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第18回 電動歯ブラシの功罪

口腔衛生に対する関心、高まる一方で、以前は、歯科医院や特定の場所でしか 購入することができなかったデンタルフロスや、 歯間ブラシなどの口腔清掃補助用具も、現在ではスーパーや 薬局で手軽に購入できるようになりました。

  電動歯ブラシも、近年大ブームで、50種類を超える電動歯ブラシが生産、販売されています。しかし、主流の商品が、 高価(1万円~1,5万円であることから、供給過剰の感は否めません。

 ところが、下記の記事(山陽新聞 2002/8/28)にあるように最近、低価格の電動歯ブラシが売り出され注目を集めています。 

  この記事を題材に、電動歯ブラシの特徴を、手用歯ブラシと比較しながら、問題点も含めて私なりに考察してみたいと思います。まずは、こちらの記事をご覧下さい。
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消費者にとって、「電動歯ブラシが安くなれば、当然手に入りやすくなるので良いことだ!」、 という発想は、ちと短絡的すぎると思います。

 電動歯ブラシが、手用歯ブラシに比べ全ての面で優れている場合には、 成り立つ論理ですが、電動歯ブラシが普及していかない理由は、価格の問題だけではありません。

 上記の記事の文面にもあるように、「電動歯ブラシは、手で磨くより時間がかからず、きれいに歯垢が除去できる」、というのを電動歯ブラシの最大のセールスポイントにあげますが、一概にそうとは言えません。

 電動歯ブラシを使用したことがある人だとわかると思いますが、毛先は、電気又は電池により機械的に常に動いているため、毛先が歯のどの部分にどれくらいの強さで当たっているのかが
指先に感覚として伝わってこないのです。

 重さも、
100g~150g と時間をかけて丁寧に磨くにはちょっと重すぎると、思います。

 手用歯ブラシの場合は、 指先と毛先の動きは完全に連動しているので
感覚的に細かい動きや、強さの微調整ができます。 

 手用歯ブラシと電動歯ブラシとのプラーク除去効果についての比較は、10年ほど前から数多く報告があり、 手用歯ブラシよりも優れているとか、手用歯ブラシと同じであるという一定の結果はみられません。

 どちらの方法も全歯牙の全ての歯面にスムーズに当てるのは、困難であり、私の私見ですが、一般的に指先の感覚が毛先に伝わる手用歯ブラシのほうが、磨き残しが少ないといえます。

 電動歯ブラシの毛先の振動が指先、そして手全体の振動へと移行しますので長時間使用していると指先が痺れたようになることもあります。

 電動歯ブラシの場合、ある特定の歯の限定された歯面を磨くのであれば、機械的に清掃しますので手用歯ブラシよりも早くきれいに磨けます。しかし、全歯牙の全歯面となると話しは別物です。 

 毛先のあたっていない場所はどんな道具を使用しても磨き残しの部分であるのですから、
 電動歯ブラシは時間がかからずきれいに磨ける、という先入観があると逆に毛先があたらず通過してしまう場所が多く出てしまい、結果として雑なブラッシングになってしまう傾向があります。 「電動歯ブラシで、早く、きれいに磨いて楽をしよう」という先入観があると、結局は磨き残しにつながります。


 電動歯ブラシの功罪のうち、罪ばかりの話になりましたが、巧の部分も当然あります。手用歯ブラシに熱心で、 プラークコントロールがしっかりできている人が、さらにきれいに磨きたい場合に、電動歯ブラシは、お勧めです。 

 前述しましたように、一箇所をきれいに磨くのなら手用歯ブラシより電動歯ブラシのほうが優れています。


 電動歯ブラシで、磨き残しがないように、細かな部分まで丁寧に磨けば、手用歯ブラシよりも、 きれいに歯垢が取れます。


 電動歯ブラシは、もともとは手先の不自由な障害者用に開発されてきました。
 手先な不自由な方はもちろんのこと、 介護する立場の方が、介護用品の一つの口腔清掃道具として利用するのは有益だと思いますし、 病院や、施設など、複数の方の口腔清掃を行う場合などには、 電動歯ブラシは介護者の負担が軽減されますので、有効に利用できると思います。
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次に、最近の電動歯ブラシ事情について、少しお話しします。

 当初、電動歯ブラシの動きといえば横に小さく動く
スクラ ッビング法と、4℃くらいの回転往復運動をするバス法の 切り替えできるものが主流でしたが、最近店頭に並んでいる のは、5㎜ほどの振幅運動をする音波歯ブラシ(左図1) のタイプが多いです。

 また、音波ではなく
超音波歯ブラシまで登場してきました。 (左図2)

 超音波による波動エネルギーにより歯周ポケットや 、届きにくい細かい部分まで働き、歯垢を取るというものです。 (左図3)

 音波歯ブラシは、私の使用感は、なかなか良いです。重さも100gと、ちょっと重めですが、なんとか丁寧に磨ける時間くらい は我慢して、使用できます。
 超音波歯ブラシは、バクテリアの連鎖を破壊して菌を死滅させる「科学歯ブラシ」、というキャッチコピーですが、私の使用感 は、まだ1ヶ月程しか使っていませんが、音波歯ブラシとそれほど違いはないような気がします。

 電動歯ブラシを使えばだれでもきれいに磨ける、ということはあり得ません。

 手用歯ブラシで磨き残しがなく丁寧に磨ける人が、電動歯ブラシで磨いた時始めて効果が発揮される道具です。 

 まず、自分の磨き方をかかりつけの歯医者さんでチェックしてもらうことからはじめてみてはいかがでしょうか?