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第24回 バネのない入れ歯の話

高齢化社会真っ只中の日本ですが、年配の方が増えているということは、入れ歯人口も当然急増しています。 当医院の場合も、入れ歯関連の治療が30%を超えるようになりました 。

 入れ歯と一言にいっても、実はいろいろなタイプがあります。一般的には、金属のバネの留め金がついたものを想像されるのではないでしょうか。 

 留め金のついた入れ歯というのは、
見栄えが悪いだけでなく、 留め金をかけた歯に負担がかかりやすく、その歯の寿命を縮める傾向がある、 という大きな欠点があります。

 そこで、当医院では患者さんと相談の上入れ歯を留めて安定させるための歯に極力負担のかからない、見栄えも良い入れ歯(義歯)を開院当初から 積極的に取り入れています。

 
「コーヌステレスコープ義歯」と呼ばれている入れ歯の症例をいくつか列挙 しながら説明させていただきたいと思います。また、ここ10年、「磁石を利用した入れ歯(磁性アタッチメント義歯)」 も材料の進歩とともに急速に普及してきたのでその辺りについても触れてみたいと思います。



■症例1■

図Aは、コーヌステレスコープ義歯を口腔内に 装着したところです。図Bは義歯をはずした時の口腔内です。 図Cが上の義歯、図D が下の義歯です。コーヌスとは、円錐型という意味で、 支えとなる歯(支台歯という)を二重の被せで覆います。

 内側の被せ(
 内冠)は、図B のように歯に装着します。外側の被せ(外冠)は、 図C図Dのように義歯側についています。 義歯を装着すれば、図Aのように、バネの全くない入れ歯で、入れ歯を入れているよう にすらわかりずらい、非常に審美的に優れた義歯といえます。
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A
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B
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C
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D
「コーヌステレスコープ義歯」がもう一つ非常に優れているのは、 支台歯に有害なストレスがかからない、という点である。バネのある義歯は、着脱のたびに支台歯が揺さぶられるので、私の経験上、歯の寿命を縮めている感が否めません。


■症例2■

症例2の患者さんは、重度の歯周病に罹患していて、 止む終えず相当数の歯牙を抜歯せざるを得ない状況でした。義歯のバネの金属色が見えるのは、仕事上困るとのことでコーヌス義歯を選択しました。 上顎は4本、下顎は5本を支台歯としました。バネのついた義歯は、毎日の着脱によりバネが緩んで義歯自体にガタツキがでてきます。当然支台歯への 負担がかかります。

 一方、コーヌス義歯は、
内冠と外冠の摩擦抵抗で、義歯を動かなくしている (維持力という)ので、長期に使用しても義歯のガタツキが起こりません。症例2の患者さんは、治療後7年を経過していますが、1本の支台歯も抜歯 あるいは、脱落に至っていません。

 また、コーヌス義歯の支台歯として利用することによって、
動揺している歯の固定効果(スプリント効果)も発揮されますので歯に優しい治療法といえます。
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<治療前> 正面
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上顎
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下顎
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<治療後>上顎義歯非装着
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上顎義歯装着
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下顎義歯非装着
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下顎義歯装着
 症例2の患者さんは、重度の歯周病に罹患していて、 止む終えず相当数の歯牙を抜歯せざるを得ない状況でした。義歯のバネの金属色が見えるのは、仕事上困るとのことでコーヌス義歯を選択しました。 上顎は4本、下顎は5本を支台歯としました。バネのついた義歯は、毎日の着脱によりバネが緩んで義歯自体にガタツキがでてきます。当然支台歯への 負担がかかります。

 一方、コーヌス義歯は、
内冠と外冠の摩擦抵抗で、義歯を動かなくしている (維持力という)ので、長期に使用しても義歯のガタツキが起こりません。症例2の患者さんは、治療後7年を経過していますが、1本の支台歯も抜歯 あるいは、脱落に至っていません。

 また、コーヌス義歯の支台歯として利用することによって、
動揺している歯の固定効果(スプリント効果)も発揮されますので歯に優しい治療法といえます。



<症例3>

症例3は、 磁石を使った入れ歯(磁性アタッチメント義歯)で、10年ほど前から多くの歯科医院が取り入れている治療法で、特別な器機、技術は、必要としません。

 図Eは、2本の歯根に丸型の磁石とくっつく キーパーと呼ぶものを埋め込んだ状態です。図Fは、 義歯を口腔内に装着したところで、義歯の中に磁石構造体は隠れるため、審美的には良好です。

 
図G は、義歯の裏側で、磁石を埋め込んでいます。図Hは、 義歯の表側で、一見すると、磁石を使わない義歯と変わらない形態で仕上げることが、可能です。
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症例3のように、多数の歯が欠損した場合に、歯根に磁石を利用すると、義歯の安定が良くなるため、現在では、 日常的にほとんどの歯科医院で行われている、と思われます。歯根を利用して、差し歯を作製し、その歯にバネをつけると、 金属色による見栄えの悪さがでてしまいます。

 また、
バネを架けた歯は、着脱のたびに揺さぶられるため、歯としての寿命が縮まっているともいえます。

 少数の歯の欠損に対しては、磁性アタッチメント義歯は不向きといわれていたのですが、ここ数年は、義歯の設計を工夫することにより良好な結果を 得られるようになりましたので、その辺りについて、触れてみたいと思います。


図Iは、歯根にキーパーを埋め込むと同時に、 1本前の歯にも細工をしてキーパーを埋め込んでいます。

 
図Jは、口腔内に 下の磁性アタッチメント義歯を装着したところで、審美的に良好な形態になっています。

  
図K が義歯の内面で、2個の磁石が使用されています。磁石を2個、しかも垂直的に使用する ことと、磁石を埋め込んだ歯の1本、又は2本前の歯をかぎ型上に義歯がはまり込む形態にすることによって、横揺れ、 離脱を回避することができます。

  
磁石一個だけで完全に義歯を安定させることは不可能ですので、、数を増やしたり、別の維持装置(例えば前述の 義歯がはまり込む形態にするブレーシングアーム)と組み合わせることにより、 良好な結果が得られます。
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現在、国産メーカーだけでも、5タイプの磁石があり、吸着力の差から20種類以上のマグネットが、入手可能です。 粘膜の沈下を考慮した緩衝材が入ったタイプもあり、用途に合わせて一番適切な磁石を選択する必要があります。

 現在、少数の歯が欠損した場合の審美的に良好な治療法としては、両隣在歯を利用した ブリッジインプラント(人工歯根) が考えられますが、今回触れましたコーヌス義歯磁性アタッチメント義歯も選択肢の一つといえます。

 どちらの方法も
 健康保険外の治療になりますが、支えている歯への負担が少ないことや、 義歯の安定、維持や長期的な予後がバネ付き義歯に比べると格段に良好なことなどを加味すると一案といえます。

 かかりつけ歯科医であり、総合的な歯科医療を目指している一般開業医である私たち歯科医は、現在歯科業界で行われている 治療法の全てを提供できるだけの知識、技術を持ち合わせておく必要がある、と考えます。

  治療法の選択肢を列挙し、其々の長所、短所を説明した上で、 最終的な決定権は、もちろん患者さんにあります。


 今回は義歯について触れました。義歯に対して患者さんのいろいろな要望があります。日々進歩する材料や治療法については、常に熟知しておきたい ものです。

そこで、当医院では患者さんと相談の上入れ歯を留めて安定させるための歯に極力負担のかからない、見栄えも良い入れ歯(義歯)を開院当初から 積極的に取り入れています。

 
「コーヌステレスコープ義歯」と呼ばれている入れ歯の症例をいくつか列挙 しながら説明させていただきたいと思います。また、ここ10年、「磁石を利用した入れ歯(磁性アタッチメント義歯)」 も材料の進歩とともに急速に普及してきたのでその辺りについても触れてみたいと思います。

症例1



図A図B
図C図D


  図A
は、コーヌステレスコープ義歯を口腔内に 装着したところです。図Bは義歯をはずした時の口腔内です。 図Cが上の義歯、図D が下の義歯です。コーヌスとは、円錐型という意味で、 支えとなる歯(支台歯という)を二重の被せで覆います。

 内側の被せ(
 内冠)は、図B のように歯に装着します。外側の被せ(外冠)は、 図C図Dのように義歯側についています。 義歯を装着すれば、図Aのように、バネの全くない入れ歯で、入れ歯を入れているよう にすらわかりずらい、非常に審美的に優れた義歯といえます。