立案が必要な時代です。 

 私の世界観の中では”スーパーな赤ひげ先生になりたい”のでありますが、もう一点心掛けている事があります。

  それは、”来院してくださる全ての患者さんと接して治療を手がける”、という点です。私の指導の下に、という場合も含まれますが、当医院で行われる治療行為を常に全て把握しておきたいのです。どうしてかといえば、治療技術はもちろんですが、コミニケーションのとり方一つとっても、人が変われば、当然相手に与える印象がかわります。1人のドクターが一日に診察できる患者さんの数には物理的に限界があります。例えば、一日に40人以上もの治療行為はどんな名医でも不可能です。医院自体の拡大路線は、結局は患者さん一人一人と触れ合う場を自分から狭めている気がしてなりません

 大学時代の同級生で、今大阪で開業している友人がいるのですが、開業当初、いや大学時代から経営者としての素質があったのは薄々感じてはいたのですが、先日話をする機会がありまして、誇らしげに、”3つ目の分院を出したぞ!”といっていました。経営者としてどのような取り組みをすれば成功するのか!、を熱く語ってくれました。なるほど、という面もありましたが、僕とは路線が違うなーという感じで聞いていました。彼は政治家志望のようです。あらゆる機会を利用して情報を発信し、また他業種の方との交友を積極的に深め、ノウハウにも耳を傾けなければいけない。そして、サービスに関しても異常なほどのこだわりを持って取り組んでいるんだ!、と言っていました。拡大路線で行くには、確かに必要なことでしょう。ある意味では成功した歯科医?かもしれません。

 ここ1、2年DMやFAXでやたらと経営セミナーへの参加申込書が送付されてきます。経営は確かに重要な要素です。安定した経営があってこそ診療に打ち込めるからです。しかし、私が思うには、歯科医としての知識、技術がまずベースに必要なはずです。ベースとなる歯科医としての技量を高めることにまずは全力をつくすことが本来の姿のような気がしてなりません。経営のことは、考えなくていい、と言っているのではなく、バランスの問題だと思います。医療人として、自身の技術力を高めることを何にも優先して行わなければならないはずです。過剰なサービスはいかがなものか?患者さんに不快な思いをさせるようなサービスは当然改善しなければいけません。

 経営セミナーの講師は、必ず言います。歯科医業も、サービス業的発想が必要な時代に入っており、患者さんを感動させる接遇、サービスの重要性を訴えます。確かに一理ありますが、私の場合、できれば診療行為そのものや治療結果で患者さんが感動してくれたらいいのになー、と日々思っています

 転院されてきた患者さんは、必ずといっていいほど前医院で、”歯を削られた、抜かれた”などと言われます。好き好んで削ったり抜歯する歯科医などいるわけがありません。コミュニケーション不足からくる意思疎通が原因で、大変残念なことです。

 ドクターナビ(http://www.doctor-navi.com/)という、医療検索サイトとしては最大のHPがあります。その中で、「あなたが一番行きたい歯科医院は?」というアンケート結果に、断トツの一位は、”勤務医にやらせないで治療してくれる歯科医院”という結果が掲載されています。A歯科医院へ来院される患者さんは、やはりA先生に診察してほしいのです。当たり前のことです。A歯科医院には、A先生を越える医療技術を持ったスタッフはいないはずだからです。私は、自分自身が治療、指導できるだけの数の患者さんに対し全力で診察に取り組むことが大切で、そのことが、当医院の治療の質を維持するためには必要不可欠と、考えています。 


 本当に、文章ばかりになってしまいました。すいません。自分本位の話を最後まで読んでいただいて有難うございます。次回からは、臨床、診療に関わりのある話を掲載していきますのでお許しください。