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第18回 解剖実習セミナー

懇意にしている友人(歯科医)の紹介で、昨々日、”解剖学”の研修会に行ってきました。
いまさら”解剖学”の知識なんて、と半信半疑で参加したのですが、いかに自分の知識が曖昧だったのか、実感しました。

ちょっと前置きの話をします。
歯科大学の講座は、大きくは、基礎系臨床系に分かれています。
基礎系の講座では、生理学、生化学、解剖学、病理学、といった学問を研究するところで、患者さんを直接診察することはしません。
臨床系の講座は、保存学、補綴学、矯正学、口腔外科学といった、研究とともに診察も行う講座です。

私たち開業医は、日々診療をしていますので、当然臨床系の学問の知識が何より必要で、日々研鑽しています。
どうしても治療行為に直結する臨床系の学問、知識の習得に終始してしまいがちです。
ところが、実際は、基礎系の研究結果に裏打ちされた事柄だけが臨床に生かされているのです。

治療を前提に考えますと、”診断時に正常像との違いがどこにあるのか?”、治療計画を立てる際、”正常像の許容範囲はどこまでか?”というのを常に考えます。”何を基準に治療方針を立てるのか?”正常な形態、機能を知っていて、始めて異常が判明します。

ちょっと周りくどい言い方になりましたが、要するに、正常像の原点というべき口腔内外の”解剖学”の知識は、臨床(診療)を行う上で、とても重要ということを、今回再認識しました。

私たち歯科医は、大学在籍の3,4年生で全身の解剖学の勉強をしますが、その後は、疾病に関係する解剖の知識の習得に終始する人が大半だと思います。

今回、改めて勉強しなおしてみて、自分の知識の”曖昧さ”に愕然としました。あまりにも忘れていることが多かったです。
解剖学の正しい知識を詳細に知ることにより、日々の臨床にたくさんフィード・バックされます。
歯の解剖だけでなく、口腔内外の骨、筋肉、神経、血管の走行は、口腔外科的な処置はもちろんのこと、義歯(入れ歯)作製や顎関節症の治療、矯正治療時には特に必要と、実感しました。

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骨の模型上に、ワックスを筋肉に見立てて、確認しながら貼り付けていきました。
自分が記憶していた起始(筋肉の付着している始まりの場所)と停止(筋肉の付着の終わりの場所)とは微妙にずれたところにあると再認識しました。

また、針金を血管や神経に見立てて、骨の中にある多数の穴の、どこをどういう名前の神経、血管が通っているか、実際に実習しながら、しっかりと記憶していくこともできました。
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下顎を下側からみたところです。口腔底には、舌、舌骨を取り囲んでいろいろな筋肉、神経、血管が入り乱れています。机上ではなかなか理解することができない複雑なエリアです。
 
自分で工作しながら、一つ一つ納得しながら理解していくことにより、理にかなった構造になっているんだと、改めて気づきました。
講師の先生にお願いして、再来月には検体による解剖実習をさせて頂くことができるようになりました。身の引き締まる思いです。

異常像を知る上での基本中の基本”解剖学”の知識は、自身のスキル・アップに大きく貢献すると、気づきました。
オペ時の血管、神経損傷といった事故の防止、また、口腔周囲の筋症状を訴える方への対処法のヒントになる講習でした。

新しい知識、技術を追いかけることも大事ですが、原点に戻って、基礎系の知識の復習もそれ以上に大事なんだと、再認識しました。