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第13回 ホワイトニングの落とし穴

日本全国に約6万ある歯科医院の半数以上の医院で「ホワイトニング」が行われているというデータがあります。現在では、非常にポピュラーな歯科治療の一つになったといえます。

 しかし、
歯を白くする「ホワイトニング」は、ホワイトニングする材料の成分、性質などに頼るところが大きく歯医者の技術的な差は出にくいという側面があります。

 多種多様のホワイトニング剤が市場に出回っており、それぞれのホワイトニング剤には特徴があり、 取り扱いを誤れば期待したほどの効果が出ず、患者さんとの信頼関係にひびが入ることもあります。

 そこで、今回は私なりに「ホワイトニング」の問題点に触れながら、治療を受ける際、知っておいてほしいこと等について考えてみたいと思います。

 下記の記事は、岡山の地元紙の山陽新聞(2002/5/18)の医療新世紀のページに掲載されました。

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上記のような記事がでると、次の日から電話による問い合わせや、 歯のホワイトニングをしてほしいと来院する方が急増します。

”歯を白くしたい!”と万人が多少なりとも 思っているということですが、歯のホワイトニングにはいくつかの問題点、注意点が隠されています。 上記の記事も例外ではなく、ホワイトニングのマイナス面についてはほとんど触れられないのが現状です。

「ホワイトニングのメカニズム」についてや 「ホワイトニンググッズ」については、 院長からのメッセージ(第7回)をご覧下さい。

今回は、 「ホワイトニングの落とし穴」というタイトルですから、 マイナス面 を中心に話してみたいと思います。 

1)白くなるタイプの歯と、白くならない(なりにくい)タイプの歯がある。
加齢が原因の黄色っぽい歯の人には有効です。 
かなり
茶色っぽい歯とか、白い斑点、ラインがあって、歯の色が何層かに分かれているようなタイプの歯は無理です。それから、ホワイトニング剤による白さは、 「チョーキーホワイト」という表現をよくするのですが、白いチョークで黒板を塗りつぶしたような、絵の具の白のような「白さ」になります。
透き通った透明感のある白さ(雪の結晶にたとえられます)にはなりません。自然な白さとはいえないと思います。
2)白くなってもすぐにもとの色に戻るタイプの歯がある.。
神経のない歯をホワイトニング剤で白くする(ウォーキングブリージング という)には、かなり根気(時間と回数、費用)がかかるわりに、後戻りが非常に早いです。
3)ホワイトニングの方法によっては、後戻りが、非常に早い。
ホワイトニング法には、主に、診療室で行うオフィスホワイトニングと自宅で行うホームホワイトニングがあります。オフィスホワイトニングは、速効性がありますが、後戻りが早いです。ホームホワイトニング は、ホワイトニングに時間がかかりますが、後戻りもゆっくりおきます。
両者の併用も一法ですが、ホームホワイトニングを基本に行うのが、ベストではないかと思います。
4)ホワイトニングの方法によっては、歯の面荒れをおこす。
濃度の濃いホワイトニング剤を何回も使用すると、脱灰(歯の表面のエナメル質が溶ける) して歯面に微妙な凹凸ができる人がいます。凹凸ができてしまうと、汚れ、着色しやすくなり、当然後戻りも起きやすくなります。
5)白さを維持するにはそれなりの努力が必要。
後戻りを防ぐためのタッチアップ(定期的にホワイトニングして、 ある一定レベルの白さを維持すること)が不可欠です。歯のホワイトニングをしても、ブラッシングなどの歯の手入れの仕方にもよりますが、タッチアップをしなければ、2,3年もすれば、完全にもとの色に戻ります。
逆に言うと、一度ホワイトニングしておけば、
半年に一回程度、 2、3日のホームホワイトニングを実行しておけば、白さが、かなり持続します。
6)詰め物や、かぶせなどの人工物が多くある人は避けたほうが良い。
人工物がたくさんある人の場合、ホワイトニング後の歯の色に合わせて、人工物をやり直すのですが、1年、2年と経つと人工のつめものやかぶせが若干変色してきます。しかも均一には変色しないため、また一から全部やり直さなければならない事態が生じます。
7)ホワイトニング材料の熟知(特徴、使用方法、トレーの作成法等)によって結果に差がでる。
現在、厚生労働省が正式に認可しているホワイトニング剤は、オフィスホワイトニング用と、ホームホワイトニング用それぞれ一種類のみです。私の使用感は、どちらもいまいちです。もっと使いやすく、症例に応じて選択できるホワイトニング剤があります。上記記事内の「NITEホワイト・エクセル」は、先日大阪の東急ハンズで発見しましたよ。5万~6万は高い気がしますが・・・。アメリカでは、何年も前に製造中止されていて、バージョンアップした製品が、売り出されています。ホワイトニング剤の濃度が薄く、一種類しかないのが最大の欠点 です。
濃度が薄いということは、知覚過敏などの
不快症状が出にくいのは利点 ですが、効果がでるのに、時間がかかりすぎます。ホワイトニング剤の濃度は、一般に オフィスでは、30~35%ホームでは、10~21% を使います。ホワイトニング剤の製品説明書の通りではない細かいテクニックによってホワイトニング効果に差が出ますし、ホームホワイトニングの場合、 歯にはめるトレーの形状によっても ホワイトニング効果に差が出てしまいます。


 アメリカでは、「ホワイトニング剤」は、化粧品の一種ととらえられています。 ですから、ドラッグストアーやスーパーで簡単に手に入ります。

 日本では医薬品という扱いですから 一般の方が入手するのは困難です。

 あくまで個人的な見解で、ちょっと過激な意見かもしれませんが、 ホワイトニング剤の成分である過酸化水素や、過酸化尿素は劇薬ですが、歯医者だけが管理しなければいけないほどの規制は必要ないと 思います。十分な注意を促した上での薬局での販売や、濃度の薄い製品については、スーパーに置いていても 全然OKだと思います。まず、事故など起こらないと思います。

 歯医者サイドは、ホワイトニング剤の使用方法、特徴を熟知して、歯のホワイトニングによる デメリットについても十分説明する義務があると思います。

「ホワイトニング」を成功に導くためには・・

 1)十分なカウンセリングコンサルテーションを行う(メリット、デメリット等)。
 2)術前の歯の色を記録しておき、
「ホワイトニング」の終了は患者さん自身が決める。
 3)
オフィスブリージングとホームブリージングを上手に使い分ける。
 4)ホワイトニング後の白さを維持するために、
タッチアップが必要不可欠である。
 5)
歯医者サイドは、各種ホワイトニング剤について、熟知しておくことが大事である。