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第26回 レントゲン写真を知ろう!・・・②

今回は、前回に引き続きレントゲン写真についてお話してみたいと思います。

 歯科医が口腔内の疾患の診断を下す上では欠かせない検査の一つに、エックス線写真があるのは、いうまでもありません。

 
 患者さんからの問診、歯科医による視診、触診などの後、原因が疑われる部位のX線写真を撮影することによって 、確定診断が下される場合が、大半です。撮影されたX線写真については、日々の臨床では、詳細に説明されている はずですが、基礎知識として患者さん側も知っておき、不明な点等は、どんどん歯科医に質問することによってさらに理解が深まると思います。 

 2回目の今回は、歯とその周囲だけでなく、顎全体が写るX線写真の基本的な見方についてできるだけわかりやすく説明していきたいと思います。 
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上のレントゲン写真を パノラマエックス線写真といい、ほとんどの歯科医院で撮影可能です。この撮影法を行うと、 下顔面(歯とその周囲組織、上下顎骨、顎関節等)を広範囲に映し出せるため、多くの病変の発見や鑑別診断に有効です。

 歯自体や歯周病などの歯周組織の 異常はもちろんのこと、
顎の中(赤丸)顎関節 (黄色丸)の観察ができます。
 また、鼻の疾患は鼻腔(緑丸)の状態を 診れますし、蓄膿になると膿が溜まる上顎洞(青丸)の観察もできます。歯科医が 取り扱うほとんどの病変は、パノラマエックス線写真によって異常像として映し出されます。
 では、具体的にどんな病変がどんな像として写るのか話しをすすめていきたいと思います。
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全ての歯が永久歯に生え変わっていない幼児期のパノラマレントゲン写真を撮ると、 のように、顎の中にある未萌出の歯の数、向き等の状態が詳細に読み取れます。 

 過剰歯
(歯の数が多い)や 先天的欠如歯(生まれながらに永久歯が足りない) などの数の異常は、生える方向が悪いことが予想されるため、早期に対策を考える必要があるケースに遭遇します。
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こちらでは、右下の親知らず (赤丸)が、上下逆に顎の中に埋まっています。 左下の親知らず(青丸)は、横に向いて 埋まっています。

  このように方向が悪く埋まっている親知らずは、周囲の歯ぐきが炎症を起こしやすく、咬合にも参加していないため、 
抜歯の対象になることが多いです。但し、 正常に生えていて、上下の親知らずが緊密に咬合している場合は、抜歯する必要はありません。

 

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次にこちらですが、下顎の骨の中に黒い像 (赤丸)があります。正常な顎の骨の場合、すりガラスのような均一な白い像に写ります。 

 
このレントゲンの患者さんは、赤丸の部分が真っ黒になっていることから、骨が溶けてしまっています。 顎骨の中の嚢胞様の病変が疑われます。一個だけの丸い像( 単胞性という)の場合と、幾つもの丸い像が集まったもの( 多胞性という)のものがあり、鑑別診断をする必要があります。
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こちらのパノラマレントゲンによって、口腔内の全ての歯の中の 治療痕がわかる事例として挙げてみました。青丸部分の下の歯3本と上の一番奥の歯1本は、 X線不透過性の人工物(通常は金属の場合が多い)で 生活歯(生きている歯)のまま治療、修復されています。白く写っている部分です。 比較的小さな虫歯の場合に行われる処置です。
 
  一方、赤丸部分の3本の上の歯は、
歯の根の部分まで不透過像(白い)で 満たされているので、神経を取った失活歯ということになります。もし、歯の根の周囲に 異常があれば、限局的に黒い像や白い像として写し出されますので、自覚症状がない場合でも個々の歯の異常を即座に発見することができます。
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 また、パノラマレントゲン装置の設定を変えれば、顎関節部分のみの撮影も可能です。 青丸(右側開口時)、赤丸 (右側閉口時)、黄丸(左側閉口時)、 ピンク丸(左側開口時)と4分割で撮影されますので、 顎関節部分の骨の形態的異常は読みとれます。

  顎関節症の診断には欠かせない検査ですが、顎関節の疾患の場合、複雑な病態をしている場合が多いので、 確定診断をする際には、
CTMRI などの軟組織が写る撮影法 が必要な場合が多いのが現状です。 
今回は、一般開業医が扱う疾患のほとんどが写し出されるパノラマレントゲンの見方のほんの入り口について触れてみました。 歯の異常はもちろん、上下の顎の骨の中、顎関節の異常や鼻腔、上顎洞までも写るすぐれものです。


 
今後、かかりつけの歯科医院でこの写真をご覧になる機会には、「この白いのは何ですか?」「この真っ黒いのは?」 など是非質問してみて下さい。直接目で見ることのできない歯の周囲や顎の骨の中にはいろいろな構造物があるんだなーと小さな発見があるかもしれませんよ!