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第11回 ドリル不要の虫歯治療

Newtonという graphic science magazine を ご存知の方は、多いのではないでしょうか?
250号の大特集で、最先端医療について書かれており、その中の歯科分野の記事を取り上げてみました。

「ドリル不要。虫歯の患部を溶かすことで無痛治療を実現。」 というタイトルで始まっています。


 歯医者に行きたくない理由の一つに、「歯を削る時のあの音が嫌い、痛い」という人は多いのではないでしょうか。現在、虫歯をドリルで削ることなく、「溶かす」 という治療がはじまろうとしています。歯医者は、痛いものという常識がなくなる日はそこまできています。 

 一般に虫歯の除去には、ドリルを使った回転切削のほか最近では、
 エアーアブレーション(微粒子噴射切削)、レーザーが用いられています。 人体の中で、最も硬い歯のしかも一番表層にあるエナメル質は、レーザーでは、切削効率が悪いためなかなか普及しないのが現状です。

 しかし、
「カリソルブ」とよばれる薬は、 虫歯を溶かして治療ができてしまいます。スウェーデンで開発された薬で、虫歯につけると、虫歯の部分が柔らかくなり、 手用の器具で取り除くことができます。ただし、カリソルブは、薬剤の塗布が困難な 歯と歯の間の隣接部の虫歯には使用できないとのことです。

 このシステムは、2種の溶液(次亜塩素酸ナトリウムとアミノ酸、増粘剤、着色剤が主成分の混合液)が、 進行した象牙質に存在するコラーゲンのみに作用し、やわらかくする。そうすることで、
 手用インスツルメント(下図参照)による虫歯の「かき取り」が可能になるというものです。
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 カリソルブを使用した虫歯治療の最大の特徴は、虫歯になった 象牙質に対する選択的作用をもち、かつ無痛治療であるという点である。 回転切削を恐れる患者、麻酔のできない患者、高齢者や小児の患者などの虫歯治療に有効です。

 カリソルブは、スウェーデンとドイツではすでに実用化されています。国内では、厚生労働省の認可を待っている状態で近く認可される見込みです。「歯医者は痛いものという常識がなくなる日もそう遠くないようだ」と締めくくっています。
 

 「カリソルブ」については、実は2,3年前歯科業界では、話題になっていました。 現在も某私立歯科大学で基礎的研究が続けられているのも事実です。カリソルブの研究をしていた友人に 当時聞いたところ虫歯を溶かす薬剤の成分に改良の余地があり、今のところ臨床では、使いにくいのでは、 といっていたのを覚えています。

 記事では、
健康な象牙質には全く作用しない、となっているのですが「溶かす」作用が不十分 で、かといって、「溶かす」作用を増強した溶液にすると、 健康な象牙質や、溶液が流れた際の歯茎などへの為害作用が懸念されるとのことでした。 

症例を選べば、現時点でも使用可能だと思いますが、 厚生労働省が認可しない理由は、周囲組織等への安全性がネックになっているのだと思います。 臨床家のひとりとしては、強力でかつ安全性の高い溶液が開発されることを待ち望んでいます。